平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

功名が辻 信玄の影

2006年03月27日 | 大河ドラマ・時代劇
 第12回「信玄の影」は2プロットで進行する。

★プロット1
 ひとつは信玄上洛に対する各登場人物のリアクション。
 信長(舘ひろし)は少し動揺。「わが運は尽きたか」
 千代とねね(浅野ゆう子)は長刀の稽古。着物を土の中に埋める女もいる。
 足利義昭(三谷幸喜)は信長を叩く機会と考える。
 物語はこの義昭に対する明智光秀の心を描くことで進行する。
 義昭の信長への叛意に対する細川藤孝、光秀(坂東三津五郎)のリアクションはこうだった。
  藤孝……義昭から離れる。
  光秀……義昭を諫め聞き入れられず、信玄の訃報を聞き義昭を攻めるという信長にはこう言う。
 「大義名分を作って、足利義昭を討つ」
 光秀は時流を読んで動く政治家だ。(それは秀吉も同様だった)
 そして義昭を攻めて放逐する。
 プロット1は光秀の次のような心情を描いて締めた。
 「足利家再興のために半生をかけてきた光秀の虚しさ・終わった夢」
 「自分の手で足利家を滅ぼすことになった矛盾」

★プロット2
 一豊の生き方の葛藤。
 一豊のまわりに千代を始めとする3人の人間が現れて彼を揺さぶる。
 ・六平太(香川照之)……信長の比叡山焼き討ちを例にして、毛利のスパイになれと持ちかける。
 ・子りん(長澤まさみ)……野武士になっていっしょに暮らそうと言う。
  野武士の生活について彼女はこう言う。
  「寝たい時に寝る。怒りたい時に怒る。誰にも気を遣うことがない。人のために人を殺す必要もない」
  人のために無実の人を殺すは、比叡山焼き討ちのことを言っている。
  信長の家臣(サラリーマン)である以上、意に反した仕事をしなければならない。
 ・千代……日輪のもとで功名を立てる。織田家で出世していく。

 千代(妻)と小りん(愛人)の対立は同時に一豊の生き方の対立である。
 単なる不倫に迷う夫のドラマにせずに、生き方に関わるドラマに関わらせた所がこの作家のうまい所だ。
 ある事件に対してひとつ意味だけを描くのでなく、プラスアルファの意味を加えること。
 これによってドラマがふくらんでくる。

 第十二回のラストは、小谷城のお市を心配する千代の姿。
 これで第十三回への期待を煽った。

★研究ポイント
 構成の作り方
 物語の作り方……2プロットによる構成。

 ドラマの作り方……リアクション。事件にふたつ以上の意味を付加する。
 
コメント
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