三浦しおんの「仏果を得ず」が面白い、と文楽ファンから教えられて読んだら、結構、細かく調べて書いていたので、同じ三浦しおんの「あやつられ文楽鑑賞」という本も読んでみた。2007年の発刊で、265ページ、ポプラ社。2004~2006年にウェッブ・マガジンに連載したものの単行本化と書いてあった。全部で15章に分かれていて、文楽の人へのインタビューや自分で見に行った鑑賞記がまとめてある。
基本的には、文楽を知らない人向けに書いているので、前提知識なしに読めて面白いが、楽屋訪問記の部分がやはりいきいきとして面白いのに対して、名作の紹介のように書いた鑑賞記の部分は、どうも物語をそのまま追っているようで、退屈する。この名作鑑賞は実際に見ないと面白くないのではないかと思う。
それでも、多くの人はあまり接していない文楽の世界を、いろいろな観点で書いていて、けっこう面白いと感じた。一つは、わざわざ大阪や京都まで見に行く話。また、四国の内子座の旅回り公演の雰囲気も生き生きと描かれている。僕も、追っかけて内子座まで行ったので、懐かしく思い出した。
最後の方は、「浄瑠璃素人講釈」を読む話まで書いてある。結構難しい本なのだが、彼女が書くと軽いノリで、面白おかしい本のようなので、ちょっと驚いた。知っていることも多いが、こういう本を読むとなんとなく楽しくなるのは、前夜観た野球の試合の記事を翌朝のスポーツ新聞で読むのに似ているかなと思った。
「仏果を得ず」の話は「あやつられ文学鑑賞」には出てこない。僕は「仮名手本忠臣蔵」が大好きで、何度も見ているが、早野勘平切腹の場面で「仏果を得よ」という台詞が出てくるのは、この本で初めて気が付いた。どのように使われているのだろうと思い、もう一度台本を読み直すと、「縞の財布」に言葉をかけて、「紫磨黄金の仏果を得よ」という台詞になっていた。昔は紫色の黄金が良い品だとされていたようだ。本を読むといろいろと勉強になる。
基本的には、文楽を知らない人向けに書いているので、前提知識なしに読めて面白いが、楽屋訪問記の部分がやはりいきいきとして面白いのに対して、名作の紹介のように書いた鑑賞記の部分は、どうも物語をそのまま追っているようで、退屈する。この名作鑑賞は実際に見ないと面白くないのではないかと思う。
それでも、多くの人はあまり接していない文楽の世界を、いろいろな観点で書いていて、けっこう面白いと感じた。一つは、わざわざ大阪や京都まで見に行く話。また、四国の内子座の旅回り公演の雰囲気も生き生きと描かれている。僕も、追っかけて内子座まで行ったので、懐かしく思い出した。
最後の方は、「浄瑠璃素人講釈」を読む話まで書いてある。結構難しい本なのだが、彼女が書くと軽いノリで、面白おかしい本のようなので、ちょっと驚いた。知っていることも多いが、こういう本を読むとなんとなく楽しくなるのは、前夜観た野球の試合の記事を翌朝のスポーツ新聞で読むのに似ているかなと思った。
「仏果を得ず」の話は「あやつられ文学鑑賞」には出てこない。僕は「仮名手本忠臣蔵」が大好きで、何度も見ているが、早野勘平切腹の場面で「仏果を得よ」という台詞が出てくるのは、この本で初めて気が付いた。どのように使われているのだろうと思い、もう一度台本を読み直すと、「縞の財布」に言葉をかけて、「紫磨黄金の仏果を得よ」という台詞になっていた。昔は紫色の黄金が良い品だとされていたようだ。本を読むといろいろと勉強になる。