プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

代用監獄法案成立―人権「後進国」日本の象徴

2006-06-03 20:36:49 | 政治経済
警察による自白強要と冤罪の温床になっている代用監獄(警察留置場)を将来にわたって存続させる代用監獄法案が6月2日、参院本会議で自民、公明の賛成多数で成立しました。日本人の多くは、捕まったら警察で大筋の自白があるまで、ずっと取り調べが続くのが当たり前だと思っていますが、そんな国は日本以外にありません。

被疑者が逮捕され、裁判所が勾留を決めたら、警察の留置場ではなく法務省が管轄する拘置所に身柄を移すというのが法の原則・国際標準です。捜査の行き過ぎと乱用から人権を守るためです。しかし、日本では、被疑者の98・3%が警察留置場に長期間勾留されています。
警察の取り調べは、ヨーロッパ基準で24時間、長い国でも48時間です(日本も法律の建前は3日以内)。そこで、身柄が裁判所に移って、そこから警察に戻らないで拘置所に行きます。そして、そこで裁判を待つ。保釈の要件があれば、保釈にもなります(「海渡雄一弁護士に聞く」ライブドア・ニュース 04月30日)。
警察の管理・支配のもとに被疑者の身柄を長く置き、自白の追及のための取り調べがずっと続くことは人権侵害の恐れが高いからです。

日本で、代用監獄制度が導入されたのは、約一世紀前の1908年です。監獄法が、拘置所数が足りないという理由で「警察の留置場を代用することができる」として設けられました。これをそのままさらに継続しようとするのが、今回の法案(刑事施設及び受刑者の処遇法案)です。
「代用監獄」は自白強要と冤罪の温床とされ、国際人権規約委員会からたびたび勧告を受けるなど廃止が強く求められてきました。しかし、警察庁が「犯罪捜査を適正、迅速に遂行するため」の口実で制度の継続を求めたのです。実際は、被疑者を手元におき「迅速」に自白を得られる制度を手放したくなかっただけです。

海渡雄一弁護士は先のインタビュー記事で欧米と日本の取調べの違いについて次のように語っています。
「最近は米英など外国では、取り調べを録音します。日本では録音するといったら、ものすごい量になってしまって大変だという議論があったのだけれども、外国に行ったら、一人の人の取り調べは2時間テープ一本。取り調べは何の目的でやるかというと、いじめて自白させるためではなく、その時点でどういう主張をしていたか、客観的証拠と本人の主張に矛盾があるかどうか、あとで言い分を変えてしまわれないように、そこで確認しておくことが大事です。」
「日本の場合は、そこを調書という形で行っています。そのため“調書には自分の言い分と違うことが書いてあって、無理やりサインさせられた”ということを主張する人が出てきて、調書自体の内容が本物かどうか裁判で争われてしまうこともあります。取り調べの時点で録音しておき、本人が何を話したか残しておけば、捜査側が被疑者を有罪に追い込む時のためだって証拠となる。そういう形で行うものが取り調べであるはずです。」

警察留置場は、外からの監視もチェックもない密室です。被疑者は睡眠、食事、入浴から差し入れまで24時間、生活や行動のすべてを警察の管理・支配のもとにおかれます。警察はこれを最大限に利用して自分たちが思い描いた通りの自白を強要し、多くの冤罪がつくり出されました

代用監獄では、警察が被疑者を罵倒したり、人格攻撃することが常態化します。
国連の世界人権規約では「有罪が確定していない被拘禁者は、無罪と推定され、かつ、それにふさわしく処遇されなければならない」としています。ところが政府は「無罪推定の原則のルールはガイドラインにすぎない」(矯正局長)とまで言っています。人権「後進国」日本の象徴です


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