1月26日の昼に東京文化会館で藤原歌劇団の「ラ・トラヴィアータ」を観る。14時開演で、2回の休憩を挟み、終演は17時ごろだった。客席は8割程度の入りで、人気演目のためか客席はほぼ埋まっていた。25日から27日の三回公演で、トリプル・キャストとなっている。三回のうち、初日はヴェテラン、二日目は新人、三日目は中堅というような配役で、26日は新人に相当する日だった。
カタカナの題名となっているが、中身は「椿姫」だ。昔から「椿姫」で通っているが、原題は「道を踏み外した女」というイタリア語だから、「椿姫」ではなく、カタカナにしたのかも知れないが、原題の意味を知っている人にしか意味は通じないだろうから、日本語のままでの良いような気がする。
このオペラでは、主要な配役はヴィオレッタ、アルフレード、ジェルモンの三人だが、26日は三人ともよく声が出ていて感心した。一番良かったのはヴィオレッタを歌った伊藤晴で、歌も表現力も申し分なく、なかなか良いヴィオレッタだと思った。感情表現もうまく対応していたが、3幕でジェルモンからの手紙を読む場面は、イタリア語の朗読で、歌になっていないため、イタリア語らしい響きがもう少し欲しかった。
アルフレード役の浜崎一了は、明るくのびやかの声で観客を魅了した。歌唱の表現力という点では、これからという印象で、今後の伸びに期待をしたい。ジェルモン役の折江忠道は総監督も兼ねる大御所で、迫力のある声で申し分ないが、イタリア語の感情表現という点でもう少し改善されるとさらに良くなる。2幕1場のヴィオレッタとの対話の中で、「ピアンジ(泣きなさい)」という場面はこの芝居の象徴的な場面だろうが、その言葉に説得力、老貴族の気品、ヴィオレッタへの思いやりが出ていない。これは今後の課題だろう。
時折、うんざりするほどヘンテコな演出で観る気を失わせる藤原歌劇団の公演だが、今回は粟國淳の演出で安心して観ることができた。粟国氏は恐らくゼフィレッリの下で本格的にオペラ演出を学んだので、極めてオーソドックスで分かりやすい演出を行う。今回も背景は大きな額縁にそれぞれの場面を象徴するような絵を投射して、十分その場の雰囲気を出すことに成功している。全体的に大きな予算をかけているわけではないだろうが、衣裳、セット共に申し分ない出来で、作品としての解釈も判りやすい名演出だと思った。粟國氏の演出はこれからも追っかけて行こうと考えた。
オーケストラは東京フィルハーモニーで指揮は佐藤正浩。若干テンポが遅いような気もしたが、全体的に良くまとまっていた。
2幕の2場のフローラの夜会は、ジプシーや闘牛士の踊りが入る。今回は女性は谷桃子バレエ団、男性は新国立バレエ団からダンサーを呼んで本格的な踊りを披露したが、ジプシーの踊りは、もう少しジプシーらしさがあっても良いかも知れない。この場面は、歌詞にも出てくるが、仮面舞踏会の場面だと思うんが、今回の歌詞では「仮装」と翻訳されていた。それでも、その後に、ジプシーとか、闘牛士が突然出てくるのだから、何等かな形できちんと翻訳しておくのが大事だろう。
結構楽しんで、いい気分で帰る。寒かったので外食せず、家で豚肉の煮込み料理を食べた。
カタカナの題名となっているが、中身は「椿姫」だ。昔から「椿姫」で通っているが、原題は「道を踏み外した女」というイタリア語だから、「椿姫」ではなく、カタカナにしたのかも知れないが、原題の意味を知っている人にしか意味は通じないだろうから、日本語のままでの良いような気がする。
このオペラでは、主要な配役はヴィオレッタ、アルフレード、ジェルモンの三人だが、26日は三人ともよく声が出ていて感心した。一番良かったのはヴィオレッタを歌った伊藤晴で、歌も表現力も申し分なく、なかなか良いヴィオレッタだと思った。感情表現もうまく対応していたが、3幕でジェルモンからの手紙を読む場面は、イタリア語の朗読で、歌になっていないため、イタリア語らしい響きがもう少し欲しかった。
アルフレード役の浜崎一了は、明るくのびやかの声で観客を魅了した。歌唱の表現力という点では、これからという印象で、今後の伸びに期待をしたい。ジェルモン役の折江忠道は総監督も兼ねる大御所で、迫力のある声で申し分ないが、イタリア語の感情表現という点でもう少し改善されるとさらに良くなる。2幕1場のヴィオレッタとの対話の中で、「ピアンジ(泣きなさい)」という場面はこの芝居の象徴的な場面だろうが、その言葉に説得力、老貴族の気品、ヴィオレッタへの思いやりが出ていない。これは今後の課題だろう。
時折、うんざりするほどヘンテコな演出で観る気を失わせる藤原歌劇団の公演だが、今回は粟國淳の演出で安心して観ることができた。粟国氏は恐らくゼフィレッリの下で本格的にオペラ演出を学んだので、極めてオーソドックスで分かりやすい演出を行う。今回も背景は大きな額縁にそれぞれの場面を象徴するような絵を投射して、十分その場の雰囲気を出すことに成功している。全体的に大きな予算をかけているわけではないだろうが、衣裳、セット共に申し分ない出来で、作品としての解釈も判りやすい名演出だと思った。粟國氏の演出はこれからも追っかけて行こうと考えた。
オーケストラは東京フィルハーモニーで指揮は佐藤正浩。若干テンポが遅いような気もしたが、全体的に良くまとまっていた。
2幕の2場のフローラの夜会は、ジプシーや闘牛士の踊りが入る。今回は女性は谷桃子バレエ団、男性は新国立バレエ団からダンサーを呼んで本格的な踊りを披露したが、ジプシーの踊りは、もう少しジプシーらしさがあっても良いかも知れない。この場面は、歌詞にも出てくるが、仮面舞踏会の場面だと思うんが、今回の歌詞では「仮装」と翻訳されていた。それでも、その後に、ジプシーとか、闘牛士が突然出てくるのだから、何等かな形できちんと翻訳しておくのが大事だろう。
結構楽しんで、いい気分で帰る。寒かったので外食せず、家で豚肉の煮込み料理を食べた。