プロメテウスの政治経済コラム

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在日米軍再編促進法案  米軍のグアム基地増強にいよいよ税金投入へ

2007-02-10 18:50:19 | 政治経済
法案の正式名称は「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案」で、2017年3月末までの10年間の時限立法とし(但し再編の実施が遅れる場合は交付金の交付期間を最大5年間延長できる特例あり)、目的として「(在日米軍)再編の円滑な実施に資すること」と明記。▽在沖縄米海兵隊のグアム移転経費を日本側が負担するための仕組みづくり▽再編計画の対象になっている基地を抱える周辺市町村に「再編交付金」などを交付する―などを柱としている。

日米両政府は昨年5月、グアム移転経費102・7億ドルのうち、日本側がその約60%の7千億円(60・9億ドル)を負担することで合意している。海外にある米軍基地を増強するために日本国民の税金を投入するというのは、日本の歴史でも世界でもかつて例がない。日本側の負担のうち、①司令部棟や兵舎などの建設費28億ドル(3360億円)は直接の財政支出で、②米兵用の家族住宅の建設費25・5億ドル(3060億円)と電力、上下水道など基地内インフラの建設費7・4億ドル(888億円)は出資や融資で賄うこになている。
今回の法案に盛り込まれたのは②に関する部分で、米軍家族住宅と基地内インフラ建設のために特定目的会社をつくり、国際協力銀行が出資や融資をできるようにし、日本政府が同銀行に必要な出資を行うというものである。
いよいよグアム移転経費に日本の税金が投入されるのだ。
①の直接の財政支出については、今回の法案とは別に「今後、(日米)協定や国内法の整備を検討することになる」(政府関係者)としている(「しんぶん赤旗」同上)。

日本政府は、これまで国内の米軍基地施設については、地位協定の別枠=「思いやり予算」で米国へ貢いできた。年間二千数百億円にもなる「思いやり」は、米国の他の同盟・友好国の米軍駐留経費負担の合計額よりも大きいのだ。今度は海外の米軍基地施設にまで「思いやり」を拡大するつもりらしい。
防衛省の説明が振るっている。「海兵隊の任務には日本の防衛も入っている。移転先が日本国内でないから負担しなくていいということにはならない」―在日米軍がどこへ移転しようが、日本の防衛と関係があるので、移転先の基地建設・整備は日本側が面倒みましょうというとんでもない理屈である。
しかも今回沖縄から移転する海兵隊司令部要員は2千人程度。8千人の移転を前提に日本側が建設する住宅は米政府の先制攻撃戦略にそって増強・配置転換されるハワイや本国からくる陸・海・空軍、海兵隊4軍用に使用されるのだ。防衛省は、日本の負担で建設する家族住宅に空きができた場合、「海兵隊員以外の米兵が居住する可能性もある」といってしゃあしゃあとしている(「しんぶん赤旗」同上)。

このほか法案は、在日米軍再編への協力度合いに応じて、関係の市町村に支払う「再編交付金」制度の新設を盛り込んでいる。さらに交付金とは別に、再編による影響が特に大きい市町村に対し、公共事業への国の補助率を増やす仕組みもつくるとしている。これまでの安保賛成かどうかの自治体の態度とは関係なく公共施設整備を補助したり、防音工事や住民の移転補償するのとはちがって、自治体が政府の再編に協力しなければ、支払わない、再編の進捗状況に応じて“出来高払い”をするというものである。途中で住民の反対運動や首長の交代などで、方針が変われば、支払いは中止されるのだ。再編で基地強化が押し付けられる地元に対し、まず財政不足に悩む自治体を金でつり、受け入れに反対する住民の声を封じ込め、自治体と住民の団結に分断を持ち込み再編計画を強引に進めようとするものである。
これが安倍のいう「美しい国」の政府のやることである。

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