劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

仲道郁代と萩原麻未のピアノ・デュオ

2023-07-29 16:48:40 | 音楽
7月28日(金)の夜に文京シビック・ホールで、仲道郁代と萩原麻未のピアノ・デュオを聴く。文京シビックの夜クラシックシリーズの一環。比較的年齢層は高く、1階席のみで7割程度の入り。マスク比率は5割程度。7時開演で、終演は8時45分。

このシリーズでは、出演者が簡単な話を挟みながら、演奏をを行う。ベテランの仲道は大学で教えているためか、話慣れている印象。若手の萩原は仲道に促されて話をしていた。

曲目は、最初に恒例のドビッシーの「月の光」があり、モーツァルトの2台のピアノのためのソナタ、続いてラヴェルのラ・ヴァルス。休憩が入り、後半はボロディンのダッタン人の踊り、最後にビゼーのカルメン幻想曲。アンコールはバッハともう一曲を連弾で弾いた。ピアノはヤマハ製を2台並べて使った。

モーツァルトの曲はいかにもモーツァルトというお馴染みの曲。次のラヴェルの曲は初めて聞いたが、とても面白く気に入った。後半のボロディンの曲は耳慣れた旋律で楽しくはあるが、もっと迫力があったらと感じさせる。ビゼーの曲はアメリカのグレッグ・アンダーソンの編曲版となっていて、技巧的にも体力的にもなかなか大変そうな印象だったが、それほど面白く感じられなかった。

デュオのチームではなく、独立して活躍する二人のピアニストがデュオを組んで演奏するのもなかなか良いなあと思い、機会があったら、また行こうと考えた。

夜になっても暑く、家に帰って簡単な食事。しし唐と玉ねぎ、トマト、パンチェッタのカレー風味炒め、ソーセージ、カマンベール・チーズなどとイタリア産の白ワイン。

宝塚の「1789/バスチーユの恋人たち」

2023-07-28 17:07:21 | ミュージカル
7月27日(木)の夜に東京宝塚劇場で「1789/バスチーユの恋人たち」を見る。フランス革命を背景に、革命派の農民出身の青年ロナンと、マリー・アントワネットの子供の養育係を務める娘オランプの恋物語。人気の演目で何回目かの再演だが、客席は満員。女性比率が高く9割程度。マスク率は半分ぐらい。7時に始まり、35分間の休憩を挟み、終演は9時10分頃だった。

東京宝塚劇場は建て替わる前はよく通ったが、最近はチケットが取りにくいこともあり、あまり行かなくなった。宝塚を見るのも久しぶり。今回は星組で、トップは礼真琴。元はフランスのロック・ミュージカルだが、宝塚版は小池修一郎が脚色して日本向けにしてある。場面転換が多いが、スピーディな展開で飽きさせず、面白かった。フランス版に比べると、少し「ベルばら」っぽくなっている印象。出演者では暁千星が光っていた印象。最後はラインダンスや大階段で締めくくる。

曲はロック調で、8ビートや16ビートなどが多いが、メロディアスで聴きやすい。振付や美術は日本向けに作られ、照明も宝塚らしくきっちりと明るくしてあり、見やすい舞台だった。

フランス物は、似たような作品がたくさんあるから、いろいろと上演しても良いような気がする。

終わってもまだまだ暑かったが、帰りにいつものスペインバルで軽い食事。タパスの盛り合わせでいろいろと食べた。

チョン・ミョンフンの「オテロ」

2023-07-24 13:20:53 | オペラ
7月23日(日)の午後に、オーチャード・ホールでチョン・ミョンフン指揮、東京フィルの演奏会形式「オテロ」を見る。9割以上の入りだった。N響の観客層と比べると少し若い感じ。

今回は演奏会形式だが、歌手が揃っていて、簡単な演出も付いており、ミョンフンの指揮も良かったので、オペラとして楽しむことができた。幕開きから嵐の場面で、オケの大音響と、新国立合唱団60人ぐらいの大合唱が付いており、わくわくする。オテロを歌ったグレゴリー・クンデは、見事な歌いぶりで、声を堪能できた。対するデズデモーナは小林厚子で、これまた素晴らしい歌を聞かせてくれた。敵役イアーゴはバリトンのダリボール・イェニスで、声も良く声量も十分だが、時折、内にこもるような声となった。カッシオ役のテノール、フランチェスコ・マルシーリアは、美しい声だが、声量に問題があった。ほかの日本人メゾ・ソプラノ、中島郁子は立派な歌唱。端役で出たテノールの村上敏明は存在感が全く感じられなかった。

ミョンフンの指揮は、淡々とテンポを刻むように見えたが、オーケストラはドラマチックな表情を付けた音を奏でており、うまい指揮者とはこういうものなのかと感心する。東フィルは、いつも新国立劇場のピットに入っているのを聴いているが、ステージの上で演奏すると、音の迫力が一段と増して聞き惚れる演奏。演奏会形式でも結構楽しめる演奏があるなあと、改めて感じた。

午後3時から始まり、20分の休憩を挟んで、終演は5時50分頃だったが、まだまだ暑かった。帰りにスーパーで買い物して、家で食事。マッシュルームのアヒージョ、サラダ、豚ヒレ肉のソテー、マルサラ風ソースなど。飲み物はイタリアのスプマンテ、食後にチェコのベヘロフカ。

