岡田暁生の「『クラシック音楽』はいつ終わったのか?」を読む。人文書房から出ている140ページほどの本で、2010年の出版。薄いので簡単に読める。レクチャー「第一次世界大戦を考える」の一冊として出た本で、副題には「音楽史における第一次世界大戦の前後」とある。題名から推察できるように、現在われわれが「クラシック音楽」と考えているものは、第一次世界大戦により、終わったことを示唆している。示唆しているというのは、本を読んでも、明確には書いてないからだ。
5章からなる構成で、最初の1章は第一次世界大戦の前後に起きた音楽界の変化と社会的な出来事を記述してあり、いわば概説だが、ここが一番面白い。2章と3章は、主要な作曲家たちの、戦前、戦中における作風の変化などが述べられていて、絵画などと比較しながら、前衛へ向かった様子がわかる。
4章、5章はドイツの音楽批評家パウル・ベッカーの戦前、戦中、戦後の変遷などをたどり、音楽と社会の関係が考察されている。この部分は結構難しい。僕なりの解釈では、ベルエポックまでは、ブルジョワ個人の趣味みたいに音楽が扱われてきたが、第一次大戦後には個人を包み込む大衆が出現して、状況が一変したというような話だ。
いろいろと勉強にはなるが、なぜこうした変化が起きたのかは、今一つクリアに述べられていない。いろいろな分野をまたぐ、総合的な研究が必要なのかも知れない。
本件については、気になったので、岡田暁生が同じテーマについて書いた岩波書店の「第一次世界大戦 3精神の変容」のt当該部分も読んでみた。この本は第一次世界大戦100年目にあたる2014年に出版された4巻本の一冊で、岡田氏は「総説」と「第一次世界大戦と演奏会文化の変質」という題名で書いている。しかし、内容的にはあまり変わっておらず、聴衆が第一次世界大戦により、戦争成金などに変わったことが書かれているに過ぎなかった。
5章からなる構成で、最初の1章は第一次世界大戦の前後に起きた音楽界の変化と社会的な出来事を記述してあり、いわば概説だが、ここが一番面白い。2章と3章は、主要な作曲家たちの、戦前、戦中における作風の変化などが述べられていて、絵画などと比較しながら、前衛へ向かった様子がわかる。
4章、5章はドイツの音楽批評家パウル・ベッカーの戦前、戦中、戦後の変遷などをたどり、音楽と社会の関係が考察されている。この部分は結構難しい。僕なりの解釈では、ベルエポックまでは、ブルジョワ個人の趣味みたいに音楽が扱われてきたが、第一次大戦後には個人を包み込む大衆が出現して、状況が一変したというような話だ。
いろいろと勉強にはなるが、なぜこうした変化が起きたのかは、今一つクリアに述べられていない。いろいろな分野をまたぐ、総合的な研究が必要なのかも知れない。
本件については、気になったので、岡田暁生が同じテーマについて書いた岩波書店の「第一次世界大戦 3精神の変容」のt当該部分も読んでみた。この本は第一次世界大戦100年目にあたる2014年に出版された4巻本の一冊で、岡田氏は「総説」と「第一次世界大戦と演奏会文化の変質」という題名で書いている。しかし、内容的にはあまり変わっておらず、聴衆が第一次世界大戦により、戦争成金などに変わったことが書かれているに過ぎなかった。