桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2010・4・16

2010年04月17日 | Weblog
初っ端は監督のNさんから預かった映画の台本のある箇所がどうしても気になって、もう一度読み返したことだった。読み返してみて、やっぱり説明が多いと再確認。映画に説明はいらない。うざいだけだ。そんなことを考えていたら時間ぎりぎりになって3時半に銀座の東映本社の試写室へ。旧知の小林政広監督の新作「春との旅」を見る。冒頭、主人公の老人(仲代達矢)と孫娘(徳永えり)が家(多分自分たちの)から飛び出してきて、諍いながら旅が始まるんだけど、何処へ行くのか、二人が何故揉めているのか何の説明もない。でも、グイグイと引きこまれていく内に段々と二人の置かれている位置が分かって来る。小林監督の作品はいつも殆ど説明が省かれているのがいい。映画だと思う。でも、この数年俺がみた小林監督の「バッシング」や「愛の予感」という作品は観念的な要素に満ちていたけど、この作品にはその要素は全くなし。俺は彼の作品を全部見ている訳ではないので知らなかったけど、全部の作品を見ているYさんの話では「ワカラナイ」に続く小林監督の中にある「父親物」「老人物」の系譜だとか。確かに情感あふれる作品になっている。仲代達矢さんみたいな名優とタッグを組んで頑張っていると思う。でも、俺はどちらかというと「バッシング」や「愛の予感」のような観念的、実験的な作品の方が好きだ。6時に店へ。今日も劇団「50%SEXY」の公演「Rainyday」。席が空いているみたいだったので片隅で見せて貰う。何だか不思議な魅力をもった台本。聞いてみると若い作家(田口鮎子さん)の処女作だという。回想シーンでの説明がなければもっと面白かったのではないかと余計なお世話だけど感想を伝える。終わったしばらくしてCM制作会社の女性プロデューサーMさんが来店。彼女はこの日記で数日前に俺が書いた『クヒオ大佐』『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八監督が所属する会社の同僚なので、俺がどんなふうに吉田監督の映画をとらえているのか聞きにきたみたいだったので、しばらく二人で吉田監督論。ここまで来ると頭の中が否応なく映画演劇的になっていたみたいで、帰ってから借りたままだったDVD「××」を見る。見始めたのが2時半だったのがいけなかったのか途中で寝てしまう。気づいてみれば眠ってしまったことも含めて映画演劇三昧の一日。
☆4/17のコレドシアター
19時から『50パーセントSexy』公演