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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

文楽「心中天網島」「国姓爺合戦」

2023-02-07 11:14:46 | 文楽
2月6日(月)の昼に、国立小劇場で文楽を見る。2月は「近松名作集」と銘打ち、1部が「心中天網島」、2部が「国姓爺合戦」、3部が「女殺油地獄」という構成。「女殺油地獄」は人形の見せ場があるので、勘十郎が遣うが、太夫が今一つなのでパスして、1部と2部を見た。

1部は11時開始で20分の休憩を挟み、終演は2時半ごろ。河庄、紙屋、太和屋、道行きが出た。冒頭の河庄の口が睦太夫で、これがいかにもまずい語り口で、ガックリしてしまう。切は千歳太夫なので何とか持ち直した。紙屋の口は希太夫で、これも期待できないと思ったが、今回は上手くはないが破綻せずに語り、一応の合格点。奥は藤太夫で最近は安定している。大和屋は咲太夫の予定だったが、病気休演で織大夫が代わって語った。織大夫なら安心して聴ける。最後の道行きはおまけみたいなものだが、4人並んだ太夫の中では小住太夫がまともだった。心中物は何となく後味が悪く苦手だが、近松だと心中物が良くかかるし、客の入りも良いようだ。それでも平日の午前中だから、8割ぐらいの入り。

「国姓爺合戦」は3時15分に始まり、15分の休憩を挟み、終演は6時。人気がないのか、客席は半分ぐらいしか埋まっていなかった。虎狩、楼門、甘輝館、紅流し/獅子が城が出た。これは太夫が揃っていて、どの場も良かった。若いが成長株の碩太夫は虎狩の口を御簾の中で語り、5分ほどだったがなかなか立派な語り口だった。4月の大阪では、「妹背山」の「鹿殺し」を語るようだから、これからも成長を見守りたい。三輪太夫が虎狩の切。楼門は口が小住太夫で、後が呂勢太夫。呂勢がこのところ良くなかったので心配していたが、三味線に大ベテランの清治が入り、ぐいぐいと引っ張ったので、呂勢太夫も大変良かった。甘輝館の切は錣太夫で、出だしが低い声なので心配したが、だんだんと調子が出てよくなった。紅流しは織大夫が熱演。うまくなったなあと感心した。「国姓爺」は歌舞伎でさんざん見たが、どうも話や人物の関係がわかりにくく、面白くないような気もしていたが、文楽で見るとさすがに内容がくっきりと浮き出て面白い演目だと、よくわかった。

家に帰って食事。サラダ、ハンバーグ、シェーブルチーズ。飲み物はボルドーの赤。

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