普通のパーティは何十回、いや百回以上やっているかもしれないので、何の心配もない。客層に合わせての料理を、とにかくみんながお腹一杯になるまで出し続けるのがウチの店のモットーだから、とにかく作り続ける。今日もそのつもりだった。主宰者のIさんから出席者は60代から70代が20人、飲むのはワインやカクテルより日本酒、食べるのは油物はNGで、さっぱりした物。でも、基本的に飲むのが主だから余り食べない。それにビッフェスタイルの自分で料理を取りにいくのは嫌がるので、一人一人小皿で並べてほしいと言われたので、枝豆とかぶの明太子和え、海苔巻き各種、たこの柔らか煮、まぐろとアボガドのわさび醤油和え、豚の冷しゃぶしゃぶ、いわしのポルトガル風ホイル焼き、蕎麦サラダなどを人数分用意する。時間までに用意は間に合い、問題はない筈だった。処が、開宴30分前になって幹事から人数が3人増えたとの連絡。いつもならノープロブレム。五人増えようが十人増えようが大皿での調節は効くのだけど、一人一人の小皿となるとそうはいかない。そんなこともあろうと余分に用意しておいたけど、それでも鰯が一匹足らない。買いにいこうとも思ったが、時間がない。仕方なく主宰者のIさんには事情を説明して缶詰のサーディンで我慢して貰うことにする。そして既に小皿に分けてしまった分で新たに補充できない料理は、二十枚のお皿から再配分する作業を繰り返す。でも、問題はパーティが始まってからだった。殆どが60代から70代の方ではなく、40代、50代が殆ど。それにお酒を飲まない人もいるもんだから、食べる、食べる。そんなチマチマした酒の肴はあっという間になくなってしまって、次の料理はまだかと催促を受ける。必死に作り続けるが、その反対に、日本酒をゆったりと飲んでいる方々は、料理を殆ど食べないもんだから、その前にはお皿がズラッと並んでしまって、新しい料理を置くスペースはなくなっている。どうしていいか分からなくなって、ちょっとしたパニック。そんなこんなで全ての料理を出し終えたのが予定終了時間をかなりオーバーしていた。お客さんにしてみればフリードリンクの時間が30分以上合法的に延びた訳だから感謝までされてしまったけど、もう少し料理の出しかたを工夫しなくてはと反省。一般のお客さんは昔の食べ物友達のSさん、近所の制作会社のプロデューサーのOさんたち、脚本家志望のOLのKさん、夕刊FのUさん、今日もまた一杯きりで帰ったAN嬢、今日もまた美女同伴の出版社SのAさん、深夜にY君の知り合いのGさん、制作会社社長のHさん。2時半過ぎに部屋に戻って、寒いので湯豆腐で熱燗。