Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

集中治療における決定プロセス

2019年05月21日 | ICU・システム
というタイトルのレビュー。

Alexis Ruiz A, Wyszyńska PK, Laudanski K.
Narrative Review of Decision-Making Processes in Critical Care.
Anesth Analg. 2019 May;128(5):962-970. PMID: 30096084.


うう、難しい。
決定プロセスの理論とか書いてある。

単純に、全然知らなかい話題だったので、なんとなく紹介。
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Kinetic eGFRを用いてAKIの改善度を予測する

2019年05月20日 | 腎臓
Khayat MI, Deeth JM, Sosnov JA.
A bedside clinical tool using creatinine kinetics to predict worsening renal injury and early recovery.
Clin Kidney J. 2018 Jul 31;12(2):248-252. PMID: 30976404.


まず、KeGFRというのがある(詳細はこちら)。
一般に使用されるeGFRの式は、腎機能が安定していて、かつ筋肉量が平均的な人にしか使えない。そこで、いくつかの仮定を置いた上で、クレアチニン値の変化(例えば24時間前と今の値とか)を利用してeGFRを計算するというもの。
(ちょっと前に研究に使ってみたことがあって、あまりうまくいかなかったのだけど、有用だよという報告もあり、自分の研究は横に置いとく。)

この文献は、この式からクレアチニンを逆計算して、予測されたクレアチニンよりも実際の値が高ければ、前回KeGFRを計算した時(つまり前回クレアチニンを測定した時)よりも腎機能が悪化している、つまりAKIが悪くなっていることがわかるよ、というアイデアを示していて、おおそれは考えたことがなかったな、と思った。

AKIが改善傾向、つまりGFRが低下傾向にあっても、定常状態に達していないクレアチニンは数日上がり続けることもあるから、そういう時は上がるスピードを見て判断する必要があるけど、クレアチニン値が上がっているとAKIが悪くなっていると思っちゃう人は少なくないので、そういう人に状態が良くなっていることを理解してもらうには便利かも。
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慈恵ICU勉強会 190514

2019年05月19日 | ICU勉強会
5月14日 食道内圧によるPEEPの調整(JC-JAMA)

基本、あまのじゃくなので、世間で流行っていることはあまり好きではなく、ずっとICUの世界で流行し続けているARDSとか、ここ数年の流行である食道内圧とか、少し距離を置いている。きっと、ひどいこと、極端なことをしなければ、予後はあまり変わらないのではないか、というのが個人的な予想。
なので、人工呼吸の設定をこんな風にしてみたという研究は、興味があまり持てないなと思いつつも、明らかな根拠が出たらびっくりするので気になりもしつつ。

この研究も、興味を持つ人はきっといろいろな見方をするんだろうな。
食道内圧、悪くないじゃんとか、
High PEEPしようかなとか、
ARDSの原因が肺内か肺外かで管理を変えるべきかもな、とか。

個人的には、こうするべしという提案はまたされなかったな、ほっ、という感じ。
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慈恵ICU勉強会 190507

2019年05月18日 | ICU勉強会
5月7日 末梢循環を指標とした蘇生(JC-JAMA)

面白い研究ではあるのだが、末梢循環の身体所見に基づいて循環管理した方が乳酸の値で管理するよりもちょっと良い、特にSOFAが低いと良い、という理由がどうしてなのか、どこにその差が出た理由があるのか、サンプルサイズを増やしたら有意差が出そうか、それとも偶然っぽいか、はよく分からなかった。

それ以前に、乳酸は組織低酸素によって(のみ)産生されるのではないので、それに基づいて循環管理するというのは生理学的に(あまり)正しくない。
それが身体所見の方がマシだった理由、ということか?
はてさて。

そうそう、capillary refill time(CRT)について2つ文献をつい最近見かけた。
偶然にも両方とも日本人がfirst author。

Shinozaki K, Jacobson LS, Saeki K, et al.
Does training level affect the accuracy of visual assessment of capillary refill time?
Crit Care. 2019 May 6;23(1):157. PMID: 31060576.

経験年数が長い人の方が正確だね、というレター。

Yasufumi O, Morimura N, Shirasawa A, et al.
Quantitative capillary refill time predicts sepsis in patients with suspected infection in the emergency department: an observational study.
J Intensive Care. 2019 May 6;7:29. PMID: 31080620.

CRTをSpO2モニタを使って測定し、敗血症の予測精度について検討した研究。

CRTは臨床でもしょっちゅうやるので、評価されたり研究されたりするととりあえずなんか嬉しい。
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今週の週刊医学界新聞

2019年05月17日 | 勝手に紹介
ベッドサイドで学ぶ集中治療

ICUで働く者、特に医者はmust-readだと思う。
正座して読むように。
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JIPADの登録症例数が10万例突破!

