プロメテウスの政治経済コラム

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北朝鮮 3度目の核実験  批判と同時にそれを生み出す構造的問題にメスを!

2013-02-13 20:51:59 | 政治経済

北朝鮮が12日、同国北東部の豊渓里(プンゲリ)で2006年、09年に続き3度目の地下核実験を強行した。日米韓などは言うに及ばず、中国も国連安保理も蜂の巣をつついたように騒いでいる。どこの国の核であろうとも、米国に対する「自衛的核抑止力」であろうとも、核保有国が増え、核技術が拡散することは絶対に容認し得ないしかし、いくら批判や制裁を強化しても北朝鮮は、核開発を止めないだろう。北朝鮮は、みずから進んで<孤立して生きる道>を選んでいるわけではない。北朝鮮を「東アジアの悪役」に仕立て上げ、韓国、日本支配に利用し続けるのが、アメリカ帝国主義の朝鮮戦争休戦協定以来60年の基本戦略である。<アメリカ政府当局は、非民主的で、人権を侵害しているといって日常的に他国政府を批判する。ところが、爆弾やミサイルや無人機を主権国家に送り込んで、一般市民を殺害する国は、イスラエルを除いて、この国以外にない>(マスコミに載らない海外記事「全世界を無法へ導くワシントン」2012年4月14日)。

アメリカ帝国が、朝鮮戦争を正式に終結し、休戦協定を平和協定に代え、韓国、日本から核兵器(及び拡大抑止)を撤去したら、北朝鮮は確実に核開発を止めるだろう。オバマ大統領が、常々、「今後も引き続き北朝鮮に圧力をかけ続ける。北朝鮮は別の道を進むまで、孤立し続けることになる」と述べているように、北朝鮮に核開発を勧めているのは、実はアメリカとその腰巾着である韓国、日本自身なのだ。北朝鮮の核開発は、批判されなければならない。しかし、単なるお題目を並べるのは科学的態度でない。批判と同時にそれを生み出す構造的問題にメスをいれなければならないのだ。

 

現在、核兵器不拡散条約(NPT)で核兵器保有国として『公認』されている国は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国である。NPTは1970年3月に発効したが、この条約が「特定の国家のみに核保有の特権を与える差別条約である」として加盟しなかった国もある。NPTの発効後に核実験を行なった国は、インド、パキスタンおよび北朝鮮である。このうちインド、パキスタンは最初からNPTを批准しておらず、北朝鮮は1993年にNPT脱退を表明、その後2003年になって実際に脱退した。 またイスラエルもNPT非加盟国であり、国際社会から核兵器を保有しているとみなされているが、公式には核保有を肯定も否定もしないで許されている。その他、南アフリカ共和国は冷戦期に一度は核兵器を開発したが、その後全ての核を放棄し、1991年にNPTを批准した。2005年にはイランの核開発疑惑が発生し、周知のとおり現在も続いている。

なぜ、国際社会は北朝鮮やイランにだけとりわけ厳しいのか。それは、北朝鮮もイランも欧米帝国主義国の言うことになかなか従わないからである。欧米大国の思惑で、核保有が許されたり、許されないというのが、残念ながら現在の世界政治の現実である

 

北朝鮮の基本的立場は、「国力が弱くて周辺列強にあれこれと蹂躙され、もてあそばれた末、日帝に丸ごとのみ込まれた100年前の恥辱の歴史を絶対に繰り返すことはできないというのが、われわれの自主、先軍の根本趣旨である」ということだ。北朝鮮は、どんなに弱小国家で、どんなに国際社会から批判されようとも、アメリカ帝国のいいなりにはならない。

日本では、軍事的主権がアメリカに掌握された状態が国家主権の喪失であることを忘れてしまい、主権論議は「周辺の軍事的脅威に対抗するために、アメリカの軍事基地が必要だ」という論理にすり替えられてしまっている。その結果、今ではアメリカ軍の駐留が主権侵害だと考える政治家がいなくなった。そうやって民族の誇りや威信を捨てながら、日の丸と君が代の強制だけはしっかりやっている。君が代を歌ったら、国家主権や民族の誇りを取り戻せるとでもいうのだろうか。対米関係で従属的地位に甘んじそれを追認している政治家が、国家の威信や民族の誇りを語るなど笑止千万である。

私たちは、ただ北朝鮮を批判するだけではなく、翻ってわが身を直視したいものだ。


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