Zooey's Diary

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「宮廷画家ゴヤは見た」

2008年10月09日 | 映画
2006年スペイン映画(日本では先週末から公開)。
「カッコーの巣の上で」「アマデウス」の巨匠ミロス・フォアマン監督の久々の新作ときたら、やはり観ない訳にはいかないでしょう。
18世紀末から19世紀前半の動乱のスペインを舞台に、宮廷画家ゴヤの目を通して見た、教会・権力者・庶民が絡み合う社会劇。

天使のように美しい少女イネス(ナタリー・ポートマン)は、富裕な商人の娘。
時の権力によって態度を豹変させる様が腹が立つほどに憎々しい、神父ロレンゾ(ハビエル・バルデム)。
宮廷画家でありながら、権力批判と社会風刺に富んだ作品も描き続けるゴヤ。
ある日イネスが突然、異端審問にかけられ、拷問にかけられる。
その裕福な父親に、画家ゴヤを通して、神父ロレンゾは教会へのとりなしを頼まれるのですが…
ロレンゾが地下牢で、少女にしたこととは…

宗教という名を借りて、罪のない人間を痛めつける権力者たち。
しかし、時代の波によって、権力者の立場もクルクルと変わる。
犠牲になるのは、いつの時代も弱者たち。
美少女イネスが15年間幽閉されて、出て来た時の様といったら…
髪は抜け落ち、歯はボロボロ、全身皮膚病になり、まるで老婆のようです。
あの美しいナタリー・ポートマンが、体当たりで汚れ役を演じています。
神父ロレンゾは聖職から追放され、国外に逃亡するのですが、時の権力に乗って凱旋帰国します。
しかし、彼の天国も長くは続かなかった…

権力に執着することの愚かさ、虚しさ。
そういった批判精神は、映画全体を通じて嫌というほどに伝わるのですが、「カッコーの巣の上で」や「アマデウス」ほどには、あの胸が痛くなるような感動は、今回は得られませんでした。
もうひとつ、上っ面を描き過ぎた嫌いがあるように思います。
それでも、重厚で見応えのある時代映画です。

ミロス・フォアマン監督、一体どういう人なのだろうと思って見てみたら、もう76歳、チェコスロバキア出身のユダヤ人だったのですね。
今はアメリカ国籍、両親はアウシュビッツで殺されたのだとか…
また前作のように、眠れなくなるほどの大作を、是非作って欲しいものです。

☆3.5

「宮廷画家ゴヤは見た」 
コメント (4)
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