プロメテウスの政治経済コラム

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GSOMIA終了ー米日韓の枠組みからの独立を目指す韓国文在寅政権

2019-08-24 16:48:56 | 政治経済

 8月22日午後、韓国政府は日韓の「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を延長しないことを決め、発表した。同協定は、「日米韓3カ国が北朝鮮問題で連携する姿勢を内外に示す象徴的な枠組み」(同「毎日」社説)であり、軍事協定の一種である。韓国には日本との軍事協定を結ぶことに対する強い抵抗があり、曲折を経て朴槿恵前大統領がスキャンダルで弾劾追訴される15日前に、米国の強い要請で締結された。米国のミサイル防衛網の一環として、早くから日米の一体化を進めてきた日本としても、米国のミサイル防衛網を補強するために韓国の参加を強く望んできた。そのような流れの中で日韓GSOMIAは締結された(http://www.labornetjp.org/news/2019/0823yasuda)。政権末期の混乱に乗じて反対世論を掠めて駆け込み締結したGSOMIAには、はじめから韓国国民の強い支持があったわけではない(http://www.koryojournal.news/?p=3468)。

 とは言え、文大統領が協定破棄を決断するするには、相当の覚悟が必要だったと思われる。GSOMIA延長を求める米国の意向に逆らったわけだから米韓同盟にヒビが入りかねず、伝統的に米国との協調を最重要視する韓国保守勢力はさっそく批判を強めている。また日本の安倍政権のことだから、日本からのさらなる「報復」を予想しなければなず、経済がうまくいっていない中で世論が急激に悪化するリスクもある。

 
 平昌オリンピックの時、訪韓した安倍首相が文大統領に米韓合同軍事演習を延期してはならないと迫り、文大統領が内政干渉だと反発したのは記憶に新しい。 安倍政権はシンガポールでトランプ大統領が米韓合同軍事演習中止を決めたことに対しても憂慮を示すなど、一貫して朝鮮半島の緊張緩和に反対し、今も制裁継続に固執している。トランプ大統領による北朝鮮との融和への動きに対しても表立って抵抗はできないが、内心では深い危機感を持っていることは確かである。米国が今回の韓国の決定に対し、強硬派がどのような「対価」を求めてくるかも不透明である。遠からずあるであろう中距離弾道ミサイルの配備要求にどう対応するか。

 それでも、文在寅大統領は、協定「破棄」に踏み切った。
歴史認識問題をめぐる日本との対決も、米国に対し自主外交を行うこともまた、新しい東アジアの秩序を求める文在寅政権にとっては必然的な通り道といえる。文政権は「これまで米国、日本の下に位置付けられ続けていた韓国とは異なる」という点を示すタイミングは今しかないと思ったのではないか(https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20190824-00139646/)。

 


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