エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

八ヶ岳美術館について

2011年11月17日 | 旅行
八ヶ岳美術館は、原村の運営する美術館である。
林の中にあって、静謐な空間を演出している。

静寂・・・そんな言葉がぴったりの美術館である。



清水多嘉示による作品の寄贈を契機とし、1980年(昭和55年)に当時では全国的にも珍しい村立美術館として開館したのである。



標高1,350mにあって爽やかな空間を成している。



みどりのリズムという呼称に相応しい環境である。
林を抜け、玄関に近ずくとこの彫刻が右手に現れる。



玄関前は、この彫刻である。
「爽」とある。



内部は、照明と外からの光が絶妙なバランスである。



絵画もこうした明るさで鑑賞できる。
人が少なくて、静かに時間が過ごせるのは有難い。



展示の殆どが、清水の彫刻である。
女性の裸体の美と、その柔らかさが迫ってくる。

では続けて4つの彫刻を。









いかがであろうか?
女の強さと優しさに充ち溢れた、ヒューマンな作品群である。

陳列されている内容から言えば、清水氏の個人美術館のようである。

いっそ「清水多嘉示美術館」と命名したら良さそうなものである。
だがしかし、ここには考古博物館の要素もあっていかにも村営である。

職員の若い女性が、駐車場の落ち葉を掃いている。
ぼくは「御苦労さま!」と言って、少しだけ話をした。

「雪が来る前に掃除をしておかないと・・・降ってからでは大変なんです。」
「冬場はお客様が少なくて、光熱費や人件費がかかってしまうので、冬場は閉じることを検討しているみたいです。」
「そうですか、でも冬場だからこそ静かな空間が広がってお客さんは満足できるのではないですか。そうして、閉じれば良いと言うお役人的発想はいただけませんね。」
とぼく。
「ペンションの経営者や役場が一体になってお客さんをどう呼ぶか考えないとね」
とぼくが続ける。
「スキー客が少なくなって、冬場はペンションも大変なんですよ」
「冬場の時間を過ごし方を提案していかないと、お客さんは黙っていても来てくれないですからね。」
とぼく。

村営の施設だけに、もっと積極的な営業が必要なのである。
もったいない施設である。



先の方に「母子像」が見える。
モミジが零れて細い林の道を染めている。



優しい母親に抱えられて幸せそうな子どもが居るのである。
母性が横溢しているのである。

静かさと自然の豊かさ。
穏やかな時間と静謐な空間。

感性が磨かれるような感慨を覚えるのは、ぼくだけであろうか?




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 荒野人


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (MIKO)
2011-11-17 10:46:45
こんにちは。
素敵な美術館ですね。
村民の税金でまかなっているのですから、
冬期の維持費や人件費は頭の痛い問題でしょう。

しかし冬期に放置すると、
少なからず状態が悪くなるでしょう。
人の手が入ってこそ現状が保てると思います。

冬期に八ヶ岳に人を誘致する新案を考えること、
つまりただ待っているのではなく、
新たな可能性を提案するとのご意見、
まったくごもっともです。

私は部外者だから無責任なものですが、
八ヶ岳の麓が故郷のエピローグさんのご意見ならば真実味があるし、その願いは理解できます。
返信する
MIKOさんへ! (荒野人)
2011-11-17 15:33:28
そうなんですよ。
とても素敵な美術館です。
村の運営といった形態も稀有ですよね。

だから余計に困難な課題に直面した時に脆さが出てくるのです。

民間的手法などは、願いようも無いのかもしれませんが・・・。

美術館に行った時に感じたのは、もっと個性を前面に出して、環境とか、思索とか、静謐とか、静寂とか、時間の流れとか幾つかのキーワードでした。

商品にならないのかもしれませんが、商品にしてしまう力が、この美術館にはあると思うからです。

誰か有能なコンサルがいたらなぁ~思ったものでした。
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