プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「商売と政治は別」―商売人の下僕がご主人に反論

2006-05-11 18:41:26 | 政治経済
小泉首相は9日夜、首相の靖国神社参拝に自粛を求めた経済同友会の提言に対し「財界の人から商売のことを考え(参拝に)行ってくれるなとの声もたくさんあるが、それと政治は別だとはっきりお断りしている」と反論し、今年も参拝する意向を示唆しました。小泉政権の5年間は、財界・米政府の忠実な僕(しもべ)として、彼らの要求を「構造改革」の名で国民に押し付けることでした。その商売人の下僕がご主人様に反論してみせたかっこうです。これも国民の前での「ブレない小泉」のパフォーマンスのひとつでしょうか。

今朝(5/11)の「赤旗」潮流子が小泉首相の「商売と政治は別」発言をうまく解説しています。
「商売」や「商人」という言葉を一だん見下ろして使う人がいます。封建時代の「士農工商」のなごりでしょうか。小泉首相の発言にも多少同じような調子が感じられます。
靖国参拝=「政治」は武士の仕事、首相の参拝で現地での事業にさしさわると考えるなど「商売人」の発想。武士には武士の考えがあるとでもいいたげです。

しかし、同友会の「過去の反省と相互理解に基づく『未来志向の新日中関係』を」という提言は、商売人ならずともアジアでの日本の孤立を案じる人なら、誰でも考えることがらです。
靖国参拝=「政治」は武士の仕事と本音をもらした小泉首相はここで説明し難い自家撞着に陥りました。
首相はかねがね靖国には「一国民」として参拝していると言ってきました。ところが、参拝は「政治」の話で商売とは別だというのです。「政治」の行為というなら、「一国民」ではすみません。日本政府の過去の歴史に対する「反省はどこにいったの」ということになります。

日本企業のグローバル展開でアジアがますます重要となるなかで財界が歴史問題について、反省を促すことは十分理解できることです。しかし、靖国問題は「ブレない小泉」の意地に解消されない深刻な問題を「財界」と日本の支配勢力に突きつけています。
それは「財界」がのぞむ「軍事大国化」によって自衛隊の海外武力行使が現実化すれば間違いなく発生する自衛隊の戦死者を祀る公的施設がないという問題です。
さらに改憲による自衛隊の海外武力行使の正当化は、靖国神社参拝とは比較にならないインパクトをアジア諸国に与えることになります。もし財界が本気でアジア市場でリーダーシップをとりたいならば、日本の軍事大国化の方針を根本的に見直さなくてはならなくなるでしょう。
アメリカ一辺倒は財界にとっても真剣に見直すべき重大問題なのです



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