2019年05月16日 | データベース・JIPAD
とっぱー!
です。

さらに今年は、データが参加施設に解放される予定。
ふっふっふ、研究やり放題ですぜ。

オタク、まだ始めてないの?
いや、それはちょっと。。。

JIPAD
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Telemedicineの成功の決定因子

2019年05月12日 | ICU・システム
このブログでは集中治療全体+αの文献を紹介しているけど、ほとんど紹介していない話題の一つがtelemedicine(理由は秘密)。
でも、これは相当面白かったので紹介することにした。

Kahn JM, Rak KJ, Kuza CC, et al.
Determinants of Intensive Care Unit Telemedicine Effectiveness. An Ethnographic Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Apr 15;199(8):970-979. PMID: 30352168,


何が面白いかというと、telemedicineが実際に導入されている施設を訪問したりインタビューしたりして、死亡率が導入前後で下がったかどうかと関連した因子を探したところ。
コンピューターの中のデータを見ているだけでは分からない、生の情報って大事だとすごく思うので。

なんか昨日の話と真逆な気もするが、まあいいか。
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乏尿が補液に反応するかを機械学習で予測する

2019年05月11日 | AI・機械学習
しばらく前から、趣味で機械学習関係の文献を集めている。
あまり紹介してこなかったけど、この文献はちょっと臨床に近いので紹介。

Zhang Z, Ho KM, Hong Y.
Machine learning for the prediction of volume responsiveness in patients with oliguric acute kidney injury in critical care.
Crit Care. 2019 Apr 8;23(1):112. PMID: 30961662.


ICU入室後6時間の尿量が0.5ml/kg/hrで、その後の6時間で5L以上補液された6682例が、乏尿後の18時間で尿が0.65ml/kg/hr以上出るかを、機械学習と通常の多変量解析のどちらがより正確に予測できるか検討。結果は機械学習の勝ち(AUROC:0.860 vs. 0.728)。

乏尿患者のうち6時間で5Lも補液された患者さんが7割もいるとか、いくつかツッコミどころはあるけれど、それは置いといて。
普通の多変量解析よりも機械学習の方が予想性能が高いのはもう間違いない。
補液に反応する乏尿はあるし、反応しなかったら補液は有害かもしれないし、それが補液前に高い確率で分かるなら、確かにその方が良いかも?

機械学習を臨床応用した文献はそれなりの数を読んだけど。
多変量解析じゃなくて臨床判断と機械学習を比較したという研究は記憶がないし、それで予後が変わるかを比較した研究は少なくともICU関連ではない気がする。
そこをクリアしたら、それこそ車の自動運転のように、補液も機械が決める時代が来るんだろうか。
麻酔ロボットが売られる時代だし。

いやー、想像できないわ。
とりあえず、注視しております。
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慈恵ICU勉強会 190423

2019年05月09日 | ICU勉強会
4月23日 早期抜管とNPPV(JC x 2)

・一定の条件を満たす場合、挿管するよりもNPPVを選択した方が予後が良くなる
・条件を満たさないと人工呼吸が必要になる
・人工呼吸中に一定の条件を満たすと、抜管され酸素吸入に移行する
・条件を満たさないと人工呼吸が継続される

もしNPPVと人工呼吸の選択の間に呼吸不全の重症度の閾値が存在するなら、その閾値は呼吸不全の悪化の途中だけでなく改善の途中にも超えるはず。つまり、人工呼吸の施行中に、抜管するほど良くはなっていないけど、NPPVの方が予後が良くなる状況が存在するのではないか。

いつかこの疑問の答えに出会えるかと思って待っているのだけど、どうも今回も出会えなかったみたい。
というか、そんな閾値は存在しないのかもね。
極端に言えば、抜管のタイミングってそんなに重要じゃないのかもね。毎日のように悩んでいるけど。

ちょっと極端すぎかな。
やっぱりもうしばらく毎日悩むことにする。
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脳死の定義とその影響の違い

2019年05月04日 | 神経
McGee A, Gardiner D.
Differences in the definition of brain death and their legal impact on intensive care practice.
Anaesthesia. 2019 May;74(5):569-572. PubMed PMID: 30671940.


アメリカの話とか、個別にちょっと見かけることはあるけど、この文章はイギリスとアメリカとカナダの脳死の定義と、それによって起こった法的トラブルについて書いてあって、へーと思う。

やっぱ、アメリカって大変。
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