餌金日記

金魚と川魚飼いの日常です、

静かな悪夢

2008-03-19 23:46:36 | 本と雑誌
綾辻行人「深泥丘奇談」、赤瀬川原平「赤瀬川原平の名画探検 ルソーの夢」読了。
「深泥丘奇談」は綾辻さんと思しき小説家が主人公なのですが、読んでいるうちにだんだん関口君に見えて来ます。しかも付き物落しも探偵も出て来ないから、悪夢の中に入ったままです。でもまあ端から見ると楽しそうなのでいいかもしれません。挿し絵の可愛い本でページをめくるとあらわれるヤモリやカエルや蝶や虫ににこにこしていました。
「赤瀬川原平-」は大判でルソーの不思議な世界が堪能できます。ルソーの絵って下手なんですよね。マティスもピカソもミロも下手だけど、マティスは狙っている気がします。ピカソやミロはすごい計算が裏にありそうであそこまでいけばあまり下手とも思わない。年代順にピカソの絵を見ればどうしてこんなになっちゃったのとは思ってしまいますけれども。ルソーは大真面目で真剣。細部を一生懸命描くのだけれどもなんとも不思議なバランスになるのです。そして目が離せなくなる。この人が現れたのは奇跡じゃないかなと思います。