劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

小林研一郎指揮東京フィルハーモニーのベートーヴェン

2021-03-28 10:38:00 | 音楽
3月27日(土)の昼に文教シビックセンターで、小林研一郎指揮の東京フィルハーモニを聞く。午後3時開演で、15分間の休憩をはさみ、終演は午後5時頃。市松模様による50パーセント収容。

前半は川久保賜紀を迎えて、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、後半は交響曲の7番。このプログラムは昨年の6月ごろに予定されていたが、コロナ騒動で公演が中止されたため、リベンジで開催されたもの。

前半の川久保のヴァイオリンは美しい音色を聞かせたが、この曲は変化に乏しく単調なので、ちょっと退屈した。後半の交響曲7番はメリハリもあって面白い。第2楽章の沈んだムードが、3楽章以降でがらりと変わって熱を帯びた演奏だった。小林はあと数日で81歳になると語っていたが、1年前よりも元気そうに見えた。やはり演奏活動をしているほうが元気なのかもしれない。

昨年はベートーヴェン年ということで、結構たくさんベートーヴェンを聞いたが、なかなか面白い作品が多く、以前よりも好きになった。

文教シビックセンターは、「響きの森」と称して東京フィルハーモニーとの提携によるコンサートを年4回開催してきたが、4月から1年半ぐらい改装工事に入るため、こうしたシリーズもしばらく休止されるようだ。牧阿佐美バレエ団もこのホールをよく使っていたと思うので、置いてあったチラシをチェックしたら、来年度はいろいろなホールをを使って公演をやるようだ。

文教シビックセンターは、椅子がちょっと変わった構造で、長く座っているといつも腰が痛くなるので、改装するならば是非椅子も見直してほしいと思うが、空調設備と一体化した特殊な構造なので、期待薄かもしれない。

帰りにスーパーで買い物して、家で食事。ニンジンのポタージュ、サラダ、豚ロース肉のソテーなど。飲み物はカヴァと白。

新国立劇場の「ワルキューレ」

2021-03-24 16:16:30 | オペラ
3月23日(火)の昼に、新国立劇場でワーグナーのオペラ「ワルキューレ」を見る。当初予定されていたキャストはほぼ全滅で、ほぼ全員が変更されている。コロナ禍のためだとは言え、こうまでキャストが変わると、文句を言うよりもあきれるしかない。主要キャスト6人のうち、予定通りというのはフリッカ役の藤村実穂子だけで、他は全員変更。外国からこれなくなったこともあり、外国人はヴォータン役のクプファー=ラデツキーだけで、あとは全員日本人。ワーグナーの歌をどこまで日本人が頑張れるのかが試されたが、おおむね女性陣は健闘したが、男性陣は弱かった。特に、主役ともいえるジークムントは、1幕と2幕を違う人が歌うという変則的なキャスティングだった。

キャストだけでなく、指揮もワーグナーの得意な全音楽監督飯森氏が入院して手術を受けたということで、現音楽監督の大野和士が代理で振ったが、最終日の23日は大野氏の予定もつかないということで、城谷正博の指揮だった。

演出は再演であり、新たにコメントするものではないが、好きになれない部分はあるとしても、それほどわかりにくくもなく、平均的な出来。ただし、2幕の照明はずっと逆光線が続いて、演技者の顔や表情が見にくいのは問題だと思う。

1幕は村上敏明がジークムントをうたったが、調子が悪かったのかどうか、ちっとも声が出ていないし、最後のほうはエネルギー切れなのか、歌うのも苦しそうだった。これでは2幕も歌うのは無理として芸術監督が2幕を秋谷直之にしたのはわかるが、いっそ1幕から秋谷に歌わせたほうがよかったのではないかと思わせる出来だった。それに対してジーグリンデ役の小林厚子はよく声が出ていて、これならば日本人のワーグナーを聞いてもよいと思わせるものだった。

2幕はヴォータン役のラデツキーと妻フリッカ役の藤村が安定していて安心して聞け、ブリュンヒルデ役の池田香織も頑張ったので、聞きごたえはあったが、よく聞いているとヴォータンの説明がくどくどと長く延々と続くので、聞いているだけで疲れた。こういうところがワーグナーの文学趣味で、まるで台詞劇のように長く独白的なセリフを続けるので、まるで寺子屋の野辺の送りを見ているような気分となった。

3幕の最初はワルキューレの騎行で、オーケストラの聞かせどころのはずだが、東京交響楽団では荷が重く、迫力が感じられない演奏となった。ワーグナーはオーケストラで聞かせるような部分が多いので、もっとしっかりとしたオーケストラにしないと面白くない。しかし、芝居としてはヴォータンの悩める姿がよく出ていて面白くはあった。

1幕が65分、休憩40分、2幕は95分で休憩35分、3幕は75分で、午後2時に始まって、終了は5時20分ごろ。50パーセント収容だが、センター席の前方に集中して着席しているので、結構疲れた。若い頃には朝から夜まで「仮名手本忠臣蔵」の通しを見ても平気だったのに、歳を重ねて体力が低下して、腰が痛くなった。

