2月25日(土)昼に新国立劇場で「コッペリア」を観る。普段は14時開演なので、そのつもりでいたがチケットを見て13時開演と気付いて慌てた。どうして13時開演なのかと思うと、マチネーだけでなくソワレもあるので、いつもより1時間ほど開演が早かったようだ。
「コッペリア」は1870年にパリのオペラ座で初演されているが、今回の上演は約100年後に発表されたローラン・プティ版の方。音楽はレオ・ドリーブのものを使っているが、振付は全く現代的だ。1870年頃に上演された作品といえば、「ドン・キホーテ」や「ラ・バヤデール」の頃だから、題材としては古典だが、それを現代的に振付し直してある。ちなみに、オペラで言うとヴェルディが「アイーダ」を作曲したのが1870年だ。フランスではオッフェンバックが「ペリコール」を上演したのが1868年だ。
そのころは、ちょうど万国博覧会がブームになった時代でもあった。万国博は1851年にロンドンで始まり、パリでは1855年、1867年、1878年、1889年と開催されている。万国博覧会というのは産業博覧会で、産業革命の見本市であると同時に、世界からの珍しい物などを西洋に紹介した役割を担っていた。そうした時代に作られた、「コッペリア」とはどういう作品なのだろうか。
原作はホフマンの「砂男」とあるから、オペラの「ホフマン物語」の「コッペリア」の話とも通じるものがある。それまでは錬金術師の時代だったものが、産業革命により機械仕掛けの人形があたかも命を得て本物の人間のように動くというのが、物語の底流にある。現在ならば、あたかもロボット、アンドロイド、AIといった世界だろう。そうした時代の話だと認識しておく必要がある。
こうした時代背景を考えると、古典的な作品としては成立しても、ローラン・プティが1976年という100年後にこの作品をリメイクしたのはなぜなのだろうと疑問に思う。産業革命の時代は終わていたのだ。鉄腕アトムなどのロボットの時代にこの作品を再振付したのは、ドリーブの音楽を使いたかったのだろうという気がする。何しろ、バレエの新作を作ろうとしても、現代音楽で果たして踊れるのだろうかというような曲ばかりだ。だから、古典的な音楽を使い新作を作りたくなる気持ちも理解できる。
1870年の「コッペリア」が、レチタティーヴォとアリアによって作られたなら、ローラン・プティ版は全編がアリアというかレチタティーヴォというか、両者が統合されている。ダンスとマイムに分かれずに連続した現代的な振付だ。しかも、100年前にはマズルカやチャルダッシュなどが使われたが、現代ではカンカンやキャバレーでの踊りなども取り入れられている。
25日昼は米沢唯がスワニルダ役で難しい踊りを見事にこなした。人形つくりのコッペリウス役の菅野英男も役柄を見事に表現する踊りを見せた。現代的で、スピーディーな踊りとなっているから、スワニルダの友人役の6人の娘や、衛兵、娘たちも休みなく踊る。これを昼夜2回踊るのはかなり大変だろうと思った。
ローラン・プティの振付は、サービス精神に溢れた楽しいもので、古典ファンも満足する出来栄え。楽しい時間を過ごした。
帰りはおなかがすいたので、スペインバルでタパスを食べながらワインを飲む。
「コッペリア」は1870年にパリのオペラ座で初演されているが、今回の上演は約100年後に発表されたローラン・プティ版の方。音楽はレオ・ドリーブのものを使っているが、振付は全く現代的だ。1870年頃に上演された作品といえば、「ドン・キホーテ」や「ラ・バヤデール」の頃だから、題材としては古典だが、それを現代的に振付し直してある。ちなみに、オペラで言うとヴェルディが「アイーダ」を作曲したのが1870年だ。フランスではオッフェンバックが「ペリコール」を上演したのが1868年だ。
そのころは、ちょうど万国博覧会がブームになった時代でもあった。万国博は1851年にロンドンで始まり、パリでは1855年、1867年、1878年、1889年と開催されている。万国博覧会というのは産業博覧会で、産業革命の見本市であると同時に、世界からの珍しい物などを西洋に紹介した役割を担っていた。そうした時代に作られた、「コッペリア」とはどういう作品なのだろうか。
原作はホフマンの「砂男」とあるから、オペラの「ホフマン物語」の「コッペリア」の話とも通じるものがある。それまでは錬金術師の時代だったものが、産業革命により機械仕掛けの人形があたかも命を得て本物の人間のように動くというのが、物語の底流にある。現在ならば、あたかもロボット、アンドロイド、AIといった世界だろう。そうした時代の話だと認識しておく必要がある。
こうした時代背景を考えると、古典的な作品としては成立しても、ローラン・プティが1976年という100年後にこの作品をリメイクしたのはなぜなのだろうと疑問に思う。産業革命の時代は終わていたのだ。鉄腕アトムなどのロボットの時代にこの作品を再振付したのは、ドリーブの音楽を使いたかったのだろうという気がする。何しろ、バレエの新作を作ろうとしても、現代音楽で果たして踊れるのだろうかというような曲ばかりだ。だから、古典的な音楽を使い新作を作りたくなる気持ちも理解できる。
1870年の「コッペリア」が、レチタティーヴォとアリアによって作られたなら、ローラン・プティ版は全編がアリアというかレチタティーヴォというか、両者が統合されている。ダンスとマイムに分かれずに連続した現代的な振付だ。しかも、100年前にはマズルカやチャルダッシュなどが使われたが、現代ではカンカンやキャバレーでの踊りなども取り入れられている。
25日昼は米沢唯がスワニルダ役で難しい踊りを見事にこなした。人形つくりのコッペリウス役の菅野英男も役柄を見事に表現する踊りを見せた。現代的で、スピーディーな踊りとなっているから、スワニルダの友人役の6人の娘や、衛兵、娘たちも休みなく踊る。これを昼夜2回踊るのはかなり大変だろうと思った。
ローラン・プティの振付は、サービス精神に溢れた楽しいもので、古典ファンも満足する出来栄え。楽しい時間を過ごした。
帰りはおなかがすいたので、スペインバルでタパスを食べながらワインを飲む。