プロメテウスの政治経済コラム

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大企業143社 内部留保204兆円に !!

2005-12-12 18:46:16 | 政治経済
全労連(全国労働組合総連合)と労働総研(労働運動総合研究所)が『2006年国民春闘白書』で毎年恒例の大企業内部留保についての分析結果を発表しています。『白書』によれば、 空前の利益をあげるトヨタ自動車など主要大企業143社(銀行、証券除く)のため込み利益(連結内部留保)は05.3月期決算で、一年間で21兆円を積み増し、204兆円に達しました。この204兆円の内部留保額は、05年度国家予算額の約2.5倍です。バブル経済時の1990年度の102兆円と比べ、2倍に増やしています。
143社中82%の117社で連結内部留保を積み増ししています。連結内部留保が1兆円を超える大企業は、自動車、電機、電力、通信、商社、鉄道など29社あり、トヨタ自動車が10兆3,613億円と断然トップです。次いで、本田技研工業が5兆7,326億円、松下電器産業4兆3,767億円、東京電力3兆8,953億円、ソニー3兆7,832億円と続いています。『白書』は、「内部留保は、低賃金と長時間過密労働による労働者からの搾取、下請単価切り下げなどの中小企業いじめによる収奪などの結果にほかならない」と指摘しています。パートや派遣、契約社員などの不安定雇用労働者の増大が人件費抑制に拍車をかけました。
内部留保増大には企業優遇税制も大いに寄与したものと思われます。86年度43.3%だった法人税率は、その後5回にわたって徐々に下げられ、99年度にはいまの30%までに引き下げられました。02年度から新たな減税措置として、連結納税制度が導入されました。03年度からは、研究開発減税の大幅拡充とIT投資減税が導入されました。二つをあわせて毎年1兆円以上の減税になると見込まれています。
大企業が内部留保をため込む一方で、労働者・国民の家計は冷え込み、「これまで労資で“紳士協定”になっている内部留保問題に言及することがあるかもしれない」と連合幹部も言わざるを得なくなっています。
『白書』によれば、主要大企業143社の3分の2にあたる96社は、従業員一人あたり1,000万円以上の内部留保を蓄積しています。その従業員に月1万円の賃上げ(一時金年間6ヶ月と仮定)を実施するには年間所要金額は18万円(12万円+ボーナス増6万円)であり、内部留保金のわずか1.8%を財源に月1万円の賃上げを行うことが可能と試算しています。
▼内部留保 全労連は、「連結剰余金」「資本準備金」「退職給付引当金」「長期負債性引当金」の四つの合計額を連結内部留保としています



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