家に帰って軽い食事。サラダ、オリーブを乗せたブルスケッタ、キャビア(の偽物)、イワシのオーヴン焼きなど。飲み物はCAVA。

新国立バレエ研修所の「エトワールへの道程」2021

2021-03-21 14:05:31 | バレエ
3月20日(土)の昼に新国立の中劇場で「エトワールへの道程」を見る。毎年行われているバレエ研修所の卒業発表会で、今回は16期生女性4人男性3人がいろいろと踊りを見せる。15時開演で、25分間の休憩をはさみ終演は16時55分ごろだった。収容は50パーセントだが、チケットを売り出して50パーセントになったところで販売をやめたようで、センター席はほぼ満席で、両サイドの後ろや2階席は空いているという状態。これがOKならば、あとは劇場全体の換気の問題だけなので、100パーセントのフルフル収容でも何ら問題ないのではないかと思える。

プログラムは最初に研修助長の牧阿佐美振付による全員で踊るワルツがあり、そのあとは「ハルレキナーダ」のパドドゥ、「海と真珠」のパドトロワ、「海賊」のパドドゥで前半が終わり、後半は、「ライモンダ」3幕の抜粋。卒業する16期生が中心だが、17期生や予科の研修生たちもコールドとして参加するだけでなく、ゲストのプロダンサーも7名ほど参加している。

最初のワルツ以外は、ほとんどがプティパの振付で、いわゆる古典的な踊りが中心。今回はセットは在りものみたいな印象だが、衣装は一通りそれらしいものが用意されている。そして特筆すべきはオーケストラで、東京フィルハーモニーがピットに入り、井田勝大が指揮という豪華な顔ぶれ。東フィルは大編成でトロンボーン3人だったから、中劇場では大音響が鳴り響いた。こんな豪華なオケがつくのは普通のバレエ団の公演でもめったにない。中劇場では、通常5列目までをオケピットとして使っているが、大編成なので、今回は9列目までオケピットとなっていた。

踊りの内容は研修所の発表会だから、そうしたレベルだが、今回は男性ダンサーが多く、高いジャンプを見せる人もいた。

前半の途中で研修風景を見せるビデオが10分間ほど流されたが、いろいろな授業があって、なかなか充実した内容だなあと感心をした。最後に卒業生たちの活躍が流れるが、1期卒業が本島美和、3期卒業が小野綾子、そして10期卒業が木村優里となっている。そろそろ次のスターが登場してもよい頃のはずだが、今年の卒業生はどうだろうか。

ちょうど夕方だったので、いつものスペインバルで軽い食事。生ハム、トルティージャなどに加えて、塩タラのフリトスを食べたが、とてもおいしかった。

太田弦指揮の日本フィルと伊藤恵

2021-03-18 10:48:34 | 音楽
3月17日(水)の夜に芸術劇場で、日本フィルのコンサートを聴く。7時開演、15分の休憩をはさみ、終焉は8時50分ごろ。50パーセント収容で、1列おきの着席スタイル。観客層は年金生活者中心。

曲目は、伊藤恵のピアノによるシューマンのピアノ協奏曲が最初にあり、休憩をはさみ後半はリムスキー=コルサコフのシェエラザード。指揮の太田は30歳近いはずだが、なんとなく童顔で、中学生のようにも見える。伊藤と一緒に舞台に並ぶと、お祖母ちゃんと孫といったムードだ。

前半のシューマンのピアノ協奏曲は、伊藤の端正な演奏で、思いのほか楽しめた。いつもこの曲を聴くとメリハリがなく退屈してしまうことが多いが、今回は伊藤の演奏がよく、惹き込まれて聞いた。オーケストラは伴奏的についていた。

後半のシェエラザードは、オーケストラの聞かせどころが満載の曲だ。冒頭のヴァイオリンのソロは良かったが、それに続く管が乱れて、最初の5分間ぐらいはなんだかもっさりとして、つまらない演奏が続いた。これはちょっとテンポが遅すぎてうまく合わなかった印象。しかし、途中からそれは修正されて、だんだんとテンポも上がり、調子が出てきた。ファゴットのソロあたりから良くなって、乗ってきて、最後の大音響の合奏などは結構聞かせた。

ファゴット、ホルン、フルートなどの独奏がなかなか美しく響き、曲を堪能した。この曲は各楽器の特色を生かしたオーケストレーションがされているので、聞いていて退屈しない。出だしは心配したが、最後には満足する演奏で終わった。

家に帰って軽い食事。サラダ、コーンスープ、オイルサーディンのオーブン焼きなど。飲み物はラングドックの白。


キンボー・イシイ指揮NHK交響楽団+松田理奈

2021-03-16 11:05:19 | 音楽
3月15日(月)の夜に池袋の東京芸術劇場でNHK交響楽団を聞く。7時開演で20分間の休憩をはさみ8時50分ごろ終演。チケットは1列おきの販売で、50パーセント収容。客層は年金生活者中心。曲目は最初に「フィガロの結婚」序曲。続いて松田理奈のヴァイオリンでメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。休憩の後はベートーヴェンの交響曲第7番。

どれも素晴らしい演奏で、引き込まれた。松田のヴァイオリンは派手さこそないが、美しい音色を聞かせて飽きさせることがない。オーケストラとの呼吸も合い、名曲を堪能。驚いたことに、長いドレスの下は素足のように見えた。

ベートヴェンの7番は今まで聞いた演奏の中で最も良いと感じた。一つ一つの楽器の音が明確に響きながらも、全体として一つに溶け合い、オーケストラ全体がまるで一つの楽器のように聞こえる。第二楽章の展開や、第四楽章の迫力に思わず圧倒された。こうした演奏をいつも聞ければ元気が出る。コロナを吹き飛ばす勢いが感じられた。

すっかり満足して家に帰り、軽い食事。サラダと仔羊肉のナヴァラン風煮込み。飲み物はCAVA。