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子宮頸がん予防ワクチン 患者数と健診について

2017年01月04日 | 社会、読書
厚生労働省のホームページによると
「最近では、特に若い年齢層(20~39歳)で患者が増えている。」
という。
出産前に発病して子宮を失うことは
たとえ命は助かったとしても女性にとっても家族にとっても大変なことだ。
子宮頸がんワクチンは、そのような事態を防ぐために有効だと言われている。

そこで今回は死亡者数ではなく患者数のデータを解析した。


1975年から2012年までの毎年の子宮頸がん患者数。5歳毎の年齢で区切ってある。

患者数は1980年の11582人をピークに減少傾向が続き、1999年には6936人にまで減った。
その後は増加傾向に転じ
2009年以後は毎年10000人を越えている。


年齢による推移をみると、20代から40代前半まで増え、それより上の年齢層になると減っている。


50歳以上が全体の54%を、40歳以上でみれば76%を占める。
39歳以下は24%で、死亡者数の7%に比べてかなり比率が高い。


50-69歳で一旦大きく減少したのが目立つが
1999年以降は全世代で増加傾向にあることが分かる。

子宮頸がんワクチンについて、ずっと前に長女から聞いたような記憶があった。
昨日確かめてみたところ
ワクチンは接種していないことと
毎年子宮がん検診を受けていることが分かった。

へえ~、健診受けてるんだ。

前回の記事で
「日本の子宮がん検診率は20%程度で低く
特に若年層の健診率が低いことが問題である。」
と書いたが、本当かな?

がん健診のデータを調べてみた。


2010ー2012年について、最も受診率が高いのは40-44歳で、70%近い。
25-39歳も50%を越えていて、若い世代では受診率が高い。
一方、45歳以上になると年齢が上がるにつれて受診率が下がり
65歳以上では20%以下になる。

上から2枚目の図で、
患者数は20代から40代前半まで増え、それより上の年齢層になると減っている。
健診の受診率と似たような傾向だと気が付いた。


子宮頸がん健診の受診率は年々上がっている。


受診率と患者数の関係から、受診率が上がれば患者が増えることが分かる。

一見矛盾するようだが、よく考えれば当たり前のことだ。
検診を受けない場合、子宮頸がんに気付くのは自覚症状が出て病院に行ってからになる。
健診ではそうなる前の早い段階でがんがみつかるから、その人数は多くなる。
「最近では、特に若い年齢層(20~39歳)で患者が増えている。」
のは、若い世代で健診受診率が上がっていることも
大いに関係があるのではないだろうか。

もしも手っ取り早く患者数を減らしたければ健診を減らせばいい。
但し、それはがんで死ぬ人を確実に増加させる。

患者数を減らすことが目的なのか。
それともがんで死んだり、子宮を失うなどの重大な事例を減らすことが目的なのか。

言うまでもなく、私たちが目指すのは後者だ。

子宮頸がん予防ワクチンがターゲットにする若い世代について
2010年段階で既に健診受診率が50%を越えている。
我が国の医療において
ワクチン無しに子宮頸がんを克服する体制が既に整っているということではないだろうか。
最早、国の政策として子宮頸がんワクチンを推進する必要性は無いと思う。

子宮頸がん予防ワクチンは世界約130カ国で使われているというが
そのほとんどの国は日本ほど整った医療環境にないはずだ。
WHOが名指しで日本を非難するのは
製薬会社への肩入れと同時に、日本を後進国扱いする無知によると言ったら
言い過ぎだろうか。

勿論ワクチンのメリットデメリットを十分に理解した上で
ワクチン接種を選択する人がいるのは各人の裁量だ。

子宮頸がんによる死者を減らすために
45歳以上の世代の健診受診率を上げることが急がれる。
私が作成した健診受診率、患者数、死亡者数の3枚の図を見たら
がんで死にたくない人は検診を受けようと思うはずだ。

若い世代については50%を100%に近づけること。
「半分以上の人は健診受けているんだよ。」と言われれば
自分も受けなくては、と思う人は必ず増える。

調べれば調べるほど
我が国において子宮頸がん予防ワクチンの必要性は無いと
私は考える。
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