Zooey's Diary

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幼い頃の夢と残像「リトル・ランボーズ」

2010年12月02日 | 映画

1982年のイギリスの田舎町。
厳格な宗教家庭に育った内向的な少年ウィルは、
ある日学校一の問題児カーターと知り合う。
宗教上の戒律からテレビさえ見たことがなかったウィルは
カーターの家で初めて映画「ランボー」を観て、全身に衝撃を受ける。
ともに父親不在の孤独な少年が、無敵の反逆者ランボーに恋焦がれて
二人で「ランボーの息子」という映画を作り始める。

ウィルの母親が信じていた宗教というのは
「プリマス同胞協会」Plymouth Brethren Associationといって
イギリス・アイルランドなどにちゃんと存在するらしい。
アメリカのアーミッシュみたいなものなのでしょうか。
テレビ、映画、音楽などあらゆる娯楽は禁止。
ウィルの母親は、常に髪を三角巾で包み、木綿のブラウスにロングスカートという出で立ち。
こういったある意味特殊な宗教を信じるのは、大人は自分の選択だからいいとして
その家に生まれた子どもはどうなるのだろう?と私は考えてしまう。
勿論小さい頃は、愛する親の言うなりに信じるのだろうけど
思春期となり、自我が目覚める頃となって
世の中にはテレビやラジオや娯楽が反乱しているのにそれを享受できないという境遇に
納得することができるのだろうかと。

優しいウィルも、自分を愛する母親に無下に反抗することができない。
だけども、映画作りにあまりにも夢中になってしまった。
あまりにも夢中になれるものが世の中にあるということを知ってしまった。
その辺りのジレンマを抱えながら二人の少年の友情は
邪魔されたり傷ついたり引き離されたり…

母親にも放置されている暴れん坊のカーターが、あんな横暴な兄に何故
甲斐甲斐しく仕えるのかがどうにも分からなかったのですが、
終盤でその謎が解けます。
ウィルに裏切られたカーターの、号泣しながらの叫び。
オレを見捨てないのは兄貴だけなんだ、
オレには兄貴しかいないんだ、と。
子どもには愛し愛される人が必要なのだなあ、としみじみ胸を打たれます。

この映画のテーマが少年の友情であることは間違いないのですが
もうひとつ、私にぐっときたこと。
幼い頃の夢。
自分が望めば、何でもできる、何にでもなれると思い込んでいたあの頃。
その夢がひとつずつ壊れていき、その残像を拾い集めながら
自分の身に合った幸せを探して生きていくことが
大人になるということなのかもしれない。
そのあきらめを知る前の少年期の夢が、この作品の中にはキラキラと息づいているのです。
そういった無防備な夢に対する郷愁の思いが
この作品全編を彩っているような気がするのです。

☆4

「リトル・ランボーズ」http://rambows.jp/
コメント (4)
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