劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

ギリシャの旅8

2019-10-29 10:04:14 | 旅行
朝早くから中央市場に行って、魚売り場、肉売り場、野菜売り場を見る。魚は新鮮で豊富。タコやイカもたくさん並べている。並べ方は独特の美意識があり、まるで京都の錦市場のように美しく並べて売っている。

一方、肉売り場の方はダイナミック。日本ではほとんど見かけないが、牛や羊などを店頭で吊るして、その場でさばいている。多くの小動物は頭もそのままに残して丸ごと一匹で売っている。兎はどういうわけか、尻尾と足先だけ毛を残して、そのほかは皮を剥いだ状態で売られていた。結構強烈な肉の匂いがするので、市場内のカフェは諦めて土産物通りを散歩して、いろいろなものを買い込む。

黒絵の皿か壺で、絵のうまく描けたものを探したが、土産物屋に置いてある品は、どれも絵が下手で面白くない。結局小さな小皿だけしか買わなかった。そのほかも見て回りながらお菓子などを買った。

宿に戻り、シャワーを浴びて帰路につく。バスでアテネ空港へ行き、イスタンブール乗り換えのターキッシュエアで帰国。帰りの飛行機では映画を3本見た。ディズニーの最新作「アラジン」。これは気軽に見れておもしろかった。それから「グランド・ブダペスト・ホテル」で、結構面白い不思議な映画。最後は疲れてきたので、気軽に見れる「ジュラシック・ワールド」。いわば昔の「ジュラシック・パーク」の続編で、現代らしく遺伝子組み換えした恐竜の話だが、まあ、普通のパニック映画。退屈もしなければ面白くもなかった。

ギリシャの旅7

2019-10-28 11:02:58 | 旅行
アテネの3日目。美術館の共通券を買って、ビザンチン&クリスティアン博物館を午前中に観る。ギリシャ正教のイコンを中心に展示してあり、4世紀ごろから19世紀までのイコンが年代順に並べてある。イコンの時代による変遷が分かるというか、イコンは大昔のまま現代にも伝わっていて、何も変わっていないことがよく判った。

西洋絵画では、イタリアのジョットあたりからルネッサンスが始まり、描く主題も大きく変化すると同時に、遠近法の確立により絵画表現は劇的に変化したが、イコンでの絵画表現にはほとんど変化がない。これは一点透視のような遠近法を取り入れずに、ずっと空間的な遠近法が守られたことが大きく影響していると感じられた。

歴史的には、ギリシャはオスマントルコに支配され、イスラム世界に組み入れられたので、キリスト教を古いまま変化させずに守ることが最重要だったことが感じられる。今でも閉鎖的な修道院が現役でたくさん残っているのは、その証左ではないだろうか。このビザンチン&クリスティアン博物館は、なかなか面白いのでお勧めだ。

午前11時からシンタグマ広場のそばにある無名戦士の墓での衛兵交代式を観る。衛兵は2名だが、ブラスバンド付きの兵士約100名ぐらいが遠くから行進してきて、衛兵交代をして、戻っていく。白いひだの多い民族衣装的な兵隊が脚を高く上げてゆっくりと歩いて交代する。結構、この交代式は面白い。

午後はアテネの考古学博物館を観にいく。疲れたのでまず地下のカフェで休憩。その後見て回るが、結構部屋数が多く、時間がかかって疲れる。それでも、有名な彫像や、ブロンズ像、昔の壁画など、見どころは多い。赤絵、黒絵などの壺や皿も多い。中には白を使った白絵とでも呼ぶべき壺もあった。

すっかり疲れ果ててホテルへ戻る。体力を失くしたので、ホテルの屋上(と言っても7階だが)にあるパルテノン神殿やアテネの夜景が見えるバーに行って、軽い食事。ロマンティックなムードだが、なぜか混んでいてびっくりした。よく観察すると、半分ぐらいの席が貸し切りになっていて、中年男女の婚活パーティが開かれていた。テーブルに座った女性を男性が順番に回って、話をして採点、評価していた。コーディネーターがベルを鳴らして10分間で話を終わり次のテーブルに回る仕組み。アテネでも結婚難なのかも知れない。