井上バレエ団の「シルヴィア」

2023-07-17 14:03:36 | バレエ
7月16日(日)の昼に、文京シビックセンターで、井上バレエ団のバレエ「シルヴィア」を見る。6~7割の入り。「シルヴィア」はドリーブの音楽が有名だが、全幕での上演があまりないので、貴重な機会だと思い、見に行った。3幕構成で、40分、20分、40分程度だが、15分と20分の休憩が入って、開演は15時、終演は17時20分頃。観客は女性比率が高い。

井上バレエ団の公演は初めて見るが、男性のソロダンサーが不足しているのか、他バレエ団からの出演が多かった。女性のコールドは豊富。音楽はロイヤル・チェンバー・オーケストラという寄せ集め的なオケで、指揮はバレエ専門の富田美里。

物語は、ギリシャ神話物で、ディアナのニンフ、シルヴィアと羊飼いアミンタの恋物語だが、狩人オリオンが横恋慕して邪魔する。二人を助けるのは、エロスの役割。1986年にパリオペで初演された、ロマンチック・バレエ末期の作品で、今回は石井竜一が、恐らくはオリジナルで振付し直した様子。

セットや衣装も頑張って作られていて楽しめるが、踊りや衣装は、ロマンチック・バレエというよりも、古典派バレエに近い。特に3幕は、ディアナによる主人公たちの結び付けを冒頭に見せて、そのあとはディヴェルティスマンが延々と続く古典派バレエのスタイルになっていた。この場面ではチュチュも古典派のスタイル。今の日本人は、プティパのスタイルに慣れているから、こうした形にしたのだろう。しかし井上バレエ団は、昔からブルノンヴィルをやっていたので、もう少し古いスタイルでもよいのではないかという気がした。

タイトル・ロールは根岸莉那という若い人で、一通り踊るが、きめのポーズなどは、もう少しきっちりと決めてほしかった。いろいろと問題はあったが、ディアナの金色の衣装などは、よくできていて美しかったし、音楽も含めて楽しんだ。

暑いので家にまっすぐ帰って食事。サラダ、ナスのクミン炒め、鶏肉のカレー風味焼き。飲み物はヴァン・ムスー。

シアター・オーブの「ウエスト・サイド・ストーリー」

2023-07-11 11:13:18 | ミュージカル
7月10日(月)の夜に渋谷のシアター・オーブで「ウエスト・サイド・ストーリー」を見る。来日公演で、本格的なものとは言えないが、一般的なツアー・プロダクションのレベル。月曜の夜の回だが満席で、若い人も多かった。マスク比率は2~3割で随分と低い。マリアがダンス・パーティに着ていく、白のドレスに赤いベルトという服装で見に来ている女性もいて、ちょっと驚いた。

スピルバーグの新しい映画版も作られ、ブロードウェイでは新解釈の判も上演されているので、久々に舞台が見たくなりチケットを取った。今回の公演は、オリジナルの音楽、台本、振付に忠実な印象で、65年前に初演された当時の舞台のムードがよくわかる。改めてみてみると、映画版は古い方も新しいものも良くできてはいたが、やはり舞台版の方が面白い印象。踊りや歌も、ブロードウェイ級とはいかないが、それでも映画よりも楽しめる。

1幕は1時間半、20分の休憩の後2幕は50分ぐらいだが、スピーディな展開で飽きさせない。セットと衣装は初演時のイメージを崩さないように新たに作られたものだが、よくできていて感心した。照明もきちんと当ててあり、見やすい舞台。衣装はジェット団は青系、シャーク団は赤系だが、マリアの登場時は白い中立的なドレスに赤のベルト、トニーと愛し合った後は、赤に青が混じった紫となる。

バーンスタインの音楽はレコードでも散々聞いたので覚えてしまっているが、何度聞いても素晴らしいし、ソンドハイムの詞も面白い。今回感じたのは、一幕の終わり近くで決闘の前に、ジェット団、シャーク団、マリア、トニー、アニタがそれぞれの思いを歌う5重唱があるが、これが音楽的には最も盛り上がるので、1幕はこの曲で終わりにしてよいのではないかという点だ。オペラの幕切れは、必ず重唱という昔からの規則があるし、オペラを若い時から楽しんできたバーンスタインは、そういう思いで音楽を書いたのではないかという気がした。実際には、その後に決闘の場面があって幕が下りるのだが、決闘の場面は思い切ってカットしてはどうだろうか。ロメオとジュリエットの翻案だということは知られているし、それを舞台上で見せなくても、2幕の台詞で十分に話は繋がると思う。バレエとして振付けられてはいないので、なくても良かったと感じた。

マリア役のメラニー・シエラは高音まで美しく伸びる声で、歌が良かった。アニタ役のキラ・ソルチェの踊りも良い。ほかのメンバーもそれなりに頑張っていた。出演者は32人ぐらいで、初演時の40人ぐらいから比べると、ずいぶんと減っている。群舞の数が限られるため、舞台空間を狭めて対応していた。それでも、最近は人件費が上がっているので、ブロードウェイの新作は25人以下で上演されることから考えると、人数をかけている。

オーケストラも、初演時は25人ぐらいだろうが、今回のプロダクションでは15人ぐらいで、弦と管と半々で、それにパーカッションとキーボードが加わる形。音量はもちろん足りないので、電気的にかなり増幅した音を聴かせていたが、これが15人の音かと思わせるくらい本格的な響きを出していた。リード楽器は一人で何本も持ち換えて頑張っている。

久々にミュージカルを楽しみ、家に帰って食事。ソーセージ、ナスのメゼ、各種チーズと白、赤のワイン。