エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

小さな旅

2016年12月05日 | ポエム
小春日和の一日・・・小さな旅をした。
出かけた場所は、栃木県葛生。



「佐野市立吉澤記念美術館」が目的の地。
そこで、俳句を始めて以降「気になっている」与謝蕪村の特別企画展が開かれている。
「東と西の蕪村」がそのタイトルである。

萩原朔太郎の蕪村論は、夙に名高い。
ぼくもまた、この書に触発されて俳句を詠んでいる。

今年は与謝蕪村と、伊藤若冲の生誕300年である。
この企画展には期間限定で若冲の「菜蟲譜」が展示されている。
森羅万象を描いて秀逸である。
この菜蟲譜は、人間の滑稽を描いてもいる。



改めて、蕪村の絵師としての才能に感嘆した。
同時に書家としての筆致の鋭さと柔らかさに感服する他、無かった。

これだけの素晴らしい展示なのに、人は少なかった。
この美術館自体、そう知られている訳では無い。



美術館の前庭にある木のベンチは、苔むしていた。
形としては、ベンチは置いてあるけれど座れない。
しかし、その風情も良かった。







「冬の旅全き空と連れ立って」







葛生の駅から徒歩10分。
途中に、石の橋が二つ。
町に、鄙びた気配を漂わせている。



小春日和のこんな日だからこそ、小さな旅の充実があった。
家を出てから、美術館に到着するまでおよそ3時間。

楽しい一日であった。



     荒 野人


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