御飯さえもらえれば

赤松利市「らんちう」読了。
これはイヤミスになるのかな。海辺の旅館で殺人があったと通報があります。死んだのは総支配人。殺したのは従業員。一人ずつ事情を聴く形での話になります。旅館の美人の若女将と結婚したキモデブの総支配人。証言が進むにつれて殺されて当然みたいな総支配人の悪行やいやらしさが出て来ます。しかし証言が進んでいくと家のために結婚した気の毒な若女将の別の姿が見えて来ます。うーん、藪の中ですね。まとめると貧乏人は麦を食えの世界になるのかな(まとめ過ぎです)。
総支配人が飼っている2匹のランチュウが象徴的に出て来ます。ランチュウは言わば奇形です。その奇形を維持するために健康な仔を殺していきます。その奇形のトップが従業員の年収を超える何百万という値が付きます。そのランチュウを２匹も飼って特定の従業員に自慢しています。総支配人の卑屈さ自尊心の表れみたいな。いや、ランチュウは悪くないから。むしろちゃんと育てろ。