桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2014・2・10

2014年02月11日 | Weblog
今日の老老ランチは数日前に作って冷凍しおいたカレールーを戻してカキカレーにして、それに極上?(一枚90円)のトーストをちぎってはカレールーをつけて食べる。つけあわせはミックス野菜とロースハムの切り落としのサラダにシメジの味噌スープ。1時半前に高円寺にある「座・高円寺」に。乃木坂時代に社員食堂的に店を使ってくれた制作会社ドキュメンタリージャパンが共催するドキュメンタリーフェスティバル「ドキュメンタリーは肉体だ!」が金曜日からここで催されているのだ。受付にいた社長のSさんたち懐かしい人々と再会?こっちも嬉しかったけと、Sさんたちも俺がわざわざ来たことを喜んでくれたみたいだ。20近くの上映作品の内で俺がどうしても見たいと思っていたのが「役者・三国連太郎」(撮影・監督 山崎裕)だ。この作品については山崎さんがウチの店に来た時に熱く語っていたのを覚えていたからだ。そして1999年の作品なのに三国さんと山崎さん双方の迫力が伝わってきて、113分が全く長いものに感じらず、わざわざここにきて大きな画面でこの作品を見ることが出来たことに満足。ただ一つ、個人的なことを云うと、途中三国さんのフィルモグラフィが流れるのだが、その中に自分が脚本家として名前を載せている映画が「釣りバカ日誌」の他にももう一本(『メス』貞永方久監督)あることに気づいて(本当に見るまで忘れていた)、三国さんの役作りの凄まじさと脚本に対する自分のイージーさを否応もなく比較してしまって背筋が凍りつく。そのショックで本当は一本で帰るつもりだったのに続いて山崎さんが今から38年前に撮影を担当した「地球は音楽だ」(龍村仁監督)も二本見てしまう。気軽にウチの店のカウンターに座って俺とお喋りして行ってくれた山崎裕と云うカメラマンの凄さを思い知る。そして今なお精力的に世界中を飛び回るエネルギー。もう完全に彼に対する敗北感(元々対抗できる身分ではないのだけど)に打ちのめされて、昨日見に来ていたと人から聞いた元スタッフで自主映画監督のHKに電話して高円寺で会う。待ち合わせ場所は俺が20から一年半シナリオを勉強している時に働いていた古本屋のT書店。ここは最近見た映画「苦役列車」で舞台になった古本店だ。もう当時のご主人夫婦や番頭さん格のSさん御夫婦やMさん、Yさんたち他のスタッフも一人もいない。でも、店の中はタイムスリップしたように昔と殆ど変わっていない。HKが来るまでうろうろしていると、もう45年も前のことが思い出されて来て自然と目がウルウルして来る。HKとそのT書店の支店が見える居酒屋で飲む。店にいる時からお喋り関係の俺とHKだったが、三カ月も空白があると、ドキュメンタリー映画の話から昨日の都知事選の話、そしてお決まりの男女話まで止め処なくお喋りが続いてしまう。更には何十年も前から俺のことを知っていると云う彼女の知り合いの女優さんが経営するバーBにまで足を延ばし、「座・高円寺」であった女性アニメ作家でHKの友達でもあるSさんも呼んでの5時間余り。俺は二十歳の頃に嗅いだ「高円寺」の匂いに酔っていた、いや酔っていたかったのだ。