桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2009・1・26

2009年01月27日 | Weblog
お昼に西麻布の部屋を出て、約800m歩いて六本木駅へ。銀行で入金と給料の引き出しと振込。その後、近所のスーパーで仕入れした食材を持って、また800m歩いて乃木坂の店へ。食材を冷蔵庫にしまって粗大ゴミの搬出チェック。それが終わって、今度は約600m歩いて赤坂にある文房具店へ。2月14日に催す開店五周年パーティの案内状600枚の印刷を依頼し、今来た道を引き返そうとした途端、気が重くなる。尺取り虫みたいに800mとか600mずつ進んでトータル二キロ強を歩くのと、一気に二キロ強歩くのでは全く印象が違う。でも、いつもは店と部屋との間を歩いて通っているのだ。そこに僅か600m増えただけじゃないかと思うのだけど、人間の心理って微妙なものだ。帰りにいつもの煙草屋に寄る。そこの「看板娘」は今年90歳。足腰と目は弱っているけど、口は達者だ。Mのことを俺の娘だと誤解していて、いつもMのことをいいお嬢さんねと褒める。誤解を解くのも面倒なので、そのまま親子を演じて来たけど、今日は何だかいつも以上にMのことを褒めすぎる。桃井さんはあんないいお嬢さんに仕事を手伝って貰えて、おまけに一緒に住んで貰えるなんてホント幸せねぇ。あんないいお嬢さん,なかなかいないわよ。お嬢さんが結婚するなんて言い出したらどうされるの?淋しくなるわよ。今のうちから訓練しておかなくちゃ駄目よ……と「看板娘」のM礼賛が延々と続く。いつもより600m余計に歩いてなければ、そのままにしておいたかも知れない。でも、600mが余計だったのだ。それに「看板娘」がMを褒めすぎたのだ。俺は「看板娘」の話を遮って、「ごめん、あれは娘じゃなくて妻なんですよ」と告白してしまった。その瞬間、「看板娘」は言葉を失う。鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。「まぁ、そういう訳だからヨロシク」と俺は立ち去る。何がそういう訳なのか、何がヨロシクなのか、親子愛を信じていた「看板娘」は立ち直れるだろうか?