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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

文楽「競伊勢物語」

2022-05-18 14:41:14 | 文楽
5月17日(火)の昼に国立小劇場で、文楽を見る。伊勢物語に題材をとった作品で初見。東京では35年ぶりの上演だとチラシにはあった。2時30分開始で、15分の休憩を挟み、終演は5時12分だった。30分程度の玉水渕の段と、2時間近い春日村の段。満席かと思ったら、6~7割しか入っていなかったのでちょっと驚いた。

太夫は、玉水渕が最初に亘太夫、奥が織大夫。亘太夫はまだ前座だが、聴いているほうがつらい。織大夫は希望の星だが、疲れているのか元気がなかった。プログラムを見てみたら、咲太夫が休演で、代わりを織大夫が務めているので、午前に自分の出番と師匠の代役を務め、午後にまた出ているので疲れるのも無理はない。

春日村の段は見せ場で、最初が小住太夫、続いて籐太夫、最後が千歳太夫。3人ともそれなりに頑張っていた。特に籐太夫は成長著しい感じ。毎回熱演の千歳太夫だが、今回はお茶が出て、弟子が横に座ったので、切場語りになったのかと思ってプログラムを確認したら、ちゃんと「切」となっていた。ネットで調べると、今年の4月から、千歳太夫を含めて3人が切場語りに昇格したようだ。70歳代の呂太夫と錣太夫、そして62歳の千歳太夫だ。現在唯一人残っている切場語りの咲太夫が77歳で、休演がちだから、そろそろ次の世代を指名したのだろう。咲太夫の昇格が2009年だったので、それ以来13年ぶりだが、東京の公演ではチラシにも説明がなく、ちょっともったいないなと思った。

まあ、一番若い千歳太夫は実力も備わってきたが、ほかの二人はちょっと心配。千歳太夫の後は、織大夫や呂勢太夫、籐太夫あたりが10年後を目指すのだろうという印象。

今回の公演の人形は、母親の和生、有常の玉男は良いが、ほかが若手で弱かった。せめて娘信夫(しのぶ)役はもう少しベテランを当ててほしかった。それでも、珍しい演目を楽しみ、なかなか面白い作品だと思った。

ちょうどよい時間になったので、行きつけのビストロで食事。鰯のマリネ、ビーフのフリット、ブラマンジェなど。コート・ド・ローヌの赤。

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