プロメテウスの政治経済コラム

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首相「消費増税、マニフェストに」 反対なら公認せず  野田・民主党の最後のあがき

2012-07-12 23:04:37 | 政治経済

野田首相は12日午前の衆院予算委員会で、消費増税を次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に明記する考えを示したうえで、増税に反対する議員に関しては「マニフェストに明記することに賛同できないのなら公認の基準から外れる」と明言した。しかし、そもそも野田首相は、民主党が、いまのままで次期衆院選も戦えると思っているのだろうか。今度の3党密室談合による増税大連立は、単に消費税増税などの懸案の「政策の実現」だけでは済まずに、政治「勢力の関係」の激変を伴う可能性が高い。現行の小選挙区比例代表並立制のもとでの二大政党の妥協は、両党執行部にとってリスクが高すぎる賭けでもある。とりわけ、09年衆院選のマニフェストをことごとく投げ捨て、自公に擦り寄った野田・民主党は次期衆院選で小選挙区の舞台からほぼすべて「退場」するだろう。「超プレミアム」をもたらす現在の衆議院選挙制度は、野田民主党に逆方向に働くことは間違いない。消費増税をマニフェストに書き、反対なら公認せずなどと見得を切ってみても、私には、野田・民主党の最後のあがきにすぎないと思えてならない。

 

野田政権はいま、不信任された状態、すなわち政権として存続できない状態に陥っている(二宮厚美・神戸大学名誉教授「民主 増税強行の資格なし」全国商工新聞2012年7月9日)。

まず、民主党政権としての野田内閣は、消費税増税法案に反対・棄権に回った民主党議員が70人に達したために、民主党内部から否認された状態にある。つまり、消費税増税法案に賛成する民主党議員の力によるだけでは、野田政権の消費税増税法案は衆議院で可決できない状態にあった【だから、自公密室談合に走った】。その上に、野田内閣は自民党からも不信任案を突きつけられた状態にある。自民党の戦略は、民主党の弱体化を野田政権に飲ませながら、念願の消費税増税を実現させ、その暁には野田政権に不信任案を突きつけ、倒閣するということである(尤も、消費税賛成直後の総選挙は自民党にとってもまずいということで、ズルズル野田政権を延命させるという動機が働く可能性もある)。したがって、野田政権そのものは、もはや参議院において不信任された状態に陥っているのだ

 

われわれにとって、大事なことは、3党密室談合による増税大連立を徹底的に批判し、参議院で、消費税増税などの「一体改革」法案が可決する前に、国民の信を問えと迫り、野田内閣に不信任を突きつける運動を強めることだ。この際、カギを握るのは、小沢新党と民主党内の鳩山派などの消費増税造反派である。小沢新党は「国民の生活が第一」を基本理念に、消費税の増税を先行させることに反対して消費増税法案の修正・撤回を求めて攻勢を強めることだろう。また、脱原発も掲げた。オスプレイの配備や訓練にどう対応するつもりか。野田首相が8月にも参加を表明するかもしれないとされているTPPにも抵抗するのか。自民党政権以上に右傾化を強めている野田政権に対峙し、小沢新党が、様々な分野で展開されている民衆運動と連帯・共同しながら強力なブレーキ役を果たすなら、国民の支持と期待を集めることができるかもしれない。

 

小沢新党が他の小政党と連携していつ内閣不信任案を提出するか。そのとき、消費増税法案成立前なら、自公両党は、あくまで3党合意を盾に、野田不信任案に反対し、消費増税法案をゴリ押しするのか。これは、大変見ものである。二大政党が妥協した結果の政策が国民的批判を浴びる場合、それまで両党に寄せられていた支持が、一挙に「三番手」へ移る可能性があるからだ。今度の3党密室談合による増税大連立は、単に消費税増税などの懸案の「政策の実現」だけでは済まずに、政治「勢力の関係」の激変を伴う可能性がある。現行衆議院選挙制度のもとで、「プレミアム」に与る機会に恵まれるのは、せいぜい「二番手」までである。「三番手」に転落すれば、凋落・消滅は必至である。橋下維新の会のような反動ではなく、未来を見据えた、しっかりした第三極を急ぎ構築しなければならない所以である。


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1 コメント

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民主党に (エッ)
2012-08-06 19:44:04
公認されない方が当選するんじゃないのか?
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