プロメテウスの政治経済コラム

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「思いやり」 延長  衆院本会議可決  民主党の奇妙な態度 「読売」の脅迫が効いた?

2008-04-04 19:07:10 | 政治経済
在日米軍への「思いやり予算」に関する現行の日米特別協定を3年間延長する新協定が3日の衆院本会議で、自民、公明の与党の賛成多数で可決された。日本共産党、民主党、社民党、国民新党は反対した。奇妙なのは民主党。「思いやり予算」への国民の批判が高まるなかで、今回は反対にまわったが、本会議では反対討論に立たなかった。小沢一郎代表は、またまた敵前逃亡、本会議を欠席した(「しんぶん赤旗」4月4日)。「読売」からいつ「反米」になったのかと詰問されて、びびったのだろうか。

新協定で日本側が負担するのは▽基地従業員の労務費▽基地内の光熱水料▽米軍の訓練移転費―である。「暫定的、限定的、特例的」といいながら、政府が、特別協定による「思いやり予算」の支出を強行した87年度以来、今回で5回目の延長である。要求をエスカレートすることがあっても、米軍の側から縮小・廃止をいうわけがないので、日本側が、地位協定第24条違反を根拠に毅然と断らない限り、日米安保条約が存続する間、特別協定を続けていくことになる。
政府は、一方では、巨額の財政赤字を理由に、国民生活予算を次々に削り、4月からは後期高齢者医療制度を強行し、お年寄りを“料金負担付姥捨て”の運命にさらすことまでやっている。「思いやり予算」で米軍基地を支えて、日本国民は、横須賀のタクシー運転手殺害事件や沖縄の少女暴行事件などのように、米軍人による犯罪の危険をお返しに頂く。「思いやる相手」を完全に間違っている(「しんぶん赤旗」同上)。

日本では、参院選挙での与党の敗北、安倍政権の崩壊などをうけて、自公政治に代わる新しい政治への国民的な探求が始まっている――これは、いま多くの国民が実感しているところだろう。そのなかで、参院を中心に民主党の対決姿勢が目立つ。野党第一党の民主党が民意を実現するために、先頭に立って奮闘してくれるのは頼もしいし、新しい時代を予感させるものである。しかし、一方で「対決」しているはずの自民、民主両党の議員が加わる国会議員連盟の発足が相次いでいる。「国会審議がストップするなど、与野党間の対立は激しさを増している。こうした中、にらみ合っているはずの議員たちが仲良く国会外で集う」(東京新聞)。議員連盟が相次ぐのはなぜか。

3月4日、新役員体制を発足させた「新憲法制定議員同盟」参加議員数・191)。「顧問」には、党幹事長を務める自民党の伊吹文明氏と民主党の鳩山由紀夫氏が新たに就任。安倍晋三前首相や民主党の前原誠司副代表(前代表)が新たに役員に就任した。3日にも、百人規模の議連が発足している。保守「二大政党」体制を志向する知事や財界人などでつくる「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(せんたく)と連携する「せんたく議員連合」である。議連の共同代表には、自民党の河村建夫元文部科学相、民主党の野田佳彦元国対委員長が就任。役員に自民党から園田博之政調会長代理、菅義偉選対副委員長、民主党から岡田克也、前原両副代表といった現職の両党役員が就任した。ほかにも、自民党の次期総裁を狙う麻生太郎前幹事長と民主党の鳩山幹事長らとの「地方政府IT(情報技術)推進議連」などがある(「しんぶん赤旗」3月6日)。

民主党はもともとは、アメリカ、財界という日本の支配階級に奉仕する政党という意味では、自民党と「同質・同類の政党」である。民主党が自公政権と対決するのは、日本では国民と支配階級の矛盾がアメリカに支配されている分だけ、二重に深刻であるということと、その矛盾を科学的一貫性をもって追及する日本共産党が一定の影響力をもって存在している事情があるからである。したがって、民主党は支配階級から、叱責されるとすぐにびびってしまうし、矛盾を鋭く衝く日本共産党が一定の影響力を失うようなことがあると、「政界再編」や「大連立」の名によって民意を裏切る可能性がきわめて高い。

「読売」(3日付・社説)は、「思いやり」に反対した民主党を「民主党は『反米』になってしまった、と見られても仕方がないだろう」と叱責した。衆院議事課によると、野党第一党が反対の意思を示し、出席しているにもかかわらず、反対討論をしなかったのは、記録が残っている1967年以降初めてだという(「しんぶん赤旗」4月4日)。

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