プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

新潟市市民団体 国保料引き下げ求め直接請求

2006-09-14 11:24:24 | 政治経済
高齢者の住民税の負担急増とともに、国民健康保険の保険料引き上げが全国の市町村で大問題になっているなか、来年4月に政令指定都市への移行を予定している新潟市(人口81万人)の市民団体「新潟市の国保をよくする会」(代表・坪谷誠医師ら)が国保料引き下げの条例制定を求める直接請求運動を起こし、同様の問題をかかえる他市町村の住民など全国的に注目されています。

地方自治は、選挙で選ばれた代表が議会で決めたことに基づいて運営する間接民主制が原則です。しかし、議会の決定が、必ずしも住民の意思を反映したものになるとは限りません。そこで、この間接民主制を補うために、有権者が都道府県や市町村といった自治体に直接、条例の制定などを求め、意思を反映させることができるのが「直接請求」の制度です。
地方自治法で認められている直接請求には、①条例の制定や改正、廃止②監査③議会の解散④自治体の長と議員の解職⑤副知事や助役など、特別な立場にある公務員の解職の5つがあります。任期が終わる前に解職を求めるいわゆる「リコール」も、この直接請求の一種です。
直接請求を行う代表者は、1か月の間に有権者から賛同の署名を集め、必要な数が集まれば署名簿を選挙管理委員会に提出します。請求代表者を決め申請を行ってから署名活動に入ります。署名活動は、請求代表者から委任を受け、受任者の登録を行った人しかできません。条例の制定や改正、廃止、それに監査の場合は、有権者の50分の1以上の署名が必要です。また、議会の解散や自治体の長と議員の解職などの場合は、原則として、有権者の3分の1以上の署名が必要になります。


「新潟市の国保をよくする会」は8月15日、市国民健康保険条例の改正を直接請求する9万7681人分(有権者の15%)の署名簿を市選管に提出しました。市選管が署名の審査を行いますが、署名数は住民直接請求に必要な有権者の50分の1(1万3110人)を大きく上回っており、選管の審査、縦覧を経て9月19日に篠田昭市長に本請求され、議会での意見陳述(25日)、審議・採決(29日)の予定です。
住民税の引き上げ、介護保険料、国保料など何重もの負担増で市民の怒りは“沸点”に達し、多くの市民が立ち上がりました。直接請求は「7月から一世帯平均一万二千円値上げされた国保料を引き下げ、元に戻す」「庶民増税で急激に上がった65歳以上の高齢者の負担を軽減する」の二点で、7月10日から8月10日まで署名が取り組まれました(「しんぶん赤旗」2006年9月13日)。

街頭で受任者の登録をした女性(69)は初めて署名に取り組み、八十人の署名を集めました。女性は「施設に入所している夫の費用、私の医療費、税金などを合わせると年百万円にもなる。生命保険も解約した。国保料が上がれば生活できない。ムダ遣いを続け、弱い者から搾り取るやり方に怒っている。だから協力した」といいます。
障害者の女性(65)は、車いすで各戸を回り、百人の署名を集めました。「一円をためて卵や野菜を買っているという人も署名した。私自身生活は大変。これまで積み上げてきた制度がなくなるようで弱い者いじめの政治だ」と怒ります。
亀田地区で四百人の署名を集めた男性(69)は「何から何まで上がり、苦しい市民の気持ちがわからないのなら、もう市長や行政にまかせておけない。住民が運動し政治を動かす意思を示さなければならないと思った」と話しました(「しんぶん赤旗」同上)。

会の野本孝子事務局長は「市民の願いにこたえる運動だったことがはっきりした。十四市町村が合併して初めての運動で困難もあった。わずか四十日の準備期間にもかかわらず、これだけの署名が寄せられた。小泉『構造改革』のもとで削減された社会保障攻撃への反撃になり、新潟市の歴史に刻まれる運動になった。これを結実させるために、市長と議会を動かせるよう最後まで力を尽くしたい」と語ります(「しんぶん赤旗」同上)。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。