今日いらした近所のYさんに煙草を今年に入ってやめていると云うと、非日常的世界を楽しんでいますねと煙草をふかしながら言われた。確かに煙草を吸っているのがごく当たり前、日常的すぎる世界だとしたら、煙草をすわない世界は非日常的だ。舞台で芝居をしている時、飛行機に乗っている時、セックスをしている時……正に非日常的世界。これにてまたしても俺の好きな理屈が加わって、煙草を吸いたいと云う気持ちがますます遠くなっていく。俺って実に単純。煙草をやめると食事が美味しくなると聞いたけど、俺は前からご飯が美味しいから関係ない。痛風だけど、いただきものの博多明太子、大根の漬け物、納豆、ほうれん草のお浸し、たいのふりかけなどでご飯を軽く二膳。店でもお客さんの応対の合間に今年初めてのすき焼きを食べる。実に美味。でも、今日来店した有名俳優のOが俺に女優をやっている娘の映画の話をずっとしている間、話の内容よりチェーンスモークする彼の指先をじっと見つめている禁煙九日目。