桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2013・8・26

2013年08月27日 | Weblog
昨日買ったばかりの「複製された男」(ジョゼ・サラマーゴ)を風呂で読もうとして、体と一緒に本まで浴槽の中に水没させたことから1日が始まった。それはまるでタオルを手にして湯船に浸かるみたいで、俯瞰からみると、全く理解出来ない、不可思議な行動だ。でも、とにかく気づいた時には万事休す。ジャスト300ベージ、二千二百円もした新刊書はまだ一ベージも読まない内に水分をたっぷり吸い込んだ憐れな姿になって俺の、これまたびしょ濡れの手に戻って来たのだけど、もうこうなると一言も声を掛けられない。うーんと唸る。どうしてなんだろ?こんなにポルトガルに憧れているというのにおれはポルトガルの文化との相性がよくない。あ、言い忘れたけど、サラマーゴはポルトガルのノーベル賞作家だ。そう、この作家についてもそうだ。最初にポルトガルに行った時に映画化もされた「白い闇」という小説を飛行機の中で読もうとして持って行ったのに読みきらないままリスボンのホテルに忘れて来てしまったもんだから未だに最後まで読んでない。このままいくとこの作家の小説を一冊も読まないまま死にそうな気がしてならない。それとは対照的にイタリア人作家タブッキやドイツ人作家メルシエなどポルトガルを舞台にした外国人作家が書いた小説とはこよなく相性がいい。タブッキの「レクイエム」やメルシエの「リスボンへの夜行列車」などは何回読み返したか分からない。それなのに……あ、そういえばポルトガル映画との相性も悪い。ポルトガル映画が上映されるたびに足を運ぶものの、世界最長老の映画監督オリヴェラ、世界的に評価を受けるペドロコスタの作品で感銘を受けたのは一本もない。そしてこの夏観たミゲルゴメスの二本の作品……あ、このことに触れると話が別の方に向かいそうなのでこの辺で。そしてとにかく濡れた本を乾かそう。