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夢の羅列<25の超越の光>20170415

2017-04-16 19:03:30 | Dreams


夢の羅列<25の超越の光>20170415


夢の中で、
私は初夏のゲレンデにいた。

もちろん雪がないからスキーなどは出来ないが、
家族連れや若い男女たちがこの広い場所に遊びに来ていた。
私はそんな暖かな光景をぼんやりと眺めていた。

ところがそこに突然、爆音が遠くから響いてきて、やがて二台の車が目の前に現れた。

V8の7リッター以上はありそうなアメ車と、もう一台はこれも5.6リッターのメルセデスで、
どちらも相当なチューンが為されているのだろう。
静寂を引き裂くような排気音が山の空気をビリビリと振動させている。

二台は私の前で派手に方向転回をし、それぞれが逆向きに配置された。そして、
その間に大きな赤いビニールシートが畳まれた状態でつながれた。

これからそのシートを車で引っ張り、大きく広げようというらしい。

車とシートの間を若いスタッフたちが走り回っている。

ビニールのシートといっても私から見て長さは100メートルくらいはありそうだ。
幅はどうだろう。これも40メートルほどもあるだろうか。

新品ではなく、使用感のあるシートは離れて見てもしっかりとした厚みがあるようで、
あれなら全部で数トンの重さはあるだろう、などと私は推測していた。

並の体育館よりも大きい面積のシートをゲレンデに広げて、
いったい何をするのだろうかと
私はこの降って涌いたような出来事から目が離せなくなった。

すると突然、ぱらぱらと通り雨が降ってきて、
シートが濡れるのを嫌い、スタッフが車に指示をして一旦それを畳ませた。
そして、それならちょうどいいからと、ここではなく、もっと場内の奥の
遊んでいる客がいない場所へと車とシート、スタッフたちは移動した。

私も興味は尽きず、一緒に奥へと歩いてついて行った。

雨は止んで、スタッフと車がまた手際よくシートを広げた。

草の生えた緩やかな斜面に鈍い赤のビニールシートが奇妙な光景を作っていた。

そして今度はスタッフたちが拡声器を使って若者の客たちを集め始めた。

雪のないゲレンデに来たものの、広いという他は何もないことに飽きた若者たちが
突如始まったイベントらしきこの巨大なシートと、二台のマッスルカーの排気音に
興味津々と言ったふうで、私が少し離れて見ている間に200人くらいが集まってきた。

スタッフは集まった若者たちに、このイベントの趣旨と
これから皆で何をするのかを丁寧にわかり易く説明を始めた。

曰く、これはアートとコミュニケーションを
同時に体験してもらうイベントであるらしい。

客は何をするかというと、まずは整列をしてもらい、
シートの2メートルおきほどの各所に結ばれた紐を
各人が手に持つことから始まるとのこと。

一人が必ず一本の紐を手に持つわけだ。

そして、その紐をスタッフの指示によって隣の人の紐と結び合い、
また今度は次の人の紐とさらに結び合い、その結び方と組み合わせ方により
あのただの平らなシートは巨大な赤い蜂の巣のようになるというのである。

つまり最終的には200人がこの巨大なシートに全員包まれてしまうというわけだ。

ふーん、と私は少し首を傾げつつ離れて見ていたが、そこにスタッフが一人走ってきて、
「すみませーん。見学だけはご遠慮ください」と慇懃にしかし内実は無礼に言った。

現実であれば間違いなく私はゴネるが、ここは夢の中、
むっとしただけで、私は短髪でTシャツのスタッフに尋ねた。

「これはなんというイベントなのか」

「はい。25の同率の声というイベントです」

まだ若い男の迷いのない目の奥に何か澄み切っていない危うさを感じ、
そして男の背後に他のスタッフたちが走り寄ってくるのが遠目に見えて、

「わかった、わかった。オレは若くないからな」

私は素直そうに言って、一旦は彼らの言うことを聞くことにした。
若さと迷いのなさと、それが集合体であった場合、かなりの面倒くささがあるからだ。

私はイベントから遠ざかり、下の方へと歩いた。

まずは管理事務所に行き、使用許可もしくは占有許可などが提出されているのか、
そしてどこの誰が主催をしているのか、などを調べてこよう。

まあいくらなんでもあの人数をシートに包んだまま
どこかへ連れ去ってしまうということはないだろう。しかし、
閉鎖された空間では効果的なマインドコントロールが出来るからな。

とくに酸素が少ないという状況では人は少なからず変性意識状態に陥り
人の言葉が無意識下まで到達し易い。
対抗や防御の意識が低下し、心の奥底へ簡単に声つまり思想が入ってしまいかねない。

そんなことを考えながら歩いていると、知り合いの女性に声をかけられた。

「おお、何してんの。あれ?見てきたけど、今、排除されたとこだよ」

女性は一緒にいた弁護士だという男とやはりあのイベントについて
話をしていたところらしかった。

「なんだかねぇ、25の同率の声とかいうイベントらしいよ。だいぶ怪しいな」

弁護士がそれに応えた。
「ははあ、そうですか。それならやはりあれはカルトのようですね。
25の超越の光という新興のカルトが最近、各地で騒ぎを起こしています」

そういうことか。それじゃあけっこう危ないな。さてどうするか……。

終わり。

画像は昨年の制作品 (販売済み)
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