〝奥茨城の3バカ〟の卒業と旅立ちである。
卒業のエピソードでは卒業式を描かず、母親たちを描いた。
卒業式に行く子供を送り出した母親たち。
美代子(木村佳乃)の所に君子(羽田美智子)がやって来て、きよ(柴田理恵)も来た。
みんな、寂しくてしょうがないのだ。
卒業式が終われば、子供たちは集団就職で東京に旅立ってしまう。
だから、いっしょに語り合いたかった。
きよは泣いた。
三男(泉澤祐希)は農家の三男坊だから、いずれ家を出ていかなくてはならない。
だから、「こんな家、出て行ってやる」と喜んで出て行けるように厳しく育てた。
だが、厳しく育てた結果、三男は自分のことを嫌っているのではないか? と苦しんでいる。
そんなきよに対し、美代子と君子は「そんなことはない」「三男君はちゃんとわかっている」と話す。
この作品は〝省略〟が上手いんですよね。
描いたのは卒業式ではなく、母親たちの思い。
しかし、視聴者は子供たちの思いを想像できる。
みね子(有村架純)も時子(佐久間由衣)も三男も、こんな愛情豊かな母親たちに高校卒業まで育ててもらったことに感謝しただろうし、家を離れて東京に旅立っていく寂しさも感じていただろう。
そんな思いが、母親たちのシーンだけで伝わってくる。
…………
旅立ちのシーンも三人三様で見事だった。
みね子は祖父・茂(古谷一行)から「何かあった時のために」と一万円を渡される。
母・美代子は手作りの赤いコートを渡す。
感傷的なやりとりだが、弟の寝小便で、感傷はたちまちいつもの日常に変わる。
時子は母・君子から「こうなったら日本一の女優になれ」と言われる。
反対していたのにこの変化。
美代子としては、旅立つ娘に前向きになってもらうために、こう言わざるを得なかったのだろう。
時子もこれで心置きなく、東京でがんばれる。
三男は朝食のご飯を何杯もおかわり。
三男はこんなふうに食べる朝食が最後だろうと思ったのだろう。
だから、何杯もおかわりをして母親に甘えようとした。
きよもそれがわかっているから、茶碗をさしだす三男に文句を言いながらご飯をついだし、兄も「これも食べろ」と自分のおかずを渡した。
三男のシーンは特に上手いな~。
ただ、ご飯をおかわりしているだけなのに三男と家族の気持ちが伝わってくる。
思春期の男の子って、こんなふうにしか自分の気持ちを表現できないんですよね。
そして本日(4/29)。
上野駅で別れる三男に向かって時子は言う。
「がんばらないと嫌いになるからね!」
恋人未満の男友達に対する女の子の気持ちを表した見事なせりふだ。
ひとりひとりの登場人物の気持ちが丁寧に描かれていて、本当に心温まる物語ですね。
朝から、上質なシナリオの作品を見させてもらっています。
卒業のエピソードでは卒業式を描かず、母親たちを描いた。
卒業式に行く子供を送り出した母親たち。
美代子(木村佳乃)の所に君子(羽田美智子)がやって来て、きよ(柴田理恵)も来た。
みんな、寂しくてしょうがないのだ。
卒業式が終われば、子供たちは集団就職で東京に旅立ってしまう。
だから、いっしょに語り合いたかった。
きよは泣いた。
三男(泉澤祐希)は農家の三男坊だから、いずれ家を出ていかなくてはならない。
だから、「こんな家、出て行ってやる」と喜んで出て行けるように厳しく育てた。
だが、厳しく育てた結果、三男は自分のことを嫌っているのではないか? と苦しんでいる。
そんなきよに対し、美代子と君子は「そんなことはない」「三男君はちゃんとわかっている」と話す。
この作品は〝省略〟が上手いんですよね。
描いたのは卒業式ではなく、母親たちの思い。
しかし、視聴者は子供たちの思いを想像できる。
みね子(有村架純)も時子(佐久間由衣)も三男も、こんな愛情豊かな母親たちに高校卒業まで育ててもらったことに感謝しただろうし、家を離れて東京に旅立っていく寂しさも感じていただろう。
そんな思いが、母親たちのシーンだけで伝わってくる。
…………
旅立ちのシーンも三人三様で見事だった。
みね子は祖父・茂(古谷一行)から「何かあった時のために」と一万円を渡される。
母・美代子は手作りの赤いコートを渡す。
感傷的なやりとりだが、弟の寝小便で、感傷はたちまちいつもの日常に変わる。
時子は母・君子から「こうなったら日本一の女優になれ」と言われる。
反対していたのにこの変化。
美代子としては、旅立つ娘に前向きになってもらうために、こう言わざるを得なかったのだろう。
時子もこれで心置きなく、東京でがんばれる。
三男は朝食のご飯を何杯もおかわり。
三男はこんなふうに食べる朝食が最後だろうと思ったのだろう。
だから、何杯もおかわりをして母親に甘えようとした。
きよもそれがわかっているから、茶碗をさしだす三男に文句を言いながらご飯をついだし、兄も「これも食べろ」と自分のおかずを渡した。
三男のシーンは特に上手いな~。
ただ、ご飯をおかわりしているだけなのに三男と家族の気持ちが伝わってくる。
思春期の男の子って、こんなふうにしか自分の気持ちを表現できないんですよね。
そして本日(4/29)。
上野駅で別れる三男に向かって時子は言う。
「がんばらないと嫌いになるからね!」
恋人未満の男友達に対する女の子の気持ちを表した見事なせりふだ。
ひとりひとりの登場人物の気持ちが丁寧に描かれていて、本当に心温まる物語ですね。
朝から、上質なシナリオの作品を見させてもらっています。