劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

東京音楽コンクール「ピアノ部門」

2022-08-29 13:16:19 | 音楽
8月28日(日)に東京文化会館で、東京音楽コンクールのピアノ部門の本選を聴く。先日の声楽部門はガラガラだったが、ピアノ部門は人気で満席(1階席だけの売り出しだが)だった。ピアノ部門の応募者は100人を超えており、本選に進出したのは4人で、男女各2人づつ。角田鋼亮指揮の日本フィルが伴奏について、自分で選んだピアノ協奏曲を全曲弾く。今回は女性は二人ともショパンの1番。男性はシューマンとリストだった。女性はショパンが弾きやすいのかも。

最初にショパンの1番が演奏されたが、上手に弾くだけで音楽として迫ってくる感じがなく、ちょっと眠たくなった。最初がこれだったので、がっかりしたが、二人目からは誰もそれぞれの個性の感じられる弾きっぷりで、退屈せずに聞けた。コンクールは大体そうなのかもしれないが、尻上がりにだんだんと演奏が良くなる印象を受けた。出場の順番も重要かもしれない。

二人目のシューマンはなかなか印象的で、芸術家っぽい弾き方と相まって、優勝してもおかしくない出来だった。休憩を挟んで2回目のショパンは、オケとの呼吸もよくあっていて、うまくまとまっていたので、僕などは彼女が一位でもよいかと考えた。

最後の男性は、まだ幼さが残るような風貌だったが、リストをバリバリと弾き、最も力強い響きを聞かせた。声楽で声が良く響くのと同様、ピアノでも力強い響きは、それだけで魅力的に感じられた。結局、最後の男性が1位で、シューマンが2位、ショパンを弾いた二人目の女性が3位という結果だった。聴衆賞も最後の男性だったので、力強いタッチに魅了されたのだろう。

家に帰って軽めの食事。サラダ、サラミ、オリーブのマリネの後、ビフストロガノフを食べる。飲み物はロゼのカヴァ。



東京音楽コンクール声楽部門

2022-08-27 10:25:30 | 音楽
8月26日(金)に東京文化会館で東京音楽コンクールの声楽部門を聴く。応募は100人近くあったようだが、本選への出場者は4人。ソプラノ1人、テノール1人、バリトン2人。応募者では圧倒的にソプラノが多いが、本選に残ったのは1人だけだった。今年は日伊声楽コンコルソでも女性陣が少なかったが、東京音楽コンクールでも全く同じ傾向。

今年は最初から3人目まで聞いて、ちょっとレベルが低いのではないかと思ったら、最後の4人目のバリトンが、きちんとした歌を聞かせて、優勝した。実力に大きな差があった印象で、聴衆賞も含めて、最後のバリトンが獲得した。

ほかの人は、選曲をもう少し考えれば、もっと評価されたかもしれない。例えばソプラノは美しい声ではあるが、線が細く力強さはないので、昔のリリー・ポンスのように、「鐘の歌」など、コロラトゥーラを聴かせるような曲を選べばよかったのに、「ルチア」の狂乱の場なので、物足りなさが目立ってしまった。

最初のバリトンもコルンゴルトの「死の都」を選んだが、オケの音量に負けて声が聞こえなかった。ドイツ語で歌いたいならば、モーツァルトなどもう少し古い時代を選んだ方が、オケの音量が小さいので、有利ではないかと思う。

東京フィルで園田隆一郎が指揮して、豪華な演奏が付いているので、コンテストといってもなかなか楽しいが、選曲をうまくしないと、上位には入らないだろうという気がした。

帰りがけにフレンチ・レストランで食事。前菜、メインとも羊で羊尽くし、久々にブルゴーニュのピノノアールを飲む。

エミリア・ホーヴィング指揮の読響

2022-08-19 11:07:33 | 音楽
8月18日(木)の夜にサントリー・ホールで、読響を聴く。指揮はフィンランド出身の若手女性指揮者エミリア・ホーヴィング。入りは6~7割という印象。

フィンランド出身なので、フィンランドの作曲家ラウタラーヴァの「至福の島」を最初に演奏。12分の作品で1995年に書かれた小品だが、あまり現代音楽的ではなく、メロディアスで聴きやすい曲。リズムが面白い。

続いて三浦文彰のヴァイオリンによる、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲2番。三浦のヴァイオリンは初めて聞いたが、やさしい音を出す印象。第一楽章はオケの音に負けて、ヴァイオリンの際立った響きが感じられなかったが、第二楽章は美しい旋律を奏でて、三浦の良さが出た感じ。アンコールに応えて演奏するのは良いが、美人のチェロ首席遠藤さんと一緒に、ピッチカートの曲を演奏した。本人が遠藤と一緒に演奏したかったのかもしれないが、聴衆に向けて自分の一番良いところをアピールするチャンスを失ったように感じた。まだ売り出し中なのだから、もっと自分の良さを伝える努力をしたほうが良い。

休憩の後に、シベリウスの交響曲5番。フィンランドの雄大な景色が目に浮かぶような曲で、金管も派手に響くが、単調な曲で面白みを欠く気がした。やはりシベリウスだと「フィンランディア」が面白いのか、それとももっといろいろあるのか、残念ながらよく知らない。

帰りがけに、スペインバルで軽い食事。生ハム、トルティージャ、ケソのカツレツ、牛肉のソテーなど。