プロメテウスの政治経済コラム

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沖縄本土復帰34年  知事は屈服しても県民は屈服しない

2006-05-15 18:57:59 | 政治経済
沖縄は5月15日、本土に復帰して満34年を迎えました。米軍普天間飛行場の移設問題で稲嶺恵一知事が小泉政権に屈服させられ「基本確認書」を交わすなか、沖縄は再び米軍再編という大きな転換期を迎えています。

「確認書」は新基地建設について「政府案を基本にして対応する」としており、いくら県の姿勢はかわらないといっても新沿岸案の事実上の容認です。稲嶺知事が政府に屈服させられたとしか考えられません。
「このまま進めば、普天間飛行場代替施設は政府案に沿って建設され、固定化されてしまう。普天間飛行場周辺住民の危険性除去もどういう方法で、いつ実施されるか分からない。これでは、基地からの負担軽減を求めた県民が納得するはずが」ありません(「琉球新報」5月12日)。

34年前の5月15日、沖縄の人々は「即時・無条件、全面返還」の復帰建議書にあるとおり「基地のない平和な島」を目指しました。故佐藤栄作首相が県民と交わした「核抜き本土並み」という約束が反故にされても、「平和憲法」を唯一の頼りに基地を否定し、米軍と基地に脅かされない平和な暮らしを築くことをめざしてきました。
しかし、日本政府は在日米軍専用施設の75%が沖縄に集中する状況になんら手を付けず放置してきました。演習による被弾や騒音、墜落事故、残忍な事件は後を絶たず、巨大な基地が邪魔をしてまちづくりもままならない。主権回復とは名ばかりで、基地周辺住民は人間らしい暮らしを実感できない状態がずっと続いているのです。

沖縄の基地は、世界規模で展開されている米軍基地再編の中で、日本本土と同様に「抑止力」維持を目的に機能強化が叫ばれ、米軍と自衛隊との一体化も進みつつあります。返還が決まった施設も県内でたらい回しにされるだけで、「平和な島」への願いは遠のくばかりです。
普天間基地所属のヘリ部隊は同市上空を昼夜の区別なく旋回し、市民は毎日、爆音と墜落の恐怖にさらされています。仮に計画通りに辺野古崎に新基地が完成しても、それまでの期間、宜野湾市民は危険にさらされ続け、それ以降はキャンプ・シュワブ周辺住民にその危険が「移転」されるだけです。

V字形滑走路を持った新基地の総面積は180ヘクタールにのぼります。東京ドーム約38個分の巨大基地で、当初の計画(昨年10月決定)の1・4倍にもなります。また、その約八割にあたる140ヘクタールが埋め立てになる予定です(「赤旗」06.5.13)。「本当にこのきれいな海を埋め立てて基地を造るのか」「この環境をつぶそうとしていることが信じられない」 辺野古の浜に集まった人々の自然に湧き上がる声です。

稲嶺知事が政府案に同意したことに対して、県民の間ではさまざまな反応が広がっています。
「従来の知事のスタンスから外れるものではないか」「政府に追い詰められ、圧力に屈した」「知事が沿岸案反対で持ちこたえていたのが救いだったが、それすらもなくなった」 (「沖縄タイムス」5月12日)。
知事の屈服によって既成事実化が加速することが予想されます。
しかし、「基地のない平和な島」を願う沖縄県民を屈服させることはできません。

沖縄県民の世論調査によると、新基地の政府案に反対は七割を超え、普天間基地の県外や国外移転、即時無条件返還が八割近くに達しています(琉球新報4月14日付)。「沖縄タイムス」の電話世論調査では、県民の73%が沿岸案を拒否する稲嶺知事を支持し、71%が沿岸案に反対でした。 「政府の圧力に屈して、民意に背を向けるようなことをすべきではない。知事がよって立つべきは県民世論であることを肝に銘じてもらいたい」(「沖縄タイムス」5月12日)のです。




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