スモークサーモンのサラダと、チキンのスブラキ(串焼き)を食べ、地元の白ワインを飲む。

ギリシャの旅6

2019-10-24 13:34:18 | 旅行
アテネ2日目。朝早くからアクロポリスの丘周辺の遺跡を巡る。午前10時を超えたころから猛烈な暑さとなる。パルテノンの神殿に入ろうとしたら、政府関係のVIPらしき一団が入場したため、入場制限となってしまい、30分間ほど炎天下で待たされて体力を消耗した。

パルテノンの神殿は、ずっと修復中でいつ終わるかわからないが、昔と違って内部には入れなくなっていた。それでも一通り廻って、午後2時頃にアクロポリスの博物館に到着した時には、熱中症寸前になっていた。そこで、日陰の涼しいカフェで冷たい飲み物をとって、1時間ほど休憩して、何とか体力を取り戻した。

アクロポリスの博物館は、この地域の遺跡の彫刻などを展示してある。実物が大英博物館の方で、こちらには複製だけが展示してある彫刻も多い。それでも、昔の彩色をした彫像などの様子が分かり、なかなか面白かった。

お土産物通りを通って、宿まで戻る。少し、休憩した後で、アテネ唯一のコンサートホールへ出かけて、メトのオペラのライヴヴューイングを観る。メトのヴューイングで、英語字幕のほかにギリシャ語字幕が付いていた。立派なコンサートホールで、外見は現代的だが、内部の装飾は案外クラシカルな感じ。HDライヴヴューイングなので、映画みたいな気分で、軽装で出かけたら、会場は現地のセレブたちが着飾って集い、思いっきり社交していたのでびっくりした。ギリシャ社交界の雰囲気を堪能する。

終了したのは11時半だったので、急いで地下鉄でホテルへ戻り、ホテルの部屋でサラミ、メゼ、イワシのマリネなどを肴にしてギリシャ産の赤ワインと現地のビールを飲んで寝た。

ギリシャの旅5

2019-10-23 10:37:13 | 旅行
サントリーニ島で3日間過ごした後、再び飛行機でアテネへ戻った。サントリーニ島の空港は小さな空港だが、国際空港で入出国管理もやっていて驚いた。LCCが多いが,BAのロンドン便のあるので、うまくやれば日本から1回乗り換えでサントリーニまで来れるかも知れないと思った。

アテネ空港から街の中心部にあるシンタグマ広場までは、バスで移動。地下鉄もあるが、シンタグマの地下鉄駅には地上へ出るエスカレータがなく、本数も少ないので、バスによる移動の方が楽だ。シンタグマ広場のそばのホテルにチェックインして、近所のレストランで夕食を食べる。

サントリーニ島に比べると、アテネの方が随分と暑い印象。10月なのにまだ真夏のようだ。レストランでは、ギリシャ風のサラダとベビー・ゴート(子ヤギ)の煮込みを食べる。安いローカルの白ワイン。食前酒でギリシャ版の焼酎が出てくる。ウーゾの香りなしの物。きついが胃が引き締まり食欲増進。ベビー・ゴートは臭みもなく美味。ただし量は2人前以上。

宿でさらにビールを飲んで寝る。

ギリシャの旅4

2019-10-21 10:36:53 | 旅行
サントリーニ島の3日目。午前中にフィラの考古学博物館を覗く。たった2€で随分と安いと思ったが、たった1室のみの展示で、壺などが数点置いてあるだけ。おまけに説明はギリシャ語とフランス語の表記だけで英語はない。こんなにいい加減な博物館も珍しい。全くお勧めできない。日本の某ガイドブックには必見のように書いてあるものもあったが、実際に調べているのだろうか。ネットに載っているトリップ・アドヴァイザーやグーグルの口コミの方がよほど参考になる。

まあ、そういうこともあるかと思い、気を取り直して日本のガイドブックには載っていない近所のワイナリーを見学に行く。畑は案内してくれなかったが(離れたところにあるらしい)、作っているワインの説明と4種類のワインのテイスティングをさせてもらった。火山島なので、噴火して出た岩石の香りがほのかにワインにも感じられる。特徴的だったのは畑の作り方で、ブドウ畑というと、日本では棚栽培、フランスでは垣根栽培のような形だが、サントリーニ島ではブドウのつるをぐるぐると丸く巻いて、その内側に実をならせる方法で栽培をしているとのこと。これは強い直射日光を避けることと、風を避ける意味があるとのことで、こうした栽培方法があることを初めて知った。

テイスティングのつまみに3種類のメゼ(白なすのペースト、ヨーグルトとキュウリ、豆のペースト)と自家製の3種類のグリッシーニが出てきて、これがとてもうまい。すっかり気分を良くして、そこのレストランで、昼食をとる。タイのマリネと魚貝のリングイネを食べて、ワイン園のおすすめ白ワインを飲む。盛り付けが美しく感心して尋ねたら、シェフはギリシャ料理のヌーヴェルの旗手といわれている人だとの説明。タイのマリネには目に見えないくらい細かく刻んだショウガや他の香草が入っている。リングイネの方には食べきれないほどのムール貝やエビなどが入り、全体はサフランで色付けされていた。塩がちょっときついと感じたが美味で、ワインによく合った。

宿に戻り、長袖に着替えて夜はホワイトドア劇場でのギリシャ風結婚式ショーを観にいった。前日にチケットを買おうと思ったら、ネットで予約決済しろと言われたので、スマホで予約しておいた。午後8時半ごろから2時間ほどのショー。劇場に入ると、イタリアン・マンマみたいな太った小母さんが出てきて、「まあ、アントーニオ久しぶり、元気そうじゃない、今は何やっているの」などと言いながら、あいさつして回り、「娘の結婚式に遠いところをわざわざ来てくれてありがとう」などと言う。

劇場の前室に入るとそこでビデオや寸劇があり、結婚式の準備をしている様子や楽士たちの準備状況が紹介される。花嫁も出てきて靴を探し回って笑わせる。最後は、せっかくの準備してあったワインが見つからないと皆で大騒ぎして、ワインはテーブルの上に出ていたということが分かり、一同がテーブルに案内される。劇場は中庭風の屋外にあり、観客は案内されたテーブルに着席する。テーブルの上には3種類のメゼ、豆の煮物とフライドポテト、白ワイン、水、パン、スイカなどが並べられていた。

ここからがショーで、ギターとブズーキの伴奏で、歌ったり、ダンスをしたりする。必ずしもギリシャの歌や民謡というわけではなく、観光客の喜びそうな有名な曲が多い。途中で「その男ゾルバ」の音楽となり、ギリシャの踊りを見せる。やはりこの曲は欠かせない。観客もこれに参加して一緒に踊ったりする。その後も歌やダンスが続き、観客も入っていろいろな踊りをやる。久々に踊ったら、結構いい運動になった。

最後には、素焼きの白い皿が2枚ずつ配られて、ダンサーが踊っている最中に皿を投げて割り、結婚を祝福したりする。東京でも昔の六本木のギリシャレストランで皿投げをやったと思い出しながら、久々に皿割を楽しんだ。最後は、観客の男性も入り、割れた皿の上でソロダンスをしたりする。

途中で白ワインがなくなるとどんどんと継ぎ足してくれたりして、サービスも良い。やはり観光地には、観光客の望むものがあるなあと感心する。ガイドブックには出ておらず、日本人もいなかったが、このショーは結構楽しめるのでお勧め。少し英語で話せると一段と楽しい。