平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

それでも、生きていく~あなたが誰かと繋いだその手の先で誰かがあなたの手を繋ぎますように

2011年09月16日 | その他ドラマ
★「私が誰かと繋いだ手のその先で、誰かがあなたの手を繋ぎますように」
 「つないだ手に込めた思いが届きますように」

 「朝日を見てまぶしくて遠山さんの今日一日を思います」
 「こうして朝日を見てると、どうしてか深見さんも同じ朝日を見てる気がします。いつもあなたを思っています」

 洋貴(瑛太)と双葉(満島ひかり)はしっかりと繋がっているんですね。
 <加害者の妹であること><被害者の娘・悠里>という現実を前に、いっしょにいることは出来なかったふたり。
 でも、ふたりは繋がっている。
 誰かと手を繋げば、そのことを思い出すし、朝日を見れば、洋貴は双葉を、双葉は洋貴を感じることが出来る。

 もちろん、ずっといっしょにいたいと思っていた人がいない喪失感はある。
 洋貴の母・響子(大竹しのぶ)が時々泣くように、ふたりは時々喪失感を感じるだろう。
 時々悲しくて、時々嬉しくて、時々満たされて、時々寂しくて、そんなことを繰り返しながら、人は生きていく。

 リアルな作品だ。
 ここで予定調和に逃げるのなら、洋貴と双葉のハッピーエンドで終わるだろう。
 だが、この作品はあくまで<生きることの実相>を描く。
 時々悲しくて、時々嬉しくて、時々満たされて、時々寂しい生きることの現実を描く。

 洋貴と双葉が朝日を見て繋がっていると感じるというのは、見方に拠っては感傷であり、ロマンティシズムと言えなくもないが、ふたりが繋がっていることを信じたい。
 ふたりはそれだけ濃密な時間を過ごしてきたのだから。

★「悲しみの向こう側へ進め」
 登場人物たちは、未来に向かって進もうとしている。
 過去の呪縛から解放されたわけではないが、過去を直視し背負いながら生きていこうとしている。
 それは決して、過去から逃げたり、過去を恨んだり憎んだりする生き方ではない。
 背負った荷物は以前よりも重いかもしれないが、力強く着実な歩みだ。
 それを駿輔(時任三郎)が象徴している。

 それは文哉(風間俊介)も同じ。
 母親の写真を見て彼は泣いた。
 <泣く>という感情を持てたことは、文哉が<人間>を取り戻した第一歩でもある。
 これで彼は人の痛みを感じることが出来る。

★最後にもう一度、人の繋がりについて
 洋貴と双葉は朝日を見たり、木に手紙を結びつけたりすることで繋がりを感じることが出来るようですが、人の繋がりってこういうことかもしれませんね。
 たとえば父・駿輔の字と双葉の字が似ていること。真岐(佐藤江梨子)の心臓の音を娘の悠里が聞くこと。
 そんなことで繋がりを確認できる。
 それは「私が誰かと繋いだ手のその先で、誰かがあなたの手を繋いでいる」と信じることでも。
 目を懲らして周囲を見ていけば、人は決して孤独ではないのでしょうね。


※追記
 満島ひかりさんについては以前も書いたが、すごい女優さんである。
 今回は「何かモテてるみたいで嬉しいな」というせりふにドキリとした。
 若手で、これほどひとつのせりふや動作にインパクトがある人はいない。
 おそらく脚本家さんは、五月(倉科カナ)や紗歩(安藤サクラ)も描き込む形で配置したのだろうが、満島さんの双葉が良すぎて、彼女らが入り込む余地がなくなってしまったのだろう。今回の洋貴と五月のやりとりも編集の段階でバッサリ切られた感じが…。

 

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12 コメント

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乗れなかった最終話 (megumi)
2011-09-18 00:10:59
コウジさん 

かなり お久しぶりです
私は このドラマはチラチラ見たり
新聞であらすじを読んだりして
かなりの不良視聴者でしたが
ラスト3話だけは 真面目に見ました

最終話のテンポの悪さには 
退屈で欠伸を噛み殺しながら見ました
息子が
「最終回って 概ね こんなもんだよ」って言うので なるほどと思い直しました

双葉と直貴が夫婦になるなんてあり得ないと
思って見ていましたので 
そういう意味では納得のラストでした

きちんと見ていないので 多くは語れませんが
双葉と直貴の会話のもどかしさ・・・立場と気持ちを考えれば役を得ませんが 丁寧過ぎてじれったかったです
しかも「・・・的に」と「・・・っす」の多用は 私たち世代は引きますね

大竹しのぶさん(好きではありませんが)の演技が高く評価されているので
レンタルして 最初から見てみようと思っています

今季 見ているのは
「アリアドネの弾丸」 「下町ロケット」 「テンペスト」「ラストマネー」 「北の国から」(30年前の再放送)くらいです

いつも オカシナことばかりコメントして
申し訳ありません m(_ _)m

返信する
お久しぶりです (コウジ)
2011-09-18 09:15:30
megumiさん

お久しぶりです。
コメントありがとうございます。

>きちんと見ていないので 多くは語れませんが、双葉と直貴の会話のもどかしさ・・・立場と気持ちを考えれば役を得ませんが 丁寧過ぎてじれったかったです

実は、双葉と直貴の会話がこの作品の面白さであり、味でして、これは最初から見ていないと味わえないかもしれませんね。
機会があれば、ぜひご覧になって下さい。

「アリアドネの弾丸」「下町ロケット」「テンペスト」「ラストマネー」は逆に僕は見ていません。
megumiさんがずっと見ていらっしゃるということは面白い作品なんでしょうね。

僕は遅ればせながら「アイリス」を見ています。
面白い!
メロドラマとサスペンスが見事に融合している。
こう考えると、日本のドラマはスケールやあざとさの部分で、イマイチですね。
波瀾万丈のドラマを見てみたい。

今後ともよろしくお願いします。
返信する
とうとう・・・ (わかば)
2011-09-18 21:04:14
・・・終わってしまいましたね。

最後に見せた文哉の涙も「進め」ですね。きっと。文哉が亜季ちゃんを殺してしまった時期は、確か灯里が生まれる頃でしたよね。新しい命の誕生を受け止められなかったのかもしれません。優しい継母が、実母のように壊れていくのかもしれないという不安もあったかもしれません。
自分の存在を否定、拒否した実母。その母が赤ちゃんであった頃の自分を誇らしげに満面の笑みを浮かべて抱いている写真を見たときに、ようやく心にあたたかいものが注がれたのではないかと信じたいです。(以前コメントされていたように自分のしたことに気づいたあとで、一層の苦しさが待っているとは思いますが。)

悲しいこと、理不尽なことがあっても、その中で生きていかなければいけない。でも、想いをはせる相手がいる。想いをよせてくれる人がいる。そのつながりの中で生きていけるのだと思います。

役者さんたちの演技にも魅せられましたが、本当に最後まで見ることができて良かったと思いました。
返信する
Unknown (megumi)
2011-09-18 21:39:41
「それでも生きていく」は「mother」と同じ脚本家なので興味はあったのですが
何故か 飛び乗り損ねました^^;

>双葉と直貴の会話がこの作品の面白さであり、味でして

そうなんですか
ならば 世代間ギャップかもしれませんね
最初から見たとして 果たしてついていけるかな?

満島ひかりさんの映画「川の底から こんにちわ」ご覧になりましたか?
とても面白いですよ
コメディですが 
登場人物たちは大真面目なコメディです

「テンペスト」は
それほど面白くはありません
惰性で見ています(今夜が最終話です) 
「江」よりは 遥かにマシですけれど・・・ね

「アイリス」ですが 
韓国ドラマのオタクだったにもかかわらず
1話でリタイアしました
韓ドラ仲間たちの間でも かなり不評でした

韓国ドラマから 離れて半年以上経ちますが
アレ以上の秀作が沢山ありますよ
お好きなジャンルがあれば ご紹介します
(私は 重いテーマが好きですが・・・)
返信する
深い読み込み (コウジ)
2011-09-19 08:48:01
わかばさん

コメントありがとうございます。
終わってしまいましたね、そして、わかばさんの深い読み込み、感服しました。

まず文哉。
彼に関しては、母親、父親のことに関してはっきり描かれませんでしたが、
>新しい命の誕生を受け止められなかったのかもしれません。
>自分の存在を否定、拒否した実母。その母が赤ちゃんであった頃の自分を誇らしげに満面の笑みを浮かべて抱いている写真を見たときに、ようやく心にあたたかいものが注がれたのではないかと信じたいです。

というのが、本質なんでしょうね。

作品のテーマに関しても

>悲しいこと、理不尽なことがあっても、その中で生きていかなければいけない。でも、想いをはせる相手がいる。想いをよせてくれる人がいる。そのつながりの中で生きていける

というのが実に的確だと思いました。

『逃げずに現実と向き合い、背負っていくこと』

そんなことを双葉たちから学んだ気がします。

返信する
見ました! (コウジ)
2011-09-19 09:03:23
megumiさん

そうなんですよね、「mother」の坂元さんなんですよね。
「それでも」でも文哉の母親の話が出てきましたが、坂元さんにとって<母親>というのは、重要なテーマなのかもしれません。
坂元さんは現在、こういうオリジナルを書ける貴重な作家さんなので、次回作にも期待です。

「川の底から」、見ました!
この作品で、満島ひかりさんを知ったんです。
面白かった!
自分たちが<中の下>であることを認めようという主人公の主張に共感して。
河原で骨壺から父親の骨を撒く所もロックしててカッコイイ!

「テンペスト」は地上に降りてきたら見ます。

「アイリス」はリタイアでしたか。
やはりmegumiさんと基準が違いますね。
実はこの作品、2話以降から面白くなっていくんですが。
イ・ビョンボンとキム・テヒが恋人同士になって、陰謀の中で引き裂かれてすれ違って、アクション作品なのですが、ベースは「君の名は」←古い! や「冬ソナ」なんです。

韓流ドラマは、史劇もので(あまり長くないやつで)ハラハラドキドキするものがありましたら、教えて下さい!

返信する
どれがいいかしら? (megumi)
2011-09-20 00:05:20
韓国ドラマって長いんですよね~
かの田島陽子氏が 
「好きだけど長過ぎる 自分の人生を無駄遣いしてる気がする」と言ったとか・・・
よく分ります!
だから 私も止めたくらいですからね

史劇ものは特に長いです
100話 150話はザラです
50話は覚悟していただかないといけません

短くて面白いのは
「世祖暗殺ミステリー」「漢城別曲・正」ですどちらも世祖(イ・サン)のお話です
5話~8話くらいで史劇では最短でしょう

フュージョン時代劇でも構わないなら
「イルジメ」「怪盗ホン・ギルドン」なども20話だったと思います

「名家」は16話 
ハラハラドキドキするかしないかは
見る人次第かな?

私のイチオシは 史劇と言っても近現代ものの
「ソウル1945」です
これは地味ですが見ごたえ十分 傑作だと思います
但し 71話で~す ^^;

キム・テヒさん 美人ですよね
おまけにソウル大出身だし 才色兼備ですね

イ・ビョンホンは 以前の彼が好きでした
そう言えば 彼は史劇に出てませんね
南北に別れた後の物語の「白夜」には出てましたが・・・

他にも たくさん見ましたが
コウジさんの感性に合うのって
どれでしょうね
返信する
ありがとうございます。 (コウジ)
2011-09-20 10:30:35
megumiさん

こんなにたくさん教えていただき、ありがとうございます。

>100話 150話はザラです
50話は覚悟していただかないといけません

ともかく韓流は、150話を描いてしまうパワーがすごい!
以前も書きましたが、さすが焼き肉とキムチの国ですよね。

まずは、取っかかりとして「世祖暗殺ミステリー」「漢城別曲・正」を見てみます。

タイトルで興味があるのは「怪盗ホン・ギルドン」。史劇ではないですが、megumiさんと同じく「怪盗ルビー」が好きでしたし。

それから「ソウル1945」。
1945ってことは終戦の年の物語ですよね、1945年の歴史には個人的に興味があるので。

ありがとうございました!

追伸
10月からのドラマ(フジテレビ・日曜21時)で、キム・テヒさんがヒロインのドラマが始まるみたいです!
楽しみです!
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ナイスチョイスです(*^・^*) (megumi)
2011-09-20 10:48:19
コウジさん おはようございます

「ソウル1945」に興味を抱いていただき
大変嬉しいです
(長過ぎると一蹴されるかと思っていました)
私は韓国ドラマの中で これほど素晴らしい作品は無いと思っています

俳優に惹かれて見始めたわけでもないドラマです
むしろ 私にとっては無名の人たちでした

1945年前後から朝鮮戦争までの激動期を生きた人々をきめ細かく描いてあります
親子の愛 男女の愛 政治や思想の問題
ときにドキュメンタリーのような映像も流れます
メディアによってオープニングが違うようですが
私が見たオープニングは 民族のエネルギーを感じさせる映像と曲でした
素晴らしかった!!!

「不滅の李舜臣」もホントはオススメです
秀吉の朝鮮出兵の理不尽さを朝鮮側から描いてあって 私はすごく好きでした
見ているときの気持ちは 完全に朝鮮の民や武将でしたね(笑)
返信する
ソウル1945 (コウジ)
2011-09-20 11:19:12
megumiさん

「ソウル1945」、ますます興味が出てきました。
終戦から朝鮮戦争までって、ほとんど日本人には知られていませんしね。
以前、「李朝朝鮮」という本を新潮文庫で読んで、朝鮮が日本の属国になっていく過程は知ったんです。
これで、20世紀の朝鮮半島の歴史を通して理解できます。

「不滅の李舜臣」も逆の立場からの視点で、面白そうですね。
「天地人」も「江」も、この戦争の描写は定見のないいい加減なものでしたし。
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