平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

翼の折れた天使たち ~アクトレス~

2006年03月02日 | 学園・青春ドラマ
奈央(山田 優)はどうしても女優になりたい20歳。
親と大喧嘩して2年前東京に出てきた。
親は言う。
「現実はそんなに甘いものじゃない」「どうせ騙されるのがオチ」
その通りだった。
オーディションはすべて不合格。君くらいの子はいくらでもいると言われる。
「事務所に紹介するから」と言われ、借金をして作ったお金を騙し取られる。
借金を返すためにキャバクラで働くことに。
キャバクラでは「客商売なんだから少しはサービスしなさいよ」「女優志望だからって客に触らせないの。お高くとまってるわ」と言われる。
そしてAV出演。

そんなどん底の奈緒だったが、まだ救いはあった。
美容師志望の陸だ。
陸は言う。
「自分は半人前だから、キャバクラをやめろとは言えないけど、奈緒とはいっしょにいたいし、応援したい」
しかし、そんな希望も失われた。
AV出演をしたことが陸にばれたのだ。
陸は言う。
「AV見て立たなかったのなんて初めてだよ。何だよ、これ?マジ引くわ。おまえが女優になりたいってこういうことだったの?汚い手で触るなよ!」
奈緒の出演したビデオはヒットして2作目のオファが来る。
奈緒が断ると男は言う。
「AVやった女がふつーの女優になれるわけがないだろう?」

これで奈緒はどん底に落ちた。
すべての希望を失って奈緒は言う。
「あたしは幸せになんかなれない。もうダメだ。やり直せない。女優になる夢も陸もなくなっちゃった。もう、どうしていいか分からない!」
どん底とは、希望がないことだ。すべてを失うことだ。

主人公に様々な困難を与えていき、どん底まで落とすドラマ手法が面白い。

どん底まで落ちれば、後は上がるだけ。
Yoshiのドラマは、人の言葉がポイントになる。
今回は奈緒のおじいちゃん。奈緒に会うため、東京に出てきた。
おじいちゃんは言う。
「自分も落語家になるために東京に出てきて挫折した。でも、あれはあれでいい経験だったと思っている」
流し雛を川に流して
「流し雛は自分のしてしまった過ちをお雛様に託して流すもの。人は過ちを犯すもの。でも流し雛をすれば神様は許してくれる。そうしたら、1からやり直せばいい。自分を信じて諦めないこと。そうすれば幸せになれる」
これで奈緒は救われた。

おじいちゃんはその後亡くなり、お葬式のために実家に戻った奈緒は両親にもう一度がんばってみたいことを告げる。
そして家を出る時、おじいちゃん声が聞こえた様な気がした。
おじいちゃんは奈緒に語りかけていた。
「奈緒、がんばれよ」

★研究ポイント
 主人公をどん底まで落としていくドラマ手法。

 人のどん底とはなにか?
 人の救いとはなにか?
 心の空虚・絶望が人の言葉・行為で満たされること。

★追記
「あたしは幸せになんかなれない。もうダメだ。やり直せない。女優になる夢も陸もなくなっちゃった。もう、どうしていいか分からない!」と叫ぶ時のおじいちゃん(谷啓)の顔がすごい。奈緒の心の痛みを感じて固く目を閉じる。おじいちゃんは流し雛を流す船をわらで作っていたのだが、そのわらをギュッと結ぶ。
コメント
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