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文楽「奥州安達原」

2022-09-16 11:36:05 | 文楽
9月15日(木)の夜に、国立小劇場で文楽「奥州安達原」を見る。8割程度の入り。

三段目の有名な「袖萩祭文」を中心にプロローグとおまけの道行きを付けたような構成。勘十郎の遣う袖萩が見どころだった。

最初の朱雀堤は、駆け落ちした娘袖萩と親の平傔が偶然出会う場面。二線級の太夫が4人並び、三味線の清志郎だけが頑張る形。まあ、前座だからしょうがないと諦めた。

続く袖萩祭文の関係は、小住太夫、織太夫、呂勢太夫と中堅が続き、切は錣太夫。中堅の中では織太夫が突出して良い。呂勢太夫は美しい声が持ち味だが、発声が妙に技巧的過ぎて逆に聴きづらくなってしまい、伸び悩んでいる印象。呂勢太夫には三味線で清治が付いたが相変わらず素晴らしい情感を表現する演奏。しかし、しばらくぶりに見ると髪の毛も白くなり、ずいぶんと老けた印象だった。小住太夫は、伸び盛りといった印象で、これからに期待が持てそう。

切場語りとなった錣太夫だが、ちょっと活舌に問題があり、聞きづらい点が目立つ。それでも力演。三味線は宗助で、力強い響きで好感が持てた。

袖萩祭文は最後は、自害が続き、そこで終わったら後味が悪いと思ったのか、おまけに道行きが付いた。しかし、30分弱の幕だが、見ないで帰ればよかったと思うほどの出来の悪さ。万年修行中みたいな太夫が5人並んだが、聞いているのがつらい。三味線も五丁だが、タテを弾くのが錦糸なので、ちょっとかわいそう。人形も踊るのだが、これも出来が悪く、かえって気分を害する結果となった。隣の席で見ていた人は、道行きを見ないで帰ったが、それが正解という感じ。

家に帰って、軽い食事。サラダとパテ・ド・カンパーニュ、マフィン。飲み物は白でシュール・リー。

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