プロメテウスの政治経済コラム

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民主党勝ちすぎと小選挙区制  投票総数の46.3%が「死票」-民意切捨て

2009-09-07 19:07:47 | 政治経済
今度の総選挙で、自公政権の退場は当然として、民主党の308議席は多すぎるというのが、国民の率直な気持ちではなかろうか。なぜこんな大勝となったのか。「自公憎し」だけでは、ここまでいかない。やはり、これは小選挙区制効果である。民主党は小選挙区で得票率は47・4%で議席は73・7%(221議席)を獲得した。今回の総選挙では、1選挙区で1人しか当選できない小選挙区制によって、議席に結びつかない「死票」が3270万票にのぼり、投票総数7058万票の実に46・3%の民意は無視された。この選挙制度は民意を反映しないという意味できわめて反民主主義的制度だ。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が5、6両日に実施した合同世論調査で、次期首相となる見込みの鳩山由紀夫民主党代表に「期待する」は63・8%で、「期待しない」の31・6%を大きく上回った。ただ、民主党の勝因を「自民、公明両党の政策や政治姿勢への批判」とした人が52・8%と過半数に達し、「民主党の政権公約への期待」(29・2%)を大きく上回った。民主党への評価が定まっていないことを浮き彫りにした。
今回の衆院選の結果への感想では、「満足している」のが60・0%と過半数を占める一方、「民主党の議席は多すぎる」が66・0%もあり、有権者自らが下した判断の結果に対する戸惑いが見られた(「産經新聞」9月7日16時1分配信)。

6日のNHKスペシャル「“政権交代” 政治はどう変わるか」でも、民主党の岡田克也幹事長は、「族議員が官僚と組みながら、ものごとを決める。この構造を断ち切る」と述べ、“官僚主導”から“政治主導”の政治を目指す考えを強調した。しかし、問題の核心は、“官僚主導”にあるのではない。国民の暮らしや平和を脅かしてきた黒幕は、財界・大企業の要求とそれに追随する構造改革派であり、日米同盟中心の対米従属派であった。高度経済時代の政財官のトライアングルのなかで肥大化した既得権益陣地を破壊しなければならないのは当然だが、官僚をのさばらせたのは、自民党政治があったからこそである。財界・アメリカの要求に忠実な自民党の政策を忠実に支えてきたのが官僚機構であって、官僚機構が自民党政治を動かしてきたのではない。官僚の既得権益批判を強調するだけでは、民主党政治の正当性を主張することにはならない。財界・アメリカの要求に忠実な自民党の政策をどう変えるのかが、いま問われているのだ。日米安保体制を背景に憲法9条と25条を空洞化させてきた政治を憲法どおりの国民本位の政治に転換することが、いま政治に求められているのだ。“官僚主導”から“政治主導”の政治を目指すといっても、政治の中身を語らないから、「不安」であり、民主党への評価が定まらないのだ。

民主党への「不安」は議席数が多すぎるという声に端的に表れている。民主党は現在、民主党、社民党、国民新党との連立政権協議を進めている。民主党の参議院での現議席数は109である。欠員が2あるので、240の過半数は121になるが、12議席足りない。民主党、社民党、国民新党の3党の議席を合わせると、衆議院では、318議席(308+7+3)[再可決に必要な320議席に2不足]、参議院では119議席(109+5+5)となるが、過半数(121)に2議席足りない。だが、これまでの参議院では、民主党は国民新党のほか、新党日本、さらに新緑風会と統一会派を結成してきた。119議席に新党日本の1議席、新緑風会の3議席を加えると、123議席になり、過半数を確保できる。
民主党は、不純保守政党として、しばらくは財界やアメリカ政府からの巻き返し圧力と国民世論とのはざまで揺れ動くことになるだろう。それが、厭なので衆院比例定数削減を政権公約としたのだ。民意を聞かない政治に戻りたいのだ

今回の300小選挙区、180比例区全部を仮に各党比例票で配分した場合どうなるか。
民主党は得票率42・4%で204議席(104減)、自民党は26・7%で128議席(9増)、日本共産党は7%で34議席(25増)などとなる。
民主党 42.4%→204議席(-104)
自民党 26.7%→128議席(+9)
公明党 11.5%→55議席(+34)
日本共産党 7%%→34議席(+25)
社民党 4.3%→21議席(+14)
みんなの党 4.3%→21議席(+16)
国民新党 1.7%→8議席(+5)
自公は、過半数に届かない。民主は第一党だが、他の野党の意見も聞かなければならない。私は、現状の国民の気分をバランスよく表していると思う。
民主党の議席は明らかに「多すぎる」。
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