8月9日(金)の夜に東京芸術劇場のシアターウエストで、中村蓉のダンス「邦子狂騒曲」を見る。7時半開演で、途中10分間の休憩があり、終演は9時25分頃。9時30分から15分程度の対談もあった。途中で神奈川の地震があり、安全確認のため約10分ほど中断があったが、無事再開された。エプロンステージの張り出しがあるので、収容人数は200名ちょっとだろうと思うが、ほぼ満席で、比較的若い年齢層が多かった。
東芸ダンス・シリーズの一環で、コンテンポラリー・ダンサーの作品を紹介するシリーズのようで、今回は中村蓉のダブルビル。二期会のオペラの演出・振付を中村蓉が担当したのを見て面白く感じたので、彼女の作品がどんなものだろうと思って見た次第。今回の作品は向田邦子の作品にインスパイアされたもので、「向田邦子へのオマージュ」といってよいような内容。
前半は短編小説「花の名前」に題材をとったもので、俳優の福原冠が朗読調で語るのをバックに、中村蓉が主人公役となって踊る。もう一人、二期会のメゾソプラノ和田美樹子が長谷川ミキのピアノに合わせて少し歌う。ダンスと朗読、歌と別れるのではなく、中村蓉も台詞を語り、福原や和田も登場人物の一人を演じて踊る。原作の小説を読んで、こんな話がコンテ(ンポラリー・ダンス)になるのだろうかと思ったが、見てみると朗読劇といった印象。大半は朗読に合わせたマイム調の動きだが、途中で主人公の心理が動揺する場面はトルコ調の音楽で心理描写をした。終わりはドビッシーの音楽が流れ、最後には「恋人よわが胸に帰れ」という曲が使われていた。浮気した旦那に未練があるのを表現したのだろうか。福原はマイクを使っていたが、小さな劇場なので生声でやったほうが良い。マイクを通すと、かえって聞きづらいし、細かいニュアンスが出ないので、損をしている。
後半の「禍福はあざなえる縄のごとし」は、ダンサーの島地保武と西山友貴が大半を踊る。いくつかの向田邦子作品からテーマを選び、それをダンスで表現する。前半は物語があったが、後半は言語化されたテーマを踊るイメージで、テーマを身体表現するのだが、何となく昔のテレビ番組「ジェスチャー」を思い出した。表現が日本舞踊でいうところの「あてぶり」なのだ。途中で前半の3人も加わり「シチュエーション」が示される場面は、前半と同じように物語性が感じられた。島地の踊りは、動きの一つ一つにクラシック・バレエの基礎が感じられて、美しさがあった。
コンテは、抽象的な作品やテーマが多く、退屈させられることが多いが、中村蓉の作品は演劇の延長線上にあるとも言え、退屈せずに楽しめる。前半の「花の名前」でのダンスの役割は、オペラにおける歌と同じように、心理描写に使われたわけで、それ以外はマイム。逆に後半は全体がマイム的なダンスでとなっていて、途中で簡単なプロットが出るという構造になっていた。
これをコンテと呼ぶのが良いのかはよくわからないが、面白かったことは確か。ブロードウェイでも、ジャスティン・ペックの振付けた新作「イリノイ州」が、果たしてミュージカルなのか、何なのかと話題になっており、ダンス界でもいろいろと面白い動きがあるのだなあと、思った。全体として面白いのだが、衣装は陳腐。まるで美大生の習作のようだった。
夜になっても暑いので、買い物して帰宅し、家で軽い食事。生ハム、サラミ、アンチョビ・オリーブ、バゲットとチーズ。飲み物はイタリア産スプマンテ。
東芸ダンス・シリーズの一環で、コンテンポラリー・ダンサーの作品を紹介するシリーズのようで、今回は中村蓉のダブルビル。二期会のオペラの演出・振付を中村蓉が担当したのを見て面白く感じたので、彼女の作品がどんなものだろうと思って見た次第。今回の作品は向田邦子の作品にインスパイアされたもので、「向田邦子へのオマージュ」といってよいような内容。
前半は短編小説「花の名前」に題材をとったもので、俳優の福原冠が朗読調で語るのをバックに、中村蓉が主人公役となって踊る。もう一人、二期会のメゾソプラノ和田美樹子が長谷川ミキのピアノに合わせて少し歌う。ダンスと朗読、歌と別れるのではなく、中村蓉も台詞を語り、福原や和田も登場人物の一人を演じて踊る。原作の小説を読んで、こんな話がコンテ(ンポラリー・ダンス)になるのだろうかと思ったが、見てみると朗読劇といった印象。大半は朗読に合わせたマイム調の動きだが、途中で主人公の心理が動揺する場面はトルコ調の音楽で心理描写をした。終わりはドビッシーの音楽が流れ、最後には「恋人よわが胸に帰れ」という曲が使われていた。浮気した旦那に未練があるのを表現したのだろうか。福原はマイクを使っていたが、小さな劇場なので生声でやったほうが良い。マイクを通すと、かえって聞きづらいし、細かいニュアンスが出ないので、損をしている。
後半の「禍福はあざなえる縄のごとし」は、ダンサーの島地保武と西山友貴が大半を踊る。いくつかの向田邦子作品からテーマを選び、それをダンスで表現する。前半は物語があったが、後半は言語化されたテーマを踊るイメージで、テーマを身体表現するのだが、何となく昔のテレビ番組「ジェスチャー」を思い出した。表現が日本舞踊でいうところの「あてぶり」なのだ。途中で前半の3人も加わり「シチュエーション」が示される場面は、前半と同じように物語性が感じられた。島地の踊りは、動きの一つ一つにクラシック・バレエの基礎が感じられて、美しさがあった。
コンテは、抽象的な作品やテーマが多く、退屈させられることが多いが、中村蓉の作品は演劇の延長線上にあるとも言え、退屈せずに楽しめる。前半の「花の名前」でのダンスの役割は、オペラにおける歌と同じように、心理描写に使われたわけで、それ以外はマイム。逆に後半は全体がマイム的なダンスでとなっていて、途中で簡単なプロットが出るという構造になっていた。
これをコンテと呼ぶのが良いのかはよくわからないが、面白かったことは確か。ブロードウェイでも、ジャスティン・ペックの振付けた新作「イリノイ州」が、果たしてミュージカルなのか、何なのかと話題になっており、ダンス界でもいろいろと面白い動きがあるのだなあと、思った。全体として面白いのだが、衣装は陳腐。まるで美大生の習作のようだった。
夜になっても暑いので、買い物して帰宅し、家で軽い食事。生ハム、サラミ、アンチョビ・オリーブ、バゲットとチーズ。飲み物はイタリア産スプマンテ。