プロメテウスの政治経済コラム

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下町ボブスレー問題でジャマイカバッシング!  日本の小さな町工場の「技術力が高い」という伝説は本当か

2018-02-12 19:33:31 | 政治経済

平昌五輪をめぐって、またしても“日本の恥”というべき騒ぎが起きている。東京都大田区の町工場が集まり、ジャマイカ代表のボブスレーチームがオリンピックで使うソリを開発、無償提供していたのだが、平昌オリンピック開幕直前になってジャマイカのチームが、下町ボブスレー製ではなくラトビア製のソリを使いたいと申し入れてきた。

行き違いの始まりは昨年12月のワールドカップだという。輸送トラブルで下町のそりが届かず、ジャマイカチームは急きょラトビア製のそりに乗った。「すると驚異的に成績が伸びた。五輪出場権獲得へ大事な時期だった」とストークス会長は話す。このそりに乗り続け、出場権を獲得した。一方、下町のそりについて、ストークス会長は「遅い」「安全でない」「機体検査に不合格」の3点を強調。「1月に行われた2度の機体検査に不合格だった。五輪でも失格の恐れがあった」と語る。(http://lite-ra.com/2018/02/post-3791.html)

メディアやネットは「下町の町工場の人たちの義理人情をジャマイカは踏みにじった」などと騒いでいるが、、日本製は「2度の機体検査に不合格」であり、ラトビア製のそりへ変更したことが出場権を獲得する好成績に繋がったわけだから、ジャマイカの選択は当然ともいえる。

日本の町工場には世界レベルの技術がある、という伝説があるが、そうした伝説を信じて動き出したプロジェクトの一つがこの「下町ボブスレー」だったと言える。しかし、結果は、競技者からは「付き合ってられない」と通告されるレベルだった。
しかも、この下町ボブスレーは安倍政権も全面的にバックアップしてきた。下町ボブスレーには補助金が投入されていることから、安倍首相らが何らかの優遇処置をしていた可能性もある。 他にも下町ボブスレーで撮影した写真を学校の教科書に掲載するなど、安倍首相と下町ボブスレーには深い関係がありそうだ。

 

確かに90年代以前なら、日本は世界に冠たる技術大国だった時期もあったかも知れない。しかし、日本型経営を放棄し、アメリカ的金融資本主義に突っ走って労働者を搾取材料としか見做さなくなった。そして技術力の低下がボディーブローのように効いてきた。今や、日本の、とりわけ小さな町工場の「技術力が高い」という幻想にしがみついていれば、精神的な満足感は得られるのかも知れないがその内実は寒い。日本製部品の採用例が多いからと言って、それが優れているとは限らない。実態は安上がりな下請けとして利用されているだけかもしれない。下町ボブスレー問題の背景にあるのは、真面目にものづくりに取り組むのではなく、安倍応援団や右派メディアの「日本スゴイ」なる虚妄に踊らされて目先の利益追求に走る新自由主義経済システムの成れの果てである。

 

 
 





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