プロメテウスの政治経済コラム

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参院選 安倍首相 実感とも事実とも違う演説に各地でしらけ

2007-07-17 18:40:49 | 政治経済
安倍晋三首相は、12日の参院選第一声で、「フリーターといわれる三十五万人の方々が安定した定職につくことができた。私は二十五万人といっていたが、三十五万人になった」と“自慢”してみせた。首相は、厚労省などがすすめていた「フリーター二十五万人常用雇用化プラン」の結果のことをいっているようだが、三十五万人はこのプランの結果とは無関係である。従来から行っているハローワーク(公共職業安定所)を通じた就職で三十一万三千人が、職に就いただけであり、首相がいう「常用雇用」とは、四カ月以上の雇用にすぎず、派遣や請負や長期パートも含まれる。決して「安定した定職」についたわけではない。パートやアルバイトなどの非正社員(「正社員・正職員以外」)は2001年から06年の五年間で164万人増えた一方、正社員数は153万人減少した(13日総務省発表「事業所・企業統計調査(速報)」)。一カ月を超えて雇用されている常用雇用者のうち、パート、アルバイトなど非正社員として働く人は06年には1597万人であり、雇用者全体に占める非正社員の割合は、34・2%に達する。正規雇用を安上がりの非正規雇用に置き換える実態は、安倍政権になってもかわらない。07年1―3月期、非正規から正規労働者になれた人は三十一万人、逆に正規から非正規労働者になってしまった人は四十三万人である。不安定雇用の増加のほうが多いという傾向は安倍政権になっても改善の兆しはない。都合の悪い事実に目をつむっていたのでは、まともな政治ができないことは明らかだ(「しんぶん赤旗」7月13日)。

「月800円ですよ。800円の人を辞めさせるんですか」―多額事務所費疑惑が浮上した赤城徳彦農水相をかばう安倍首相の党首討論での発言である。光熱水費を10年間でもっとも少なく計上していた2005年の9660円を12等分して見せたのだろうか、お粗末、バカさかげんもいいところ。因みに、農水相の実家の地域の基本料金は、水道代1836円、電気代819円である。99年の光熱水費が、131万6千円であり、月10万円以上であることには一言も触れない。赤城農水相の記帳が出鱈目であることは明らかだ(「しんぶん赤旗」7月15日)。 

「おかげさまで正規職員が五・四半期連続で増え、失業率も九年ぶりに3・8%まで下がりました」「さらに経済を成長させ、みなさんに景気を実感していただきたい」―各党党首による8日のNHK「日曜討論」で、“逆風”のなか「実績」アピールに躍起の安倍首相の口から、こんな言葉が飛び出した労働者の実感は、「景気回復」どころではなく、首相の言い分は国民だまし以外の何物でもない。これには、自民党の中川昭一政調会長が、「『成長を実感に!』は、完全に成長を実感できていないから、安倍総理みずからこういうキャッチフレーズをやった」と解説し、公明党の斉藤鉄夫政調会長は「たしかに実感できない。私がいうのも変だが、致し方ないところがある」と告白している(「しんぶん赤旗」7月16日)。

安倍首相の「美しい国」対しては参院選高知選挙区の自民党現職の田村公平候補が、16日、「美しい国って何でしょう」と前置き。「意味がよく分からない。高知は明日の飯をどうやって食うかという追いつめられた状況にある。絵に描いた『美しい国、日本』で応援に来られて適当なことばかり言われたら、馬鹿にされたような気がする」と痛烈に批判した。首相は1日、高知県香南市で開かれた田村氏の決起集会に出席した(asahi.com 07月16日22時40分)。
世論が九条改悪反対で固まる前に、国政選挙で後退し政権を追われる事態の前に、政権在任中にレールを敷いておきたい――いま、安倍にあるのは、改憲への執念だけである。

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1 コメント

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1人区で (raccy)
2007-07-18 17:21:51
いよいよ参院選ですね。与党は安部政権の9ヶ月を問うわけですが有権者の一票は貴重です。国民一人一人の意思を反映させる絶好の機会ですので、棄権しないで投票に行くべきだと思います。さて今回一人区が多いですが、共産を支持しているにもかかわらず民主に入れている人が少なからずいると聞きました。基本的に選挙は投票箱を開けてみないと分かりません。選挙戦術云々に惑わされず、ぜひ有権者の思うまま一票を投じるべきだと思います。
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