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原研二の「シカネーダー」

2018-10-16 15:33:35 | 読書
平凡社ライブラリーで出ている原研二の「シカネーダー」を読む。1999年の出版で340ページほどの本。副題には「魔笛を書いた興行師」とある。先日。「魔笛」を観て、面白い台本だなあと改めて感じたので、台本を書いたシカネーダーの伝記を読んだわけだ。「魔笛」の読み解きというのは、もっぱらモーツァルトの作品として読み解くことが多いが、この作品はシカネーダー一座の依頼で書いた作品なので、当時はシカネーダーはどんな作品を上演したり、書いたりしていたのだろうかという観点からも調べようと思ったのだ。

この本を読むと、シカネーダーは台本作家であり、自ら座長として演じる一方、興行師としても優秀で、ヒット作をどんどんと提供したことがわかる。「魔笛」との関係で行くと、当時は、魔法ものの作品が流行っていて、この作品も『魔法の笛』という魔法ものとして作られたらしい。同時に、エジプトがだんだんと知られるようになったり、新しい科学の成果を見せようとすることもあったようだ。また、当時の舞台装置はかなり豪華なもので、派手なスペクタクルを売り物にしていたらしい。特に夜の女王の登場場面などは凄かったようだ。

シカネーダーはこうした装置などに凝ったり、動物を沢山出演させたりしたので、大衆には受けたが、費用も莫大にかかり、沢山稼いだが、同時に沢山使ったようだ。それでも、うまく立ち回って、大きな劇場をつくったり、それを売却して得た金で立派な屋敷を買ったようだ。シカネーダーの住んでいた屋敷は「メリー・ウィドー」で金のできたレハールがその後かったというのもこの本で初めて知って驚いた。

ということで、なかなか面白い本なのだが、この原研二氏の文章は、飛躍が多くて読みにくい。いろいろな分野の知識を幅広く持っているのか、あまり丁寧に説明することなく、ほかの話題に飛んだりするので、結構読んでいてくたびれた。もうちょっと、平易な文章で書いてくれればよいのにと感じたのは僕だけだろうか。

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