7月29日夕方から、サントリ―の小ホールで開催されたベリーニのオペラ「ベアトリーチェ・ディ・テンダ」を観る。南條年章オペラ研究室によるベリーニ全オペラ連続演奏企画の8回目の作品で、ベリーニは10作品しか書いていないから、もう終わりの方だ。ピアノ1台の伴奏による演奏会形式で、日本語字幕付きでありがたい。出演はソリストが5人と男性合唱7人、女声合唱は男性の倍以上いた感じ。
サントリー・ホールのブルーローズと呼ばれる小ホールは300席ぐらいあると思うが、大体6~7割程度の入りで、オペラ公演にしては女性比率が高い気がした。もちろん年齢層はかなり高め。17時開演で、20分間の休憩を挟んで、終演は19時35分頃だった。
ベリーニの作品としては9番目の作品で、「ノルマ」の次に書かれて、この作品の後は「清教徒」なので、なかなか音楽的にも良いと思ったが、なぜかあまり上演されない。パンフレットによると、完全上演は日本初めてとなっていた。
ミラノ大公は妻のベアトリーチェが権力を持っていることが気に入らず、女官のアニェーゼの思いを寄せているが、当のアニェーゼは別のオロンベッロという貴族に思いがある。アニェーゼは、オロンベッロに思いを伝えようとするが、オロンベッロはベアトリーチェに思いを寄せていたことが分かり、逆上したアニェーゼは、ベアトリーチェがオロンベッロと通じているとミラノ大公に訴える。大公は本心では信じていないが、ベアトリーチェを疎ましく感じていたため、裁判にかけて死刑にしようとする。自分の告発が招いた結果を後悔したアニェーゼはベアトリーチェに真実を打ち明けるが、ベアトリーチェはそれを許し、刑場に向かっていく。
実話に基づいた話で、結構複雑な四角関係で分かりにくいが、あらすじを読んで、字幕付きで公演を観たらよく理解できた。ベアトリーチェの立場は、なんとなく、前作の「ノルマ」にも似ているし、ミラノ大公が動き出した裁判を止めることができずに悩むところなどは、アーサー王伝説を描いたミュージカルのキャメロットのアーサー王にも似ている感じがする。1833年当時にこうした実話を題材とした作品を上演できたことは驚きだが、ミラノのスキャンダルなので、ヴェネチアでは上演の許可が得られたのではないかという気がする。イタリアが統一されるのは確か1861年頃なので、その前は地域ごとに別々に統治されていたからだ。
歌手のレベルは概ね満足すべきもので、小さなホールでは十分に響く声量だった。ベアトリーチェを歌った出口正子は、恐らく70歳近い年齢ではないかと思うが、若々しく美しい歌声を披露した。しかし、前半でエネルギーを使い果たしたためか、後半では音程が不安定で、ちょっと聞き苦しい点もあった。企業で言えば、とっくに定年となっている年齢で、未だ活躍できるのは素晴らしいと思うが、長時間の公演ではやはり体力的に問題があるように思えた。
アニェーゼの鳥木弥生は前半よりも後半の方が調子を上げて、声がよく出ていた。ミラノ大公の坂本伸司は素晴らしいバリトンで、声量も歌唱も満足な水準。一番良いと思ったのはオレオンベッロ役を歌ったテノールの琉子健太郎で、高音が美しいテノールで、聞きほれた。
全体的にいかにもベリーニらしいというようなアジリタでの歌唱は、うまく歌えていなかったような気がする。やはり昔風の歌い方の上手な歌手が登場してくれると嬉しいと思った。いろいろと問題もあるが、初めての演目で十分に楽しんだ。
サントリー・ホールを出ると、カラヤン広場にビア・ガーデンができていて、「よなよなビール」の生が出ていた。サントリー・ビールではないのだと思ったが、クラフト・ビールで結構人気のある「よなよな」なので、帰りがけにビールだけ飲んだ。ペール・エールの「よなよな」と、もっと香りの強いインディアン・ペール・エールの「インドの青鬼」を飲む。缶ビールで知っている味と同じだったが、生なのでちょっとすっきりとした感じ。ただしエール・ビールにしては温度が低すぎるような気もした。
その後はいつものスペインバルで、ウサギ肉の煮込みなどを食べた。
サントリー・ホールのブルーローズと呼ばれる小ホールは300席ぐらいあると思うが、大体6~7割程度の入りで、オペラ公演にしては女性比率が高い気がした。もちろん年齢層はかなり高め。17時開演で、20分間の休憩を挟んで、終演は19時35分頃だった。
ベリーニの作品としては9番目の作品で、「ノルマ」の次に書かれて、この作品の後は「清教徒」なので、なかなか音楽的にも良いと思ったが、なぜかあまり上演されない。パンフレットによると、完全上演は日本初めてとなっていた。
ミラノ大公は妻のベアトリーチェが権力を持っていることが気に入らず、女官のアニェーゼの思いを寄せているが、当のアニェーゼは別のオロンベッロという貴族に思いがある。アニェーゼは、オロンベッロに思いを伝えようとするが、オロンベッロはベアトリーチェに思いを寄せていたことが分かり、逆上したアニェーゼは、ベアトリーチェがオロンベッロと通じているとミラノ大公に訴える。大公は本心では信じていないが、ベアトリーチェを疎ましく感じていたため、裁判にかけて死刑にしようとする。自分の告発が招いた結果を後悔したアニェーゼはベアトリーチェに真実を打ち明けるが、ベアトリーチェはそれを許し、刑場に向かっていく。
実話に基づいた話で、結構複雑な四角関係で分かりにくいが、あらすじを読んで、字幕付きで公演を観たらよく理解できた。ベアトリーチェの立場は、なんとなく、前作の「ノルマ」にも似ているし、ミラノ大公が動き出した裁判を止めることができずに悩むところなどは、アーサー王伝説を描いたミュージカルのキャメロットのアーサー王にも似ている感じがする。1833年当時にこうした実話を題材とした作品を上演できたことは驚きだが、ミラノのスキャンダルなので、ヴェネチアでは上演の許可が得られたのではないかという気がする。イタリアが統一されるのは確か1861年頃なので、その前は地域ごとに別々に統治されていたからだ。
歌手のレベルは概ね満足すべきもので、小さなホールでは十分に響く声量だった。ベアトリーチェを歌った出口正子は、恐らく70歳近い年齢ではないかと思うが、若々しく美しい歌声を披露した。しかし、前半でエネルギーを使い果たしたためか、後半では音程が不安定で、ちょっと聞き苦しい点もあった。企業で言えば、とっくに定年となっている年齢で、未だ活躍できるのは素晴らしいと思うが、長時間の公演ではやはり体力的に問題があるように思えた。
アニェーゼの鳥木弥生は前半よりも後半の方が調子を上げて、声がよく出ていた。ミラノ大公の坂本伸司は素晴らしいバリトンで、声量も歌唱も満足な水準。一番良いと思ったのはオレオンベッロ役を歌ったテノールの琉子健太郎で、高音が美しいテノールで、聞きほれた。
全体的にいかにもベリーニらしいというようなアジリタでの歌唱は、うまく歌えていなかったような気がする。やはり昔風の歌い方の上手な歌手が登場してくれると嬉しいと思った。いろいろと問題もあるが、初めての演目で十分に楽しんだ。
サントリー・ホールを出ると、カラヤン広場にビア・ガーデンができていて、「よなよなビール」の生が出ていた。サントリー・ビールではないのだと思ったが、クラフト・ビールで結構人気のある「よなよな」なので、帰りがけにビールだけ飲んだ。ペール・エールの「よなよな」と、もっと香りの強いインディアン・ペール・エールの「インドの青鬼」を飲む。缶ビールで知っている味と同じだったが、生なのでちょっとすっきりとした感じ。ただしエール・ビールにしては温度が低すぎるような気もした。
その後はいつものスペインバルで、ウサギ肉の煮込みなどを食べた。