プロメテウスの政治経済コラム

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暴走メディア  消費税・TPP「共同社説」  野田首相を鼓舞するNHK

2012-02-21 18:53:02 | 政治経済

 

大手メディアの暴走が止まらない。野田内閣が掲げる消費税増税計画の断行をいっせいに迫り、今やらないと「財政が破綻する。社会保障制度が崩壊する」と国民を脅し、あげくに反対世論を「逆風」よばわりする傲慢である。国民は、原発報道でマスメディアのウソを知ったはずである。メディアが「権力の監視」の役割を放棄し、時の政権のお先棒を担ぐ暴走をしたとき、国民がどのような運命に晒されたか、私たちはしっかりと学ぶべきだ。マスメディアの報道合戦に踊らされることなく、大阪橋下のインチキも正しく見破る目を養わなければならない。


 

消費税増税や環太平洋連携協定(TPP)参加をめぐり、まるで「共同社説」のように同じ論調で政府に決断を迫ってきた大手メディア。「読売」の渡辺恒雄会長・主筆は、「共同社説」を自認する。「消費税にしてもTPPにしても、全国紙のほとんどが論調を同じにして、前向きに推進しろとなっている。だから政治も早く決断すればいい」

60年安保の時の「7紙共同宣言」が歴史的に有名だが、主要紙がみな同じ論調をとったことは、最近にもあった。1994年1月21日、細川「非自民」内閣が強行をはかった小選挙区制導入法案が参議院で否決されたことを、大手メディアは悔しがり、結論を覆すための大キャンペーンをはじめた。「政治改革をつぶしてはならない」と叫ぶ大手メディアの「共同」応援を受け結局、細川護熙首相と自民党の河野洋平総裁との密室談合で、小選挙区が政党助成金制度とセットで導入された。現在に至る政治劣化の始まりである。

「自民党をぶっ壊す」「日本を変える」、こんな絶叫のもとに発足した小泉・自公政権。2001年4月から5年5カ月にわたった同政権が、実際に「ぶっ壊す」対象にしたのは国民の暮らしと日本経済だったことは、いまでは誰の目にも明らかとなった。その政権を最初から最後まで、「改革なくして景気回復なし」のスローガンをあおり、一挙手一投足まで持ち上げ、“小泉フィーバー”の演出に加担したのが、やはり大手メディアであった。


 

大手マスメディアが「共同社説」状況となるのは、偶然ではない。ある時代の支配的イデオロギー(=特定の階級的利害を代表する思想や理論の体系)は支配階級のイデオロギーである。日本国民を支配しているのは、財界とアメリカ政府である。彼らの利害を代表する思想や理論を不断に注入することが、民主共和制における彼らの主要な階級支配の手段となる(民主共和制のもとでは、選挙で虚偽意識に基づく多数票を獲得することが不可欠であるからだ)。そして、大手メディアはその注入の役割を果たすことを期待されているのだ。NHKも当然にその主要な役割を果たすことになる。

 

野田内閣が消費税増税大綱を見切り発車で閣議決定した217日の夜、NHKが「ニュースウォッチ9」に野田首相を呼んで、その日のニュースを後回しにして冒頭から延々と約40分間、消費税増税の宣伝を野田首相にさせたのだ。
「化粧して出演した野田首相といい、大越健介キャスターとの八百長問答といい、明らかに周到に仕組まれた政府広報番組である。ここまでNHKが野田民主党政権に肩入れしていいのか。経済的弱者の国民が反対する消費税増税をここまで公器を使って宣伝していいのだろうか。どうやらNHKの政治偏向ぶりは、もはやジャーナリズムとして守らなければならない最後の一線を踏み越えたようだ。このNHKの政治偏向をメディア関係者の誰も指摘しないようであれば、もはやこの国にはまともなメディアは期待できないという事だ」(天木直人のブログ2012218日)。 

 

野田政権が、消費税増税など「社会保障・税一体改革」を強行するため、「明日(あした)の安心」対話集会をスタートさせた。「明日の安心」対話集会と名づけること自体、国民を馬鹿にしたものだ。さすがに、初日(18日)の集会から疑問が相次いだという。「消費税を増税して景気は大丈夫か」「年金は保障されるのか」…。社会保障の財源が必要だというのはわかるが、政府の消費税増税案はどうも納得できないというのが、大方の国民の感情だろう。国民の疑問に答えるためには、消費税増税をしゃにむに押し付けるのではなく、消費税増税に頼らない案を明示し各人が理論的に検討できるようにするべきである。

日本共産党中央委員会は19日、NHKに対して、首相に聞くというだけでとどめず、同番組で各党党首からも同じく時間をとってじっくり聞くという企画を検討するよう申し入れた。

NHKは、何かというと公正・公平の立場に立っていると言い張るが、それはウソである。野田の消費税増税案に対し、消費税増税に頼らない案を同等にぶつけて初めて国民は、公正・公平に考え、自分の意見をもつことができる。国民は、階級支配を脱し主体的に自立することを望むなら、メディアというものは決して中立でなく、財界やアメリカの利害を代表する思想や理論を不断に注入することを任務にしているという自覚にたって、彼らの情報のウソを見破る力を養わなければならない。「その国の政治がアホなのは国民がアホだから」である。


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