Zooey's Diary

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「テラビシアにかける橋」

2008年02月08日 | 映画
地味ながら心に残る佳作です。
貧しい家庭の少年ジェスは、家では4人の姉妹に囲まれ、学校でもいじめられて、自分の居場所を見つけることができない。空想好きな少女レスリーに出会い、二人で仮想王国テラビシアを創り上げ、初めて彼は自分の居場所を見つける。しかし幸せな時は長くは続かなかった…

原作はキャサリン・パターソン、国際アンデルセン賞を受賞した児童小説。児童文学にはちょっとウルサイ私が何故知らないのだろう?と思って調べてみたら、日本で刊行されたのは1981年、私が大人になってからなのです。この話は作者の息子に起きた事を元に書かれているのであり、さらにこの映画の脚本はその息子が書いたのだそうです…

主役だけでなく、脇役もみんないい味を出しています。
最初は、厳しいばかりで理解のないように見えた担任教師も、「夢ばかり追いかけているんじゃない!現実を見ろ!」などと言うジェスの父親も、普段は無愛想なバスの運転手も、少年が心に傷を負ってからは、みんなで必死に少年を慰め、励まそうとする。子どもは1人では成長できないのだなあ、としみじみ思いました。

ジェスが、美術館にレスリーを誘わなかったことを「わざと誘わなかったんだ。ぼくのせいなんだ。」と泣くシーンがあります。美しい音楽教師への思慕の念から、というのもあるでしょうが、レスリーへのコンプレックスもあったのではないでしょうか。裕福な家、生活を楽しんでいる知的な両親を持つレスリーに対して、みすぼらしい家、いつもお金の心配をしているくたびれた自分の両親… いかに仲がよくて、いかにレスリーのことを好きであっても、自分にも彼女の持たないモノがあるんだ、というジェラシーの裏返しのような気持ちがあったのではないかと思います。原作を読んでいないのでなんとも言えませんが…

結末については賛否両論あるようですが、私はやはり、現実逃避ではなく、現実に足を踏み入れた前向きなジェスを表したのだと思います。レスリーが与えてくれた沢山のものをジェスが忘れない限り、テラビシアは存在する。ジェスは悲しみを乗り越えて、そこへ至る橋を架けるまでに成長したのです…

少年の数少ない理解者の1人であった魅力的な音楽教師を演じたのは、ズーイー・デシャネルという女優です。やはりサリンジャーの小説からとった名前だそうです。但し本名だというから、彼女ではなく、親の趣味だったのですね。

「テラビシアにかける橋」 公式サイト
コメント (4)
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