桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2013・11・20

2013年11月21日 | Weblog
閉店した店の備品を勝手に持ち出して自分の所有物にしたりするのは厳密にいうと法律違反だ。でも、冷凍庫に残っていた牛肉を持ち出して母と老老ランチですき焼きを食べるのはどうなんだろうかと馬鹿なことを考えながらとても美味しくいただいてしまう。付き合わせはこれまた店から盗んできたキュウリとシラスのポン酢和え。本当は次の予定まで二時間近くあったのだけど、昨日から読み出した「流星ひとつ」(沢木耕太郎)の続きが読みたくて、スターバックスに入って読み耽る。これは藤圭子が引退した1979年にインタビューして出版直前まて行ったものをある事情で沢木耕太郎自身が出版を取りやめたのだけど、今回藤圭子が自殺して、その理由について娘が語っていることに我慢ならなくなって、沢木耕太郎がゲテもの扱いされることを覚悟して出版に踏み切ったものだ。俺自身藤圭子が好きだったこともある。でも、それ以上にこのノンフィクションはその方法論も含めてとても興味深く、とまらなくなってしまったのだ。だから年下の女性脚本家Tさんが確か二十歳の頃に書いた「マノン」(東陽一監督)がHDデジタルマスター版になって限定上映されているボレボレ東中野の座席についても場内が暗くなるまで「沢木耕太郎と藤圭子のデイト」につきあっていた。二人のデイトは1979年、この映画の封切りは1981年?殆ど差がなかったことも影響しているのかごくごく自然に映画に引き込まれる。ヒロインの烏丸せつこが何て可愛いんだろ。何て怖いんだろ。こんな娘がいたんだよ。男たちがみんなやられてしまうマノンがいたんだよ。よかった。こんな可愛くて怖いマノンに会わなくて。会っていたらきっと今俺は生きてない。会っていたら、二年前に烏丸さんがウチの店に来て二人して深夜イベントスペースで荒木一郎メドレーなんか唄うことなんか出来なかった‥‥とついつい思い出してしまうコレド。でも、感傷的になっているだけじゃなく今日も映画がおわった後で店に行き、空きビンの処分をふくめての引っ越し準備。制作のIに来て貰って芝居の清算作業などなど。それが終わった後、麻布十番の干物屋Aで二人だけのお疲れ会。干物には日本酒がよく似合って、二人で六合。ちょっと酔っぱらってちょっとエッチになってIにセクハラして怒られた。★バーCOREDO及びCOREDOシアターは11月17日を以てクローズいたしました。皆様のご愛顧を感謝します。