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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

新国立劇場の「タンホイザー」

2023-02-09 14:50:07 | オペラ
2月8日(水)の夜に、新国立劇場でワーグナーの「タンホイザー」を見る。8~9割の入り。夜の回といっても、長い作品で休憩2回を含めて4時間強かかるので、開始時刻は17時だった。終演は21時15分頃。やっとコロナが終わった感じで、外国からきちんとした歌手が来るので、充実した歌唱が聴ける。

来日した歌手は4人で、タイトル役を演じたステファン・グールドは前にも聞いたが、立派な体に負けない声でまさに一流と感じさせた。女性はソプラノのサビーナ・ツヴィラクと、メゾのエグレ・シドラウスカイテだが、二人とも甲乙つけがたいほどよかった。個人的な趣味でいえば、ヴィーナス役のシドラウスカイテが良い。バリトンのデイヴィッド・スタウトは、ほかの三人と比べると一段落ちた感じ。当初の来日メンバーではなく、ピンチヒッターらしいので仕方ないかもしれない。

日本人では領主役の妻屋秀和が安定した歌唱を聞かせた。ほかの日本人はバラツキがあって、良いと思える人がいる一方、どうしてこの人がと思うこともある。きちんとオーディションをしているのだろうか。

ワーグナーの作品はどれも長いが、この作品もだらだらと長い印象がある。特に1幕はバレエが30分ぐらい入り、その後のタンホイザーとヴィーナスの対話が、同じようなことを延々と続けるので、見ているだけでくたびれた。ワーグナーは本当にしつこい性格なのだなあと、改めて感じる。また、新国立の日本語字幕もちょっと長すぎる気がする。修飾語や接続詞などがやたらと多く、読むのが大変で、台詞の趣旨が伝わってこないことが多い。よく言えば文学的なのかも知れないが、原文に忠実すぎると思う。あまりに同じようなことが長く字幕に出るので、隣に出る英文字幕を読むと、簡潔にすっきり書かれているので、やっと意味が解るという感じ。映画の字幕と同じで、原文に忠実だからよいわけではないと思う。

アレホ・ペレス指揮の東京交響楽団で、曲の盛り上げ方などはなかなかうまかったと感じた。バレエは東京シティ・バレエ団。結構長く踊るが、特段の工夫がある振付ではなく、踊りとしてはさして面白くない。単に、ヴェヌスベルクの官能的な雰囲気を見せるだけの踊りだった。

帰りにいつものスペインバルで軽い食事。トルティージャ・エスパーニャ、生ハム、イワシのエスカベッシェ、サケのコロケッタ、マッシュルームのアヒージョなど